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私の好きな作家、東野圭吾氏の「夜明けの街で」。
いちおうミステリーということで殺人事件もあるのですが、物語の核となってるのは不倫。
主人公の渡辺、妻の有美子、不倫相手の秋葉が物語りの中心となってます。
ここで注目すべきは、妻の有美子です。
男から見れば、理想の妻といっていい。
・家事、育児、家計を問題なくまかせることが出来、
・舅、姑と不仲なわけでもなく、
・浮気することもなく、
・難病を抱えてるわけでもなく、
・精神不安定とか、鬱や何かの依存症もなく、
・子供がイジメにあってるとかもなく、
・趣味にはまりすぎることもなく、
・セックスレスでもなく、
・近所に変な人もいない、
こういった「よくある」不安定要素がないのです。
なのに、不倫をしてしまう夫。
不倫なんて得るものがないばかりか、下手すれば全てを失うことにもなりかねないのをわかっていながら。
「なのに」いや、「だからこそ」なのかもしれない。
完璧な妻というのは、完璧であればあるほどつまらないのかもしれない。
では妻のせい?
違うんです。
恋というのは、悲劇的であればあるほど、蜜の味が濃いから。
たとえば「タイタニック」。
ジャックとローズの恋に世界中が涙し、感動したものですが、映画の中の本人たちからすれば、こんなに悲劇的なことはない。
出会って、命をかけるほど愛し合い、しかしたった数日で死に別れてしまう。
誰がそんな恋を望みますか?
幸せに慣れてしまうと、本来それが理想的な状態であるのにもかかわらず、つまらなく感じてしまう。
なぜなら
「女房が女じゃないように、俺たちも男じゃなくなった。亭主とか父親とかオッサンとかそういうものに変わったんだ」(本文から新谷君の談話)
人生、時には山や谷も必要なもんですね。
今年は過去に読んだ本をもう一度読み直してみよう、ということで家にあるのを読み返すつもりだったのですが、実はあまり手元にはなかったりします。
というのも、一昨年まで年末になると、その年に購入した本を全て売り払っていたから…。
これは面白かった、とか、また読みたい、と思うものまで全てBOOK-OFF行きしていたので、また買いなおすという二度手間的行為を強いられる状況でした。
そんな中、最も痛かったのは、2年前に読んだ「翔ぶが如く」全10巻。
全て買いなおしました。
前は夢中になって約二ヶ月で読了しましたが、今回は一字一句読み逃すまいと、ページを舐めるように読み進めていったところ、1年近くかかってしまいました。
その結果、この長い小説の言わんとしていること、それはこの明治初期に起こった内乱を描くことによる昭和の戦争への批判、なのかな、ということ。
作者である司馬氏は、ご存知のように太平洋戦争に対して非常に厳しい見解をもっているのですが、それをあまりに無謀で戦術、戦略のない薩摩武士を描くことによって表現しているのではないでしょうか?
