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先週の記事からまだ引きずってます。
アイアン・メイデンの「魔力の刻印」が、60年のブリティッシュアルバムで1位になったと先週書いた。
私は聴いたことがなかったので、この機会に全曲聴いてみた(フルで3回)。
良くも悪くも典型的アイアン・メイデンな作品だった。
想像していた通りのサウンドで、新鮮味というのがまるでなく、予定調和な展開に終始した感じだった。
駄作ではない。評価が高いのは理解できる。
ただ、今の私が、積極的にメイデンを聴きたい、という受け入れ態勢が整っていないのだ。
彼らはこのアルバムから一皮剥けたようにビッグになったらしいが、このアルバムが初メイデンだった人にとって、その個性と破壊力に打ちのめされたことだろう。
今更言っても仕方がないが、このアルバムをリアルタイムで発売されたのを知っているので、あの頃に体験してたら、きっと印象は異なったに違いない。
次はアデルだ。
今なお、驚異的な売り上げ記録を更新中で、すでに21世紀の名盤に認定されそうなアルバムだ。
早速全曲聴いたが、このアルバムが売れている理由はよくわかる。
優れたメロディ、パワフルなハスキーボイス、そして何より、アナログっぽいサウンドが決めてになっている。
このため、若者だけでなく、電子音楽アレルギーの中年層までをも虜にしたのだろう。
老若男女に受け入れられるサウンド作りなのだった。
今週はこのアルバムがヘヴィ・ローテーションで、今週だけで10回以上聴いたと思う。
前作「19」も聴いてみたくなった。
今回はイギリスでのイギリスのアルバムということだったが、もし日本で「偉大な日本のアルバム60枚」という企画があれば、どういう結果になっただろう?
やはりサザン・オールスターズやミスター・チルドレンが上位に来るのだろうか?
それとも、伝説となったBOOWYや尾崎豊?
あるいは、浜崎あゆみや安室奈美恵?
まさか、嵐やAKB48?
そこで、一つの指標となるのが、売り上げ枚数だ。
もちろんLP時代、CD時代、音楽不況の現在、それぞれ状況が違うので、あまり参考にならないかもしれないが。
では、現時点での邦楽アルバム売り上げランキングを見てみよう。
(☆印は私が聴いたアルバム)
1.宇多田ヒカル 「First Love」 ☆
2.B'z 「B'z The Best "Pleasure"」
3.グレイ 「REVIEW~BEST OF GLAY」 ☆
4.宇多田ヒカル 「Distance」 ☆
5.B'z 「B'z The Best "Treasure"」
6.浜崎あゆみ 「A BEST」 ☆
7.グローブ 「globe」 ☆
8.宇多田ヒカル 「DEEP RIVER」 ☆
9.倉木麻衣 「delicious way」
10.エヴリ・リトル・シング 「Time to Destination」
11.サザンオールスターズ 「海のYeah!!」
12.Mr.チルドレン 「Atomic Heart」
13.安室奈美恵 「SWEET 19 BLUES」
14.Mr.チルドレン 「BOLERO」
15.松任谷由実 「Neue Musik」
16グローブ 「FACES PLACES」
17.ドリームズ・カム・トゥルー 「The Swinging Star」 ☆
18.コブクロ 「ALL SINGLES BEST」 ☆
19.竹内まりや 「Impressions」 ☆
20.ZARD 「The Single Collection~軌跡~」 ☆
我ながら恥ずかしくなるくらいミーハーだ(笑)
こうやって見てみると、多くが90年代に発表されたもので、CD販売の黄金期を物語っている。
実に偏った結果で、宇多田ヒカル、小室ファミリー、B'z、ミスチルで半数以上を占める。
また、やたらとベストが多く、20枚中8枚がベストだ。
では、ベストを除いて、オリジナルアルバムだけに絞ればどうなるか。
1.宇多田ヒカル 「First Love」 ☆
2.宇多田ヒカル 「Distance」 ☆
3.グローブ 「globe」 ☆
4.宇多田ヒカル 「DEEP RIVER」 ☆
5.倉木麻衣 「delicious way」
