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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第41回名盤シリーズ
今回はサイモン&ガーファンクルの81年の再結成ライブ「セントラルパーク・コンサート」
(1981年作品)



80年代初頭、この頃すでにこのフォーク・デュオは解散していて、1度だけの再結成ということで、セントラルパークにてチャリティ・コンサートを行った。
53万人もの人たちが、集まったセントラルパーク。
その様子はライブ・レコーディングされ、また映像にも残された。

私が初めて聴いた彼らの曲は「スカボロー・フェア」。
「なんて美しい曲なんだ」
そのメロディの美しさ、ボーカルの美しさ、触れると砕けてしまいそうなくらい繊細なハーモニー。
アコギ1本によるシンプルでムダのないアレンジも気に入った。

このライブ・アルバムで聴ける彼らの状況だが、非常にリラックスした状況でステージに立っているように感じる。
1曲目の「ミセス・ロビンソン」から次々と素敵な曲が歌われる。
どの曲も、ポップで親しみやすく、ハーモニーも素晴らしい。
しかし、歌詞の内容はすこし厳しく、暗いものが多かったようだ。

ポール・サイモン、アート・ガーファンクルのそれぞれのソロ曲も演奏され、名曲「明日に架ける橋」で感動のピークに達する。
ここでのピアノのアレンジが素晴らしく、後でオリジナルのレコード・バージョンを聴いたときちょっとだけガッカリしたものだ。
「ボクサー」などを挟み、ラストは「サウンド・オブ・サイレンス」。
ロック・リズムの入らない、シンプルなバージョンで演奏されるこの曲は、ライブの最後を感動的に終わらせるのでした。



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第40回名盤シリーズ
プログレの名手が集まったグループ、エイジアの1stアルバム「詠時感~時へのロマン~」
(1982年作品)



今更このバンドがスーパー・グループだとか、メンバーの過去とかいうつもりはない。
1982年、人々の期待を背負い、期待に応え、大成功を収めたバンドだ。

80年代初頭、「産業ロック」と呼ばれるバンドが人気を博していた。
フォリナーやスティクス、ジャーニーなど、キーボードを大胆に使用したポップなハードロックで、「プログレ・ハード」などとも呼ばれていた。
大半がアメリカのバンドだったと思うが、そんな中本家本元のプログレの覇者が実力を見せ付けたのがエイジアである。
彼らの作り出す音楽は、とてもポップでわかりやすくドラマティックなロックを聴かせてくれたのだが、他のバンドと違ったのは、やはり彼らの出生がプログレ・バンドだったということだろう。

例えば1曲目「ヒート・オブ・ザ・モーメント」
よく聴かなければわからないのだが、いきなり変拍子だ。
少しも違和感なく4/4と2/4を交互に取り入れているが、サビになると通常の4/4になってノリを出してくる。
後半のギター・ソロでのカール・パーマーは非常に手数が多く、EL&Pっぽくて個性的だ。

次の「オンリー・タイム・ウィル・テル」は素晴らしいアレンジとメロディで大好きな曲だ。
ここでのスティーブ・ハウのギターはほとんどバッキングらしいバッキングをせず、常に単音フレーズを弾いている。
この曲に限りらないのだが、並のギタリストならディストーション・ギターでパワー・コードを弾きそうだが、イエス出身のハウはやはり並ではなかったのだ。

「ワイルデスト・ドリームス」はこのアルバムで最もハードプログレっぽい曲。
ここでのハウのギターは、まるでイエスの「古代文明」を彷彿させるいかにも彼らしいものだ。
そしてパーマーのドラム・ソロは、やはりEL&Pっぽくて迫力満点である。

そして「カッティング・イット・ファイン」この2部構成の曲もプログレっぽい。
前半は普通のハード・ポップだが、後半のクラシカルなパートは映画音楽のようで、ライブではジェフリー・ダウンズの見せ場にもなっていた。

