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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第46回名盤シリーズ
今回はビッグブラザー&ホールディングカンパニーのライブ・アルバムだ。
(1968年作品)



もちろん主役はボーカルのジャニス・ジョプリンなのだが、この荒っぽい演奏によるバックがあってこその名ライブだと思う。
はっきり言って洗練とはほど遠い、口の悪い評論家には「素人に毛がはえた程度」と酷評されるバンドで、ジャニスの実力に伴わないなどと言われる。
しかしここで聴ける演奏は、「良い意味での荒さ」になっていて、かえって迫力が増す結果になってると思うのは私だけだろうか?

曲はブルースをベースにしたロックで、テンポのよいノリのある曲から、スロー・ブルースまでけっこう器用にこなしている。
ギタリストは二人いて、曲によってギター・ソロを弾き分けていますが、ハモったりはしない。
一人は繊細な感じのギターを弾いていて(サマー・タイムのソロを弾いてる方)、もう一人の方が多くリードギターを弾いている。
このもう一人のギタリストは、とにかく豪快なソロを弾く人で、少々のミスとかは気にせず、勢いで弾ききっているような感じだ。

ライブはバンドを紹介するMCからスタートする。
すぐにノリのいいリズムで曲がスタートし、楽しく歌い演奏してる様が眼に浮かぶようだ。
ここで聴けるリズム・ギターは、リズム感があってとてもよい。
ギターソロはよく言えばアバンギャルド、悪くいえばデタラメ弾いてるみたいに聴こえるが、