6.エヴリ・リトル・シング 「Time to Destination」
7.サザンオールスターズ 「海のYeah!!」
8.Mr.チルドレン 「Atomic Heart」
9.安室奈美恵 「SWEET 19 BLUES」
10.Mr.チルドレン 「BOLERO」
11.松任谷由実 「Neue Musik」
12.グローブ 「FACES PLACES」
13.ドリームズ・カム・トゥルー 「The Swinging Star」 ☆
14.B'z 「LOOSE」
15. ドリームズ・カム・トゥルー 「DELICIOUS」
16.浜崎あゆみ 「Duty」 ☆
17.マイ・リトル・ラバー 「evergreen」
18.河村隆一 「Love」
19.モンゴル800 「MESSAGE」
20.Mr.チルドレン 「深海」
売り上げ枚数だけだと、宇多田ヒカルの一人勝ち状態だ。
やはり宇多田、小室ファミリー、B'z、ミスチルで半数になる。
とりあえず上位4枚は聴いてあるのだが、これは当時、邦楽を中心に聴いていたからだ。
1位の「First Love」は、ファンク色が強く本当にいいアルバムだった。
当時、日本でこういう音楽をやってる人はあまりいなかったと思う。
しかし、次のアルバムから普通のJ-POPになってしまったように思うのだが。
グローブの1枚目「globe」もポップでダンサンブルでいいアルバムだった。
しかし、売り上げ上位のこれらが、必ずしも邦楽史上に残る名盤ではないことは確かだ。
そもそも、邦楽界で名盤という認識があまりなく、時代を超えることが出来ていない。
ベストアルバムの売れ行きが高いのも、そういった流行に左右される文化を表していると思うのだった。
HMV本社(英国)が、エリザベス女王の即位60周年にあわせて行った「この60年間で最も優れたブリティッシュアルバム」のアンケート結果が発表された。
この結果ランキングがけっこう面白いので紹介しよう。
1位 アイアン・メイデン 「魔力の刻印」
2位 デペッシュ・モード 「ヴァイオレーター」
3位 ビートルズ 「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
4位 ビートルズ 「アビー・ロード」
5位 ピンク・フロイド 「狂気」
6位 ビートルズ 「リボルバー」
7位 クイーン 「オペラ座の夜」
8位 オアシス 「モーニング・グローリー」
9位 アデル 「21」
10位 ビートルズ 「ザ・ビートルズ」
11位 レッド・ツェッペリン 「IV」
12位 ビートルズ 「ラバー・ソウル」
13位 クラッシュ 「ロンドン・コーリング」
14位 デヴィッド・ボウイ 「ジギー・スターダスト」
15位 ザ・スミス 「クイーン・イズ・デッド」
16位 ブラック・サバス 「黒い安息日」
17位 レディオ・ヘッド 「OKコンピューター」
18位 ピンク・フロイド 「ウィッシュ・ウィー・ワー・ヒアー」
19位 エルトン・ジョン 「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」
20位 オアシス 「ディファインテリー・メイビー」
まず目をひくのは1位のアイアン・メイデンだ。
以前からヘビメタファンの間では名盤とされていたアルバムだが、60年の英国アルバムの中で1位に選ばれるとは驚きである。
英国HMVでは、ファンによるキャンペーンが行われたのではないか、とのことだが、私は素直に1位という結果を評価したい。
イギリス人が選ぶ、イギリスのアルバムのランキングに、日本人がケチをつけてはいけないからね。
2位はデペッシュモード。
1980年のデビュー以来、ヨーロッパで絶大なる人気を誇るバンドの、最高傑作と言われるアルバムだ。
ポップでダークで、不思議さやアクもあり、本当にいいアルバムだと思う。
最近、すっかり彼らにはまっている私は素直に嬉しい。
3位以下は、ブリティッシュ・ロックの名盤がずらりと並ぶ。
中でもビートルズの人気は圧倒的だ。
20位中、5枚もランキングしている。
また、大御所ばかりでなく、オアシスやレディオヘッドもしっかりランクインしていて大変ヨロシイ。
あまり加齢臭ただようランキングでは新鮮味に欠けるから。
個人的には、16位にブラック・サバスの1枚目がランキングしているのが嬉しいけど。