このアルバムでジョン・ウェットンはボーカリストに徹しているように思う。
以前は強力なベースを弾いていて、とくにキング・クリムゾン時代はインプロヴィゼーションを引っ張っていた彼だが、エイジアではかなり控えている。
この頃のウェットンはボーカリストとして成熟しており、歌物アルバムの主役を張るのに充分な実力がある。

80年代、80年代の先端をいく、ある意味プログレッシブなアルバムだといえるのが、このアルバムなのだった。



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第39回名盤シリーズ
今回は77年発表の大ヒットアルバム、フリートウッド・マック「噂」。
(1977年作品)



メンバー・チェンジの多いバンドは数多く、時にはリーダー以外の全員が変わってしまう場合もある。
しかし音楽性に関しては、そのリーダーの持つ音楽観から離れず、もちろん時代に応じた変化はあるものの基本的なところは変わらない場合が多い。
ただ、今回取り上げるフリートウッド・マックに関しては、メンバーチェンジとともに音楽性まで変化し、それがプラスに作用して大成功した稀な例だ。

そのポップな面が大成功して、一躍アメリカン・ポップスの代表と言われるまでになったベストセラー・アルバムがこの「噂」だ。
とても完成度が高く、親しみ易い曲ばかりである。
しかしこのアルバムのレコーディングにはあらゆる困難があったようだ。

それは各メンバーのプライベートでの愛の破局だ。
男女混成バンドでありながら、バンド内の二つのカップルが破綻し、ミック・フリートウッドも長年の妻と破綻したのだった。
当然、そのような状況でバンド活動、レコーディングを続けるのは相当困難だったはずで、実際1年もの月日がかかっている。
おそらく顔もみたくないような、極度の緊張感の中でのレコーディングで、愛のトラブルを歌うという、常人だと耐えられない状況だったようだ。

このアルバムからのシングル・ヒット曲は「ドリームス」「オウン・ウェイ」「ドント・ストップ」「ユー・メイク・ラヴィング・ファン」である。
中でも「ドリームス」と「オウン・ウェイ」はスゴク好きな曲。
ちょっと気だるい歌いかたと淡々としたリズムが印象的な「ドリームス」は、全米1位ヒットを放つ。
対して「オウン・ウェイ」はロック的な力強さがあり、力強いドラムとギター・ソロで後半を盛り上げている。

こういったヒット曲だけでなく、その他もいい曲ばかりだ。
とくに私が好きなのは、「ソング・バード」というバラード。
切なく、美しく、その哀愁は胸が閉めつけらるようである。
ピアノとアコギだけをバックに、感情たっぷりに歌うボーカルが素晴らしい。
このアルバムを初めて聴いたとき、この曲ばかり繰り返し聴いてたら涙が溢れそうになった。
名曲揃いの「噂」の中では目立たない曲かもしれないが、これはまさに隠れた名曲だ。



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第38回名盤シリーズ
今回は2006年暮れに来日公演を行った、ビリー・ジョエル「ストレンジャー」
(1977年作品)



ビリー・ジョエルの魅力を一言でいうと何だろう?
やはり親しみ易いメロディ、やや無骨だけどよくとおる、ボーカルの魅力だと思う。
よく都会的なポップスと言われるが、この「ストレンジャー」はまさにそんな都会的なイメージをもったアルバムだ。
1977年に発表された本作は、バック・バンドにNY一流のジャズ・ミュージシャンを起用しているところが、特にサウンドを都会的にしているのかもしれない。

前作「ニューヨーク物語」が不振だったせいか、このアルバムの大ヒットぶりは当時衝撃だったかもしれない。
とくに表題曲「ストレンジャー」はディスコブームにもうまく乗って、人気が出たそうだ。

また、1曲目に収められた「ムーヴィン・アウト」も隠れた人気曲。
このアルバムの顔ともいうべき、都会派ポップスだ。

ただ、全体で見るとバラードなどの大人しい曲にこそ魅力があるように思う。
特に素晴らしいのはやはり「素顔のままで」だろう。
イントロのエレキ・ピアノが流れると思わず耳が引き寄せられる。
メロディが良いのは当然として、なんといってもこのアレンジが素晴らしい。
特にドラム、非常にセンスがよろしい。
それに絶妙なタイミングで入ってくるサックス、まさに都会の夜そのもので、雰囲気満点だ。

LPレコードでいうB面には、目立たないが良い曲がたくさん入っている。
とくに好きなのは最後の曲「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」だ。
甘すぎず、ちょっぴりスパイスの効いた大人の味わい。
ビリーのソウルフルなボーカルが魅力的で、サビの盛り上がりのあと、ちょっぴり寂しげになるところなど哀愁たっぷりである。



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第37回名盤シリーズ
今回取り上げるのはマウンテン「ナンタケット・スレイライト」。
(1971年作品)



クリームのプロデューサー、フェリックス・パッパラルディが第2のクリームを作る構想を立てたところ、巨漢のギタリスト、レズリー・ウェストと知り合ったことからマウンテンがスタートした。
1971年に発表された本作は、彼らにとって3枚目のアルバムで、一般的にこの作品にて人気を不動のものにしたと言われる。
メンバーは、レズリー・ウェスト(g、vo)、フェリックス・パッパラルディ(b、vo)、コーキー・レイング(ds)、スティーブ・ナイト(key)。

マウンテンのサウンドはクリームとはかなり違う。
もっと洗練されていて、アメリカにおけるハード・ロックの基板を作ったといえよう。
ときにプログレ的な展開を用いたり、リフ主体の曲を作ったり、バラエティ豊かでもある。

マウンテン・サウンドの要となるのが、レズリー・ウエストのギター・プレイだ。
マイケル・シェンカー、エース・フレイリー、ランディ・ローズなど、私の大好きなギタリストに大きな影響を与えたらしい。
とくにマイケル・シェンカーへの影響は大きく、チョーキング・ビブラートのかけ方や、その音色にも影響を見ることが出来る。
またピッキング・ハーモニクスを大胆に取り入れた最初期の人の1人だろう。

そしてパッパラルディのベースラインも重要なマウンテン・サウンドの一部だ。
メロディアスで、歌うようなベースを弾いている。

このアルバムの1曲目に収められている「Don't Look Around 」。
とにかく熱い演奏で、手数の多いドラムに、迫力あるレスリーのダミ声ボーカルなど、同時期のZEPやサバスとは全然違うタイプのハード・ロックだ。
この頃の演奏を映像で見ると、巨漢のレズリーが小さなレスポールJrを必死に演奏する姿が印象的だった。

このアルバムからのシングル曲「Animal Trainer and the Toad 」はポップな雰囲気で、音楽性の幅広さを感じることが出来る。

また、「Great Train Robbery 」はカントリー風で、レスリーのスライド・ギターを聴くことが出来る。
この辺りは、やはりアメリカのバンドだなって感じるところだ。

ハードなロック風の曲は「You Can't Get Away! 」や「Tired Angels 」、リフを主体とした硬質な曲である。
それでも明るいイメージがあって、ここでもアメリカを感じることが出来る。

そんななか、思いっきりブリティッシュな雰囲気があるのが、表題曲である「Nantucket Sleighride 」だ。
前曲「Taunta」がイントロ的な役割を持ち、途切れなくつながってくる。
静かにスタートし、ここでのベースラインはパッパラルディらしいメロディアスな歌うベースで、ここでのギターの絡み合いが素晴らしい。
プログレ的な展開をもつ、やや複雑な曲だが、聴き易さをも併せ持った名曲だ。

アメリカン・ハード・ロックの新星として活躍したマウンテンだったが、1972年には早くも解散してしまう。
その後、何度か解散と再結成を繰り返し、最近までマウンテンとして活動していたようだ。
なお、1983年にパッパラルディは妻に射殺されるという痛ましい事件で、他界してしまった。



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