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司馬遼太郎著書「最後の将軍」。
10年前にNHK大河ドラマにもなったようですが、見ていません。
江戸幕府15代将軍で、歴史上最後の征夷大将軍である徳川慶喜の物語です。
私は幕末好きですが、徳川慶喜という人物についてはあまり良い印象をもってませんでした。
とくに戊辰戦争序盤の鳥羽伏見の戦いにおいて、傷ついた幕府軍を大阪に残したまま、自分だけ江戸に逃げ帰ったという事実が、結果としてそれが良い結果となったものの、あまりいい気がしないのです。
で、これを読んでみてどうだったのか?
そうせざるを得ない理由や、彼の功績もあったものの、やはり感情移入の出来ない人なのでした。
そのため、小説としては他の司馬作品同様、とても読みやすくマメ知識や雑学も豊富で面白いのですが、読んでいてあまり楽しくないのでした。
それでも、将軍の視点からみた幕末が読めたのは良かったと思います。
とりあえず、幕末好きの人にはお薦めです。
今年に入って読んだ本は2作品。
NHK大河ドラマにちなんで、篤姫と和宮関連です。
まずは大河ドラマの原作、宮尾登美子さんの「天璋院篤姫」。
読み始めて最初に感じたのは、ずいぶん読みにくい印象を受けたことです。
しかし島津本家に養子に行き、江戸へ旅立つ辺りから面白くなってきて、それ以降は読書ペースも上がりました。
老女幾島から嫁としての心得を叩き込まれ、これが篤姫にとっての生涯の価値観として後々深くかかわります。
この価値観ゆえに、皇族から嫁に来た和宮とのトラブルが絶えず、悩み続けることになるのでした。
当時の大奥には、表の政治や国際感覚といったものの情報が極端に乏しく、篤姫も狭い世界観でしか物事を見ることが出来なくなります。
しかし持ち前の頑固さと気の強さで、徳川家をひっぱっていくことになりますが、時代の流れには結局逆らうことは出来ません。
それでも明治期に入ると、多くのしがらみから解かれ、心の安らぐ日々を過ごせたのは良かったと思います。
この小説では、徳川家定は心優しき悲劇の夫、徳川慶喜は幕府を潰したダメ人間という扱いです。
あくまでも篤姫の立場からの幕末物語で、中々興味深く読むことが出来ました。
もう一つは、篤姫の宿敵とされる皇女和宮を中心にした有吉佐和子さんの「和宮様御留」。
和宮という人に関してはいろいろ謎が多く、左手が無かったとか、片足が悪かったとか、江戸へ下ってから別人のようだったとか言われます。
この小説では、江戸に下った和宮は、実は替え玉だったという説に基づいて書かれています。
史実がどうであれ、エンターテイメント作品としてとても面白く「こういうこともありうるかも」と思わせてくれます。
ここでは京都御所での窮屈この上ない生活の様子が詳しく書かれていて、のびのびとした庶民の生活とは同じ人間の暮らしとは思えないものがあります。
公武合体に利用される皇女の身代わりとなった少女の苦悩がとても生々しく描かれていて、胸が痛みました。
今年読んだ本は38冊、全て歴史小説でした。
それも30冊以上が司馬遼太郎氏の作品です。
で、今年のベストセラーとか、話題の新刊とか全く読んでいません(汗)
あまりにも偏りすぎていて、お恥ずかしい限りです。
今年の小説で、印象に残ったのは、やはり長編小説を2つ読んだことです。
一つは「竜馬がゆく」、幕末に活躍した坂本龍馬の活躍を描いた全8巻なのですが、すっごく良かったです。
もう一つは「翔ぶが如く」全10巻。
これも良かったですね。
個人的には「竜馬がゆく」よりも良かったような気がします。
実はもう一つ長編を読んでいたのですが、夏以降忙しくて、ついに中断してしまいました。
名作の誉れ高い「坂の上の雲」です。
4巻までは読んだのですが、アコギの練習と中国語が忙しくて、全然進んでいません。
また来年以降、最初から読み直したいと思います。
さて、来年の予定ですが、上記の「坂の上の雲」再チャレンジ意外に、もう少し気楽に読めるものも読みたいと思ってます。
そうね、出来たら、1冊完結ものがいいかもね。
司馬遼太郎作品なんて、3巻以上あるのが普通だったから、気合がないと読めないのです。
読書は心を豊かにします。
ギターの練習や語学と同じで、お金のかからない趣味といえますね。
司馬遼太郎氏著書の明治初期の政治闘争、内乱を描いた全10巻の長編小説「翔ぶが如く」。
約2ヶ月かかって読みました。
まるで一つの長い旅が終わったような、充実感と達成感があります。
読みやすい作品の多い司馬氏の中で、この作品は少々敷居が高いようで、途中で挫折する人もいるとのこと。
原因としては
・誰が主人公かわかりにくい(というより、この時代そのものが主人公かも)
・政治のやり取りが多い
・登場人物が多い(その生い立ちまで説明される人物だけでも100人を超える)
・クライマックスである西南の役までが長い
などが上げられます。
そのため今回は、主な登場人物を、簡単なプロフィールと共にノートに書き込みながら読むというやり方で、進めていきました。
おかげで、長編小説にありがちな「あれ?この人誰だっけ?」というのがなく、理解がしやすかったです。
同じく氏の長編である「竜馬がゆく」などに比べ、娯楽性が少なく、ドキュメントタッチな印象をもつ作品。
