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新田次郎著書「八甲田山死の彷徨」読みました。
ずいぶん前に高倉健さん主演で映画化されたものの原作です。
ちなみに映画版は見たことがありません。
真冬の八甲田山を雪中行軍した結果、多くの人が凍死してしまったという、大遭難事件をベースに書かれた小説です。
この小説は、やれリーダー論だとか、リスクマネージメントだとか、上に立つものの管理能力だとかの教材にされるようですが、そんな読み方をする本ではないと思います。
だいたい、この事件の舞台となった時期(日露戦争前夜)、軍隊という特殊は社会などが、現代社会とは違いすぎるし、この例は極端すぎて現実性に乏しいですね。
それはともかく、小説としての完成度は非常に高いです。
史実をベースにしてはいるものの、読み物としての完成度を上げるためあえて脚色し、史実とは異なる新田次郎オリジナルのフィクション作品として書かれています。
混乱をさけるため、あえて登場人物の名前を変更している点も重要ですね。
その結果、新田次郎特有の読みやすい文章(優れた読み物というのは、まずは読みやすくなければダメです)と相まって、一流のエンタテイメント作品に仕上がってます。
真冬の八甲田山に挑む男達の人間ドラマが、リアリティたっぷりに展開されていて、身も凍る心境になります。
厳しすぎる上下関係、民間人への差別意識、荒れ狂う冬山、凍傷との戦い、極限での精神状態など、空恐ろしい非日常が描かれているのでした。
もう1冊新田次郎著書で、映画上映中の「剣岳」。
ご存知、明治の測量隊の活躍を描いた物語ですが、こちらも素晴らしい出来です。
同じく史実をベースにしているものの、著者オリジナルの解釈、脚色が行われ、完成度の高い大衆読み物に仕上がってます。
こちらは実在の人物名をそのまま使ってますが、ここに出てくる人は皆賞賛されるべき活躍をするので、本人の遺族の方も誇らしいことでしょう。
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