ハードロック/ヘヴィメタルのアルバムでランキングしているのは、1位のメイデンと11位のツェッペリン、16位のサバス、あとは22位にツェッペリン2が入っているだけだった。
20位以下のランクを見ると、けっこう知らないアーティスト、アルバムが多い。
ここで健闘しているのはローリング・ストーンズで、40位「メインストリートのならず者」、43位「スティッキー・フィンガーズ」、45位「レット・イット・ブリード」と70年代のアルバムが3枚がランクされ、大御所の底力を見せた。
全て見るのは、こちらから。
http://hmv.com/hmvweb/navigate.do?pPageID=5637
ちなみに、上位20枚中、15枚は聴いたアルバムだった。
聴いていないのは、1位メイデン、9位アデル、15位スミス、18位フロイド、19位エルトンの5枚。
そう、私は1位の「魔力の刻印」を聴いていないのだった。
だが、それはまあいいだろう。
アイアン・メイデンは他のアルバムをたくさん聴いてあるので、想像はつく。
私がここで注目するのは、9位のアデル「21」だ。
ベテラン勢や伝説のアーティストの中で、一人輝く若手だからだ。
この「21」は昨年のモンスター・アルバムで、世界中で驚異的な売り上げを記録し、今後名盤として認定されるだろう。
というわけで、実際にアデルの「21」を聞いてみた。
たしかにいい。
この「21」と「魔力の刻印」については、また来週詳しくやりましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=0ckIulg1DfQ
ライフメディアのリサーチバンクによる、音楽に関する調査結果が発表された。
■調査期間:2012年4月14日から4月19日
■対象者:10代から60代の全国男女
これによりわかったことを書き出してみよう。
■80%が週に1回以上は音楽を聴いている。
■音楽の入手方法は「レンタル店で借りる」「CD・レコード店などでCDを購入する」が上位になった。
■60%以上が音楽の情報を「テレビ番組」から収集している。
■音楽を聴くプレイヤーは、「パソコン」が53%で最も多く、続いて「デジタルオーディオプレイヤー」の48%であった。
■音楽を聴くシーンは「自宅」が最も多く、続いて「車」。
■よく聴く音楽のジャンルは77%が「J-POP」、42%が「ロック・ポップス」と回答。
これについての詳細だ。
まず、音楽を聴く頻度だが、ほぼ毎日聴く人は4割ほどで、どちらかというと女性のほうが音楽を聴いているようだ。
私は、ここ10年で全く音楽を聴かなかった日は、たぶん5日に満たないと思うのだが、そういう人は全体の半分以下らしい。
では、その音楽をどうやって入手しているのか?
最も多いのが「レンタル店で借りる」と「店頭やネット通販でCDを購入する」という、CD派の人たちだ。
ダウンロード販売が最も多い、と答えたのは9.9パーセントに留まり、これは日本独特の結果だろう。
もちろん、CDを買うけど、レンタルもするし、ネットも利用する、と、いろいろな手段を併用する人も多いので、「ダウンロード販売を利用したことがある」という人なら23.7パーセントになる。
私は、CDを買い、レンタルもし、ネットからのダウンロードもするが、ダウンロード販売は利用したことがない。
なんとなく、せっかくお金を払うんなら、CDという物体があるほうがいい気がするからだが、たぶんそういうのは古い価値観なのだろう。
そうやって入手した音楽を何で聴くかだが、パソコンとデジタル・オーディオ・プレイヤーが圧倒的に多数になっている。
いわゆるオーディオコンポで音楽を聴いている人は、今や少数派となり、またMDを聴く人も、数年後には絶滅しそうだ。
逆にスマートフォンで聴いている人は、今はまだ少数だが、こちらは今後どんどん増えていくと思われる。
私は、家にいるときは、パソコンかデジタル・オーディオで、クルマに乗っているときは、CD、もしくはデジタル・オーディオをカーステレオに接続して聴いている。
デジタル・オーディオは、6年ほど前に買ったシャープ製のを使っているが、メモリー容量が小さいので、あまりたくさん入らないのが難点だ。
では、何を聞いている人が多いのか?
これは圧倒的にJ-POPだ。
次がロック、ポップスとなっている。
J-POPにだってロックもポップスもあるわけだが、あえてそう答えているところから、洋楽もしくは、邦楽であってもヴィジュアル系やメタル系などはこちらかもしれない。
意外に検討しているのがクラシックだ。
約3割の人が、クラシックも聴いている。
逆に少ない、と感じたのは、R&Bやヒップホップなどのブラック系で、ジャズを下回り、少数派となっている。
音楽好きといわれる人には、狭く深く聴くタイプと、浅く広く聴くタイプの人がいる。
深くて狭い人は、かなりマニアックな人が多く、好きなアーティストのことなら何でも知っていて、全てのアルバムを持っていたり、ブートレグまで所有していたりする。
そしてネット上でファンサイトを運営していたり、そのアーティストを中心に取り上げるブログをやっていることも多く、楽器をやる人なら、トリビュートバンドをやっていることも多いようだ。
そうした人が書く文章は、アーティストに対する愛に溢れ、非常に好ましいことが多い。
それに対して、浅いけど、幅広く聴くタイプの人は、とにかく好奇心旺盛で、気になったアーティストは何でも聴いてやろうという、貪欲な人が多いではないだろうか。
私は典型的な浅く広く聴くタイプだ。
基本的に嫌いなタイプの音楽はなく、演歌でもクラシックでも、良いものなら積極的に聴きたい。
かつて、浪曲、詩吟、民謡、はたまた琵琶法師まで、ここでは取り上げてきた。
ポピュラー音楽についていえば、戦前のロバート・ジョンソンから、レディー・ガガまで、満遍なく聴けたらいいと思っている。
しかし、実際には、時間的制約、金銭的制約、さらに私自信の好みもあるので、全てを平均的に聴くことは出来ないのだが。
それでも、極力いろいろなジャンルに耳を傾けるよう心がけたいと思っている。
もう3年前になるが、浅く広くの音楽好きが高じて「名盤シリーズ」という洋楽名盤100選を書いた。
洋楽という括りの中で、出来るだけ偏りのないように選曲したつもりだ。
あれから月日が経ち、今これを見ると、それでもまだまだ偏っていると思う。
第一、大して名盤でもないアルバムが取り上げられていたり、もっと聴くべき重要なアルバムが欠けていたりする。
というわけで、近いうちに、リニューアル、または追加をしたいと思うのだった。
前回は、客観性よりも個人的な好みを優先したが、今度はヒットチャートの順位と売り上げ枚数をもっと意識したい。
ずっと前だが、ある人のコラムで、少々興味深いことが書いてあった。
その人は相当な読書好きなのだが、毎日日本国内だけで、膨大な数の書籍が出版されている、その中で自分はいったい何冊読むことが出来るのだろうか?という内容だった。
一生かかっても、出版される全ての書籍の数千分の一、あるいは数万分の一しか読むことが出来ない、それでは我が人生に悔いが残ってしまう、これはなんとしてでも速読方を身に着けなくては、、、という感じだったとおもうのだが。
私は、いくら本好きでも、本屋を買い占めても足りないくらい、それも自分に興味のない分野にまで手を出す必要など、どこにもないではないか、と思ったものだ。
今の私は、ちょっとだけその人の気持ちがわかる気がする。
もちろん、この世の全ての音楽を聴くことなど不可能だが、せめて1970年以降の全米トップ10ヒットアルバムの半分くらいは聴いてみたいと思う。
1年で50枚としても、40年で2000枚、その半分として1000枚くらいか。
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毎日、UFOクリサリスイヤーズ1980-86を聴いている。
先週は、5枚のうち、メカニックス以降の3枚がとくに良いと書いたが、その前の「ワイルド・ウィリング・アンド・イノセント」もかなりのものだと気がついた。
たぶん、「ヘヴィ・メタル・エクスペリエンス」もそうだろう。
さて、今日は、なぜこうも良いアルバムを連発しているのに失速していったのか?を考えてみたい。
70年代が人気のピークだと言われているが、80年代後半には墜落寸前にまで失速してしまう。
こうなった要因を次の二つのポイントから検証してみよう。
・マイケル・シェンカーの脱退
・ポール・チャップマン、アトミック・トミー・Mの力量
まずは、マイケル・シェンカーの脱退から。
実は、これはあまり影響がなかったのではないか、と思っている。
少なくとも、英米ではそうだ。
マイケルが失踪、脱退せず、90年代までバンドに在籍したとしても、人気は落ちていき、同じ状態になっただろう。