それでも、私としては、それまで幕末関連の小説をよく読んでいたのと、この時代に興味があったので、楽しく読めました。
司馬さんの歴史小説は、他の作家に比べて、登場人物の説明が詳しく、ほとんど無名の人でも細かいエピソードなどを含めて判りやすく特徴を捉えています。
この物語も例外ではなく、あらゆる登場人物が、「よくここまで調べたものだ」と思うほどに丁寧に説明されています。
生まれたばかりの近代国家日本。
しかし江戸時代の気分が抜けない、慣れない、庶民の不安、士族の不満など、新しい国家体制には否定的な意見が多く、決して好調なスタートではありませんでした。
この長い物語を大きく見ると、
・征韓論争
・征台外交
・不平士族の反乱
・西南の役
の4つがポイントとなっていて、とくに熊本、鹿児島を舞台にした西南の役が物語りのクライマックスとして、詳細に描かれています。
第8巻から、旧薩摩藩を主力とする士族軍と、明治政府軍との武力衝突が始まりますが、巻末に九州地方の地図があって、それを見ながら読むと戦いの流れがよくわかります。
司馬氏の作品でよくある、戦術に対する分析はここでも詳しく解説されています。
なぜ旧幕時代に最強を誇った薩摩士族が敗れたのか?といったところに関して、「たら、れば」的な分析をあらゆる方向から検証しています。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、結局、目先のことばかり考えて、全体象を見ていなかったのが最もな原因だったようです。
なぜ大局的な見地が出来なかったのか?
「薩摩武士的価値観」が大きく影響していて、良くも悪くも「典型的なサムライ」だったわけです。
つまり
「堂々と真正面から全力で体当たりしてこそ、武士である。戦略を立てたり、奇術を使うのは臆病者のすることなり。」
まさに翔ぶが如く舞い、翔ぶが如く戦うのでした。
そんな個々の武勇に頼る戦闘も、熊本、田原坂での激戦に敗れてからは考えを改めざるを得なくなります。
しかし時すでに遅し、薩摩軍は退却し、人吉、豊後と敗戦を重ね、ついに城山の戦いにて壊滅するのでした。
乱の末期、薩摩士族軍の幹部、桐野少将はこういったと伝えられます。
「見よ、この政府軍の勇姿を。これで欧米列強と互角の勝負が出来る。」
つまり、これで自分たちは安心して死ぬことが出来る、俺たちもよく戦ったが、明治政府も強くなったじゃないか、と相手を称えてるわけです。
このダンディズム、まさにラストサムライですね。
読んでみて思ったのは、同じ歴史、同じ人物を取り扱っていても、全然違う印象の本に仕上がってるということ。
作者が変われば、文章はもちろん、歴史の解釈、事実の裏づけ、不明な部分の想像などが全て違ってきます。
まず子母澤寛氏の「新撰組始末記」と「新撰組遺聞」。
これらの作品は氏の“新撰組3部作“と言われるもので、本当はもう1冊あります。
ただ、買うときにこの2冊しかなかったので、また見つけたら読みたいと思います。
昭和3年に発表されたこの作品は、実際の隊士の生き残りや、その家族知人、あるいは事件の目撃者など、新撰組に関わった人からの証言をまとめた、ドキュメントです。
そのため非常にリアリティがあり、その文面から迫力が伝わってきます。
人を切れば血も出るし、人が死ねば腐敗もします。
そういった血の臭いがするような生々しさがあってスゴイです。
その後の研究により、事実と異なる部分もあるようですが、そんなことは気にせずに読んだほうがいいでしょう。
次は北方謙三氏の「黒豹の柩」。
ハードボイルド作家(というか最近は完全に歴史作家ですが)による新撰組物です。
男の生き様、カッコよさを書かせたら一流の北方氏ですが、元々北方小説の主人公のような新撰組の面々なのではまり役ともいえます。
さすがに最近の作なので、今までの新撰組とは一味も二味も違う感触があり、かなり新しい解釈です。
史実をあらゆる側面から可能性を引き出し、事実を歪曲することなく、面白い作品に仕上げてますね。
普通はクライマックスの一つといえる「池田屋騒動」からスタートしたり、土方と山南が親友だったりなど前半から読み応え満点。
ちょっと2巻目の前半がダラダラと弱い気もしますが、衝撃のラストシーンを含め後半は再び盛り上がります。
初めて読む新撰組としてはお勧めしませんが、2冊目、3冊目として読むにはかなり面白い作品だといえます。
そして司馬遼太郎氏の「新撰組血風録」
昨年末に読んだ「燃えよ剣」以来、久しぶりの司馬氏の新撰組物です。
これは新撰組を題材にした短編集で、読みやすく、娯楽小説として大変面白い作品です。
近藤や沖田など有名隊士だけでなく、無名の隊士についての物語もあり、かなりフィクションが多いようです。
歴史小説というより、時代小説ですね。
命知らずの新撰組隊士であっても、やはり人の子。
恋もすれば、嫉妬、ねたみ、あるいはイジメなどもあり、とても人間臭い内容です。
大した実力もないのに威張り散らしたり、近藤や土方などにゴマをすったりしているようなヤツは、結局死んだり、落ちぶれたりしてしまう。
そんな物語が多いですね。
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