また何年後かに読み直したいと思います。
「翔ぶが如く」はとても重い作品なので、箸休め的に軽い作品もいくつか読み直しました。
昨年売らずに残しておいた、奥田英朗や乃南アサ、北方謙三あたり。
時間つぶしにはなりました。
最近、新たに2つ読みました。
1つは、和田竜「忍びの国」。
私にしては珍しく単行本です。
この小説の舞台になるのは、戦国期の伊賀の国で、いわゆる「天正伊賀の乱」です。
以前、この乱がどういうものだったかに興味をもち、図書館で資料を読み漁ったり、戦場となった城跡を回ったり、その土地の人に話しを伺ったりしてました。
なので、文庫化されるのを待てずに買ったのですが、やや期待はずれ。
なかなかよく資料を研究されてて、歴史考証もしっかりされてるのですが、物語の本質から言えば、歴史小説ではなく、時代小説。
単にその時代、その事件を背景にしているだけで、ストーリーそのものについては作り話です。
もう1つは東野圭吾「赤い指」。
ある待ち合わせまでの時間をつぶすために、何か面白い本はないかと立ち寄った店で買いました。
現代社会が抱える老人介護や、自分の殻に閉じこもる少年などを題材にした社会派ミステリー、けっこう面白かったです。
昨年までは年間30~60冊くらい読んでいて、その全ての簡単な感想文を書いてました。
昨年まではね。
今年買った書物は、3月に買った雑誌ギターマガジンと、先日、和歌山へ出張したとき駅で買った「真・坂本龍馬」という龍馬ブームに乗ったような本だけ。
今年のテーマは「じっくり物事を見極める」
以前読んだ本を再度読み返し、感動したこと、考えさせられたこと、それらをもう一度吟味して心に残していくことが出来ればいいかな、と。
しかし、私は買った本の大半をBOOK-OFFに売ってしまうので、手元にほとんどないのです。
なので、それをまた買いなおさなければならないのが、少し心苦しいところです。
とりあえず、手元にある数冊を読み返してるだけなのですが。
図書館へ行って借りたほうが良さそうですね。
今年読んだ本は41冊(作品数ではなく冊数)。
昨年と比べると20冊くらい少ないです。
理由として、今年の後半はいろいろ忙しくなって読む時間が少なくなったことがあげられます。
それでも今年は、今まで読んだことのない作家の作品をたくさん読めたので成果はあったといえましょう。
とくにはまったのは乃南アサと奥田英朗、それに京極夏彦、新田次郎です。
それと、今年は短編をたくさん読みたい、という思いから12冊の短編集を読みました。
奥田英朗の伊良部シリーズなどけっこうはまったのもありましたが、やはり自分としてはやはり長編小説が好きですね。
というわけで、今年のベストを5冊をあげてみましょう。
・「しゃぼんだま」乃南アサ
・「最悪」奥田英朗
・「ララピポ」奥田英朗
・「八甲田山死の彷徨」新田次郎
・「孤高の人」新田次郎
話は変わります。
私は毎年年末になると、その年に買った本を全て売り払います。
また読み返したいと思う本まで売ってしまうので、あとでまた買いなおすこともしばしば。
現に、今読んでいる司馬遼太郎「翔ぶが如く」全10巻をまた1から買いなおして読んでます。
というわけで、今年は上に書いた5冊は売らずに取っておこうと思うのでした。
新田次郎著書「八甲田山死の彷徨」読みました。
ずいぶん前に高倉健さん主演で映画化されたものの原作です。
ちなみに映画版は見たことがありません。
真冬の八甲田山を雪中行軍した結果、多くの人が凍死してしまったという、大遭難事件をベースに書かれた小説です。
この小説は、やれリーダー論だとか、リスクマネージメントだとか、上に立つものの管理能力だとかの教材にされるようですが、そんな読み方をする本ではないと思います。
だいたい、この事件の舞台となった時期(日露戦争前夜)、軍隊という特殊は社会などが、現代社会とは違いすぎるし、この例は極端すぎて現実性に乏しいですね。
それはともかく、小説としての完成度は非常に高いです。
史実をベースにしてはいるものの、読み物としての完成度を上げるためあえて脚色し、史実とは異なる新田次郎オリジナルのフィクション作品として書かれています。
混乱をさけるため、あえて登場人物の名前を変更している点も重要ですね。
その結果、新田次郎特有の読みやすい文章(優れた読み物というのは、まずは読みやすくなければダメです)と相まって、一流のエンタテイメント作品に仕上がってます。
真冬の八甲田山に挑む男達の人間ドラマが、リアリティたっぷりに展開されていて、身も凍る心境になります。
厳しすぎる上下関係、民間人への差別意識、荒れ狂う冬山、凍傷との戦い、極限での精神状態など、空恐ろしい非日常が描かれているのでした。
もう1冊新田次郎著書で、映画上映中の「剣岳」。
ご存知、明治の測量隊の活躍を描いた物語ですが、こちらも素晴らしい出来です。
同じく史実をベースにしているものの、著者オリジナルの解釈、脚色が行われ、完成度の高い大衆読み物に仕上がってます。
こちらは実在の人物名をそのまま使ってますが、ここに出てくる人は皆賞賛されるべき活躍をするので、本人の遺族の方も誇らしいことでしょう。
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