アメリカでは、77年の「新たなる殺意」をピークに、78年の「宇宙征服」ではすでにランクが下がってきているのだ。
これは、MSGがアメリカで成功を得られなかったように、マイケルが継続していても、同じ結果になったと思われる。
逆に英国では、マイケル脱退後のほうが売れていて、シングル・ヒットを飛ばし、アルバムはチャート10位以内に入り、レディング・フェスティバルではトリを努めた。
ただし、日本では違う。
マイケル脱退が大きく影響した。
英米でのUFO人気は、バンド全体としての人気だったのに対し、日本ではカリスマ・ギタリストの存在によって支えられていたからだ。
カリスマが抜けたバンドは、抜け殻みたいなもので、聴く価値はない。
そう考える人にとって、マイケルのいないUFOは、いくら優れたアルバムであっても、門前払いされてしまうのだった。
もし、マイケルがUFOを続けていたら、MSG人気がそのままUFO人気として継続されただろう。
武道館でライブを行い、スーパーロック84ではトリを努めたに違いない。
ただし、それでも80年代後半には、人気は低迷してきたと思われる。
次にポール・チャップマン、アトミック・トミー・Mの力量という観点から。
ポール・チャップマンは、74年一時的にUFOに加入したが、すぐに脱退、しばらくはマイケルの影武者として、バンドを裏から支えることになる。
やがて、マイケルが正式に脱退したあと、フィル・モグが彼に加入を求めたのは当然の成り行きだった。
過小評価されているチャップマンだが、ギターテクはマイケルと同等かそれ以上であり、作曲センスも素晴らしい。
しかしこの頃、すでにエディ・ヴァン・ヘイレンがデビューし、オジー・オズボーンはランディ・ローズ、シン・リジィはジョン・サイクスを迎えるなど、新世代ギタリストたちが戦線に投入されていた。
彼らに対抗するには、チャップマンはあまりに地味だった。
マイケルというギターヒーローの後任として入れるなら、次世代を見据えた人事でなければならない。
70年代型ギタリストとしては一級の腕を持ってはいたものの、それではマイケルの代役でしかないだろう。
時代が求めていたのは、80年代型ギタリストだ。
それはリフ作り、サウンド作りにおいてもそうで、それが楽曲全体に影響を及ぼし、同時期の人気ハードロックアルバムと比較すると、古さを感じるのだった。
その後、チャップマンは、ピート・ウェイとウェイステッドを結成、モグは新たなギタリストを探し始める。
このときの人選は、なかなか先見の明があると思う。
まず彼が目をつけたのは、あのイングヴェイ・マルムスティーンだった。
対談はしたらしいが、結局UFO入りはせず、グラハム・ボネットとアルカトラスを結成するに至る。
そして代わりに加入したのが、日系人ギタリストのアトミック・トミー・Mだ。
当時、ミュージックライフ誌では、かなり期待され、新たなギターヒーローとして人気が沸騰するかと思われた。
しかしテクニカルギター戦争は苛烈を極め、もはやアトミックの腕をもってしても、多くの新世代ギタリストの中では埋もれてしまい、結局セールス的には失敗する。
逃した魚は大きいというが、イングヴェイを収得出来なかったのは相当な痛手だ。
加入したところで、アルバム一枚で脱退したとは思うが・・・。
この二つのポイントを整理すると、マイケルの脱退により日本市場を失い、70年代型ギタリストの垢抜けないリフ、サウンドにより、アメリカ市場をも失う。
起死回生を願って派手なギタリストを投入するも、時すでに遅し、といったところか。
さらに、もう一つ付け加えるとすれば、楽曲のポップ化という方向性に問題はなかったのだろうか、ということ。
70年代後半あたりから、英国のハード・ロック・バンドはアメリカを目指してポップ化する。
しかし、皮肉にも80年代に勝ち残ったバンドは、いずれもポップ化どころか、ヘヴィ化、メタル化したバンドがほとんどだ。
では、UFOもそうしたほうが良かったのだろうか?
私が思うに、UFOのヘビメタ化は似合わない、と思う。
どちらかというと、もっとAOR的な路線に踏み込んでみても良かったかもしれない。
そうすれば、モグ、チャップマン、ニール・カーターの長所がより発揮されるような気がする。
ピートには似合わないだろうけど。
2012年現在、70年代も80年代も古臭い音楽であることに代わりはない。
だからこそ、今この時期のUFOを聴くと、素直にそのクオリティの高さがよくわかる。
これを機会に、再評価されることを望みたい。
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