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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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北方謙三著書の長編小説「水滸伝」全19巻と、それの書評や北方氏の対談などをまとめた「替天行道」全1巻を読みました。



約3ヶ月半かけて読みましたが、その間ページを開けるごとに「水滸伝」の世界に浸ることが出来ました。
元は中国4大奇書の一つですが、内容は完全に北方謙三の世界、北方謙三の価値観で描かれた、友情、戦い、人生観、そして恋の物語です。
登場人物はとてもたくさんいるのですが、それぞれ個性的で、いろいろな生き方があり、そして死に様があります。
ハードボイルドで汗臭く、不器用な男の生き方が、北方流の歯切れ良い文章でお腹いっぱい楽しめます。
私は原作を読んでおらず、全く予備知識なしで読み始めましたが、すんなり読書出来ました。

史実である「宋江の乱」がベースになってるものの、原作には、普通ありえない現実離れした部分が多かったようです。
それに対して、この北方水滸のいいところは、リアリズムだと思います。
人間が生きていくには、食べなきゃいけないし、寝なきゃいけないし、排便もします。
反乱を決起するには莫大な金が必要だし、人の訓練も必要だし、兵の数だけ衣食寝便の段取りも必要です。
この辺りの、いわば「人として当たり前」のことが具体的に書かれているので、単なる創作読み物の域を超えてるんだと思います。
それと、車も電話も無い時代の通信や移動、当然時間もかかるし、それだけに緊急を要する事柄の場合はそれに命をかけなければいけません。
こういったタイム感もまるで史実のように進んでいきます。

もう一つ、この北方水滸の面白いところは、登場人物のキャラ設定です。
元々の原作には、すでにそれぞれの個性が設定されてるようですが、北方流としか思えない料理へのこだわりがプラスされています。
湖で取れた魚を使った魚肉入り饅頭が売りの男、秘伝のたれを持ち歩く男、山で取れた香料を独自にブレンドして料理を作る男、など。
で、それらが絶品の味わいをもち、思わず食べてみたくなる表現で書かれているのです。
北方氏自身が料理にこだわりを持ってるのは有名ですが、それを生かしたキャラ設定ですね。

古い水滸伝を完全に分解し、北方流に再編成したこの長編小説は、現代人の感覚で読むことが出来ます。
思わず躊躇するほどの長編ですが、全く予備知識なしで読めますので、興味のある方は是非読んでみてください。
 

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北方謙三のベストセラー「水滸伝」全19巻を読む決心をしたのが連休前。
これを読み始めると数ヶ月間、他の小説が読めなくなるので、それまでに気になる本をいくつか読みました。

「煤煙」北方謙三


久しぶりに北方謙三の現代ハードボイルド作品を読みました。
どうしようない怒りや孤独感、そして法の矛盾と戦いながら、自ら転がり落ちていく人生…。
人の裏をかき、善意を拒むこの小説の主人公のような男の生き方に、私は共感出来ません。
だからこそハードボイルドなのですが、他の北方作品と比べてとくに優れているとは思いません。
それでも北方流男の生き様は貫かれていて、爽快でもありました。 

「杖下の死す」北方謙三


1837年、大阪を火の海にした「大塩平八郎の乱」を題材にした小説ですが、現代物北方ハードボイルドの雰囲気があります。
飢饉により飢えに苦しむ民衆と私服を肥やす豪商、役人、それに立ち向かう大塩平八郎率いる洗心洞の人たち。
しかし話はそんなに単純ではなく、いろいろな陰謀、派閥、駆け引きがあり、そこに北方ハードボイルドの味付けがされて、物語を面白く展開しています。
そして物語の芯には男同士の友情があり、読後の余韻にも浸れる作品になっています。

「手紙」東野圭吾


暗く悲しい物語。
いろいろ考えさせられます。
犯罪者の弟としてさまざまな差別に苦しめられる主人公。
家電メーカーの社長の言葉にはハッとさせられ、自分だったらどう生きていくだろうとか、考えました。
多くの人に読んでもらいたい傑作小説だと思います(実際多くの人が読んでるけどね)

「分身」東野圭吾


二人の同じ顔をした人間。
それぞれが交互にそれぞれの視点から物語が進みます。
謎の死と謎の男、そして隠されていた恐るべき実験と結果。
やや出来すぎの感じがするのは否めないのですが、私はけっこう楽しんで読みました。
少しづつ謎が解けていき、断片でしかなかったものが一つの形を成してくるのがわかる面白さがありました。

「幻夜」東野圭吾


「白夜行」の続編ということで、面白く読みました。
最初は「白夜行」の二番煎じかと思ったのですが、読み進んでいくうちに、これは「白夜行」の裏面だとわかってきて、最後に近づいてくると、やはりこれは続編だと思ってきました。
美しく頭がよく、人の心を掴む完璧な女性。
しかしこの世のものとは思えぬほど冷酷で、富と名声を手にしながら、幸せとは縁のない人。
このキャラ設定は凄いと思いました。

先月は宮部みゆきさんの著書を何冊も読んでいることを書きました。
今月もその流れで、宮部さんの本を2冊読みました。
「スナーク狩り」と「長い長い殺人」。

 

どちらも中々面白く、楽しんで読むことが出来ましたが、ちょっと物足りなさと、宮部作品のクセが鼻につくようになってきたのも事実。
どちらかというと、女性が読んで面白く感じるタイプかなと思います。

さて、次に読んだのが、東野圭吾著書「白夜行」。
大ベストセラーであり、ドラマ化もされた作品なので、ご存知の方も多いと思います。

私はこのドラマを見ていないし、東野圭吾作品もこれが初めてでしたが、とても面白く読み進むことが出来ました。
1冊の文庫本として異例に分厚い850ページ、普通は上下2冊になるボリュームです。
しかし読みやすい文体、これだけの長編なのにムダが一切なく、次々とページをめくる手が止まらないスピード感、そして読み終わったあとの余韻など、ミステリーとしてかなりの傑作だと思いました。

屈折した人間、そうなる原因を作った人間、ただ幸せになりたいだけなのに事件に巻き込まれる人間などが、どんどん登場してきます。
不可解な事件が起こり、その背景には必ずある人物が係わっている。
物語は暗く、本当の幸せなんてないような錯覚さえしてきます。
そして衝撃のラストシーン、読み終わったあとは少しボーっとなり、読み終わったばかりなのに、また最初から読みたくなってしまいました。

他にも東野圭吾著書は傑作が多いようなので、これからの楽しみが増えました。

宮部みゆき著書「火車」を読んでその面白さにはまり、以来彼女の代表的な作品をいくつか読みました。
宮部氏の作品は、その登場人物の詳しい説明が特徴の一つだと思います。
その本人の生い立ちどころか、その親、ときにはそのまた親の世代まで遡り、どうやってそのような人格が形成されたのかを探ります。
人は一人で生きてはいけません。
誰にでも親がいて、育て方やまわりの環境に左右されます。
そして歪んだ家庭で育ったり、幼い頃のトラウマなどによって、それが犯罪に繋がったりするのです。
そういった人間研究ともいえる考察により、小説をより深く、面白みを与えているのだと思います。

「理由」


家族とは何か?
それを考えさせてくれる物語です。
高層マンションで起こった事件に、多くの人が直接あるいは間接的に絡み合います。
その彼らには家族があり、それは小さなことでケンカしたり悲しんだり、あるいは家出をしたりします。
全体的に文章が読みやすく、スト-リ-にどんどん引き込まれていくので、気が付いたら読み終わってました。

「魔術はささやく」


自殺した女性の謎と、家族がなんらかの加害者になったときの苦悩が描かれたミステリー。
主人公が少年のため学園物っぽい印象もあります。
これが書かれた当時はともかく、今読むといろいろムリがあって後半ちょっとガッカリしました。
あまり書くとネタばれになりますが、タクシーにはねられた女性なんてムリがありすぎだと思います。
それと主人公の少年が大人すぎるのと、まわりの大人が信頼しすぎなのも気になりました。

「レベル7」


記憶喪失の男女と失踪した謎の少女、2つのストーリーが同時進行に進められていき、やがて1つになる…宮部さん得意のパターンです。
ややありえない部分もあるけど、すごく面白く時間を忘れて読み進めました。
いわゆる「悪役」の人が、悪い人間すぎる嫌いがあるものの、エピローグがいいせいか、読み終わったあとが心地よい気がします。

「模倣犯」
    

全5巻からなる、ミステリーとしては異例な長編です。
被害者側からの連続殺人、犯罪者側からの連続殺人、そして連続殺人のその後という3部作です。
この長いミステリーは、とくに前半、第2部までの完成度が高いと思います。
被害者、加害者、遺族など関わる人たちは、それぞれ個性があり、「たしかに実際、こんなヤツいるよな」と思わせます。
最重要人物であるピース君は、物語の後半まで唯一本名ではなく、ニックネームで登場します。
そのおかげで、他の登場人物よりも印象的で、読者の心の中にしっかり刻み込まれる効果があり、このような手法は珍しいと思いました。
後半はちょっとがっかり、ラストへの持って行き方や、両親を殺害された少年の設定とか納得いきませんでした。

久しぶりに現代物小説を読もうと思い、以前会社の人に薦められた宮部みゆき著書「火車」を読みました。
私は宮部作品を読むのはこれが初めてです。



さすが宮部最高傑作とか言われるだけあって、読み応えのある作品でした。
ストーリーの展開が面白くその読みやすさも相成って、ページ数のわりに早く読み終わった気がします。

失踪した女性、それを追う休職中の刑事、真相が明らかになるにつれわかってくる多重責務者の転落人生。
最初は点でしかなかったキーワードが少しづつ線で繋がっていき、やがて全てが繋がるミステリーの面白さが堪能できる作品です。
ここでは、「多重責務に陥るのは本人の金銭管理もそうだが、社会全体に責任があるのだ」ということを影ながら主張していて、それは少しの油断で誰にも起こりうることかもしれないと警告しているようです。

この「火車」が面白かったので、他の宮部作品も読んでみたいと思いました。
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