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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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ドアーズのところでも触れたが、初めてそのアーティストの音楽を聴く場合、自分の気分がその音楽を受け入れる態勢になっていないと、その本質を見抜けないことがある。

自分の場合、そういうことが多々あるため、一度聴いて気に入らなくても、数年してから再び聴いてみることがある。
それで最初の評価が180度変わってしまうこともあるからだ。

最近では、いきものがかりの音楽がそうだった。

彼らの1作目のアルバムを聴いたとき、1曲も良いと思える曲がなく実につまらない作品だと思ったものだ。
なんか売れてるみたいだけど大したことないな、と過小評価するに至る。
しかし、ある日テレビで「yell」を歌っていた彼らを見て気になり、当時の新作であった4枚目のアルバムを購入、これは全曲気に入り、愛聴盤になった。
それから、以前気に入らなかった1作目のアルバムを再度聴いてみたのだが、不思議なことに、今度はほとんどの曲が良いと感じた。
この感じ方の変化には、自分自身とても驚いた記憶がある。

おそらく初めて聴いたとき、自分のなかで勝手にもう少しロックっぽい音楽を期待していたのかもしれない。
ご存知のように、いきものがかりの音楽はフォークや歌謡曲の影響が強く、ロック色は少ない。
しかし、「yell」を聴くことにより、彼らにロックよりのものを期待しなくなったとたん、彼らの本質であるメロディの良さが浮き彫りになり、素直に心に入ってきたのだろう。

要するに、まだまだ私の音楽理解度は未熟だったということなのだった(笑)


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個人が自分の好きな音楽を聴くだけなら、誰が何を聴こうがそれは個人の自由だ。
しかし、ブログなど公の場で音楽を語るなら、そのジャンルの基本や定番を押さえていなければ話にならない。
洋楽や邦楽のポピュラーミュージックについて多くを語る私は、いちおう基本的なアルバム、アーティストは聴いてきたつもりだが、まだまだ抜けが多く、やはりこの世界は奥が深いことを今更ながら思い知った。

そんな抜けている大物ロックバンドの一つがザ・ドアーズだ。
「ドアーズも知らないでロックを語るなんて何事か」とお叱りのメールが来る前に、彼らの1作目「ハートに火をつけて」と2作目「まぼろしの世界」を聴いてみた。

  

60年代後半特有のサイケ風味が混じったロックサウンド、ジム・モリソンのボーカルは音域が低くて個性的、キーボードがギターと同じくらいの存在感、けっこうバラエティ豊かな楽曲郡。
最初に「ハートに火をつけて」を聴いたときは、全く心に響かず、古さばかりが印象的だった。
というのも、私にとって60年代ロックというのは、ある程度自分自身に受身の態勢が整っていないと受け入れにくい部分があるからだ。
現在、私の音楽的興味は、注文中のCD(70年代ハードロックバンドのボックスセットと老舗バンドの新譜とベスト、70年代AOR)に向いてしまっている、というのもある。
一時期、キンクスやジェファーソン・エアプレインなどをよく聴いていたが、その頃ならもっと素直に入ってきたかもしれない。

それでも、2作目「まぼろしの世界」は良かったと思う。
1作目よりも洗練され、音楽としての完成度が増しているように感じたし、楽曲の完成度が高くなった。
ジム・モリソンの内に秘めた暴力性、セックスアピールなどからいくと、荒削りな1作目にこそ魅力があるのかもしれないが、彼にカリスマ性を感じない私とっては2作目のほうがしっくりくる。
どの曲もオルガンとギターの絡みがよく出来ていて、激しいドラムがバックで支えている。
とくにそれが顕著なのが1曲目「ストレンジ・デイズ」と4曲目「アンハッピー・ガール」で、メランコリックでサイケなバンドサウンドが素晴らしい。
また、ラストの「音楽が終わったら」という11分近い曲はなかなかの名曲で、評価の高い1作目のラスト「ジ・エンド」より好きだ。

60年代後半、ロックの名盤が集中して発表されているが、そんな中彗星の如く現れて、天国へ召されたアーティストの多さを考えると、異常な時期だったといえよう。
ジム・モリソンもそんな一人で、彼の死後、ドアーズは低迷していったようだ。 


昨日、近くのタワーレコードの書籍のコーナーにて、興味深い表紙の雑誌を見た。
「大人のロック!名盤ガイド」というタイトルだ。
表紙の最上部には「ロック史に輝く名盤555タイトルを完全ガイドとある。



ご存知のように、私は私の基準で選んだ洋楽の名盤100選というのを書いている。
20世紀に発売された洋楽の名盤、傑作、大ヒット作を、出来るだけ一つのジャンルに偏ることなく選んだつもりだが、まだまだ聴いていない名盤、傑作、大ヒット作はある。
なので、この手の名盤バイヤーズガイドにはよく目を通す。

さて、店で手に取った「大人のロック!名盤ガイド」をザッと読んでみて、私が思ったことを2点ほど。

【ロックを変えたアーティスト12組】

この本では、エルヴィス・プレスリーからビートルズまではロックの創世記と捉えており、その基盤に革命を起こしたアーティストとして12組選んでいる。

・レッド・ツェッペリン
・ドアーズ
・イエス
・ディープ・パープル
・ニール・ヤング
・ドゥービー・ブラザーズ
・ジャクソン・ブラウン
・イーグルス
・シカゴ
・ドナルド・フェイゲン
・ヴァン・ヘイレン
・エリック・クラプトン

まず、私はドアーズだけいまだ聴いたことがない。
それ以外のアーティストについては、全てのアルバム、主なアルバム、少なくとも代表するアルバムは聴いてある。
やはりドアーズは聴いておかなければ、ロックは語れないのかもしれない。
早速「ハートに火をつけて」というアルバムをチェックした。
しかし、ここにあげられたアーティスト、これは適当な選択だろうか?
たしかに皆大物で、後のロック界に与えた影響は大きいだろう。
私が12組選ぶならこうなる。

・レッド・ツェッペリン
・イエス
・ニール・ヤング
・イーグルス
・シカゴ
・ヴァン・ヘイレン
・エリック・クラプトン
ジミ・ヘンドリックス (ギター奏法に革命を起こした)
ピンク・フロイド   (プログレッシブ・ロックの創始者)
ブラック・サバス  (ヘヴィ・メタルの創始者)
クイーン       (ロックにあらゆる可能性を示唆)
セックス・ピストルズ (パンクの創始者)

【ロック史に輝く名盤555タイトル】

この本で取り上げられている名盤の選択はどう考えてもおかしい。
例えばイエス。
「ファースト・アルバム」から「ビッグ・ジェネレイター」まで全タイトルがあがっている。
名盤揃いのイエスであっても、全タイトルが名盤なわけではない。
555枚という限られた枚数のなか、「ファースト・アルバム」「時間と言葉」「トーマト」「ビッグ・ジェネレイター」まで入れる必要はない。
そして、ミック・ジャガー。
彼のソロ・アルバムから3枚選ばれているが、数ある名盤を差し置いて、3枚も選択?
いや、それよりもっと凄いのは、ローリング・ストーンズから一枚も選択されていないってどういうこと?
ストーンズだけではない。
ビートルズもビーチ・ボーイズもキング・クリムゾンもピンク・フロイドもキッスもクイーンも一枚もない。

勘のいい方ならおわかりだろう。
これは「ロックの名盤ガイド」でも「ロック史に輝く名盤555タイトル」でもなく、ワーナー・ミュージックの「フォーエヴァー・ヤング・シリーズ」の全タイトルを紹介しているだけなのである(苦笑)
このシリーズは、廃盤や入手困難となっていたロックの名盤を求めやすい価格で提供している大変優良なもので、ここの読者なら購入したことのある人も多いと思う。
それなら本のタイトルも「フォーエヴァー・ヤング・シリーズ全タイトル・ガイド」という名前にすべきだ。
いちおう表紙の下側に薄い字で「Forver YOUNG編」と書かれてはいるが(苦笑)

70年代初頭、洋楽のLPレコードには長い曲が収録されていることがありました。
たとえば、LPの片面に20分くらいの曲が1つしか入ってないとか。
とくに、プログレッシブ・ロックのレコードや、ロック・バンドのライブ盤にこういうのが多かったと思います。
それが綿密に計算されたスタジオ録音の場合、そのLPの目玉となる曲である場合が多く、当然、アーティスト側も気合を入れて製作しているわけです。
また、それがライブ録音だった場合、そのコンサートのクライマックスである場合が多く、当日の会場の興奮が伝わってくるようになっています。

さて、今日はそういう長い曲を集めてみました。

まずはスタジオ録音から、私の好きな順に10曲並べてみましょう。

1.神の啓示 (イエス「海洋地形学の物語」)
2.儀式 (イエス「海洋地形学の物語」)
3.シェヘラザード (ルネッサンス「シェヘラザード夜話」)
4.タルカス (EL&P「タルカス」)
5.危機 (イエス「危機」)
6.古代文明 (イエス「海洋地形学の物語」)
7.9フィートのアンダーグラウンド (キャラバン「グレイとピンクの地」)
8.ジェラルドの汚れなき世界 (ジェスロタル「ジェラルドの汚れなき世界」)
9.リザード (キングクリムゾン「リザード」)
10.エコーズ (ピンクフロイド「おせっかい」)

偏ってますね、要するに私はイエスの「海洋地形学の物語」が大好きなのです。
この中で、ジェスロタルのジェラルドは、片面1曲ではなく、両面で1曲です。
これらの他、ピンクフロイドの「狂気」、EL&P「展覧会の絵」も好きな長尺曲なのですが、1曲というより短い曲を並べてあるような感じなので除外しました。


次にライブ録音から、少々。

1.幻惑されて (レッド・ツェッペリン「狂熱のライブ」「伝説のライブ」)
2.ユー・ドント・ラブ・ミー (オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライブ」)
3.ミステリーテッド (レインボー「オン・ステージ」)
4.ウィッピング・ポスト (オールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライブ」)

元は短い曲なのに、インプロヴィゼーションで引き伸ばしているものを対象にしています。
実をいうと、この手の長すぎるライブ演奏は苦手です。
実際のライブ会場で、生で聴くならともかく、正直だれる部分があります。
例えば「幻惑されて」、途中のジミー・ペイジのヴァイオリン奏法の部分なんて早送りしてます。
「ユー・ドント・ラブ・ミー」の中間部、デュアン・オールマンのソロ部分も退屈に感じますし。
70年代半ば頃から、こういうインプロで長々と演奏するスタイルは古くなり、現在ではほとんどないように思われます。

 

先週お伝えしたイエスのニューアルバム、発売日を待ちかねて買ってきました。
結論からいえば、これは70年代の名盤に匹敵する傑作だといえます。

彼らの過去の名盤といえば、「サードアルバム」、「こわれもの」、「危機」、「海洋地形学の物語」、「リレイヤー」、「究極」の6枚でしょう。
21世紀以降、再評価されている「ドラマ」も加えてもいいかもしれません。
今回の新作は、それらのアルバムにひけをとらないイエス流プログレッシブ・ロック・アルバムなのです。

このアルバムの完成度の高さに最も貢献しているのは、ジェフ・ダウンズとトレヴァー・ホーンだと思います。
彼らのポップセンスが今回とてもいい方向へ導いており、スティーブ・ハウやクリス・スクワイヤのプログレ・センスが逆に生かされているように感じます。
ダウンズが、例えばジョン・ウェットンと組んだ場合、やや甘口が過ぎるところがありますが、イエスではスパイスがピリっと効いた味に仕上がっていて、バランスがとてもいい。
その結果、長大な組曲でも、難解な雰囲気はなく、親しみやすさをも兼ね揃え、時間を忘れて聞き入ってしまう魅力があるのです。

今回、約23分に及ぶ組曲「Fly From Here」ですが、6つのパートにチャプターが分かれており、聴きたいところから聴ける、という配慮も嬉しいですね。
相変わらず、スクワイヤのベースはブリブリ唸っているし、「プログレしか弾けないギタリスト」ハウ師匠も独特のフレーズを奏でて、得意のアコギソロもあります。
地に足の付いたアラン・ホワイトのドラムも、安心して聴けます。

このメンバーで来日してほしいですね。
新曲を中心に、ドラマからの楽曲、それに「危機」「シベリアン・カートゥル」「ラウンド・アバウト」あたりをセットに。
さらに私の大好きな「神の啓示」や「儀式」をやってくれたら発狂するかも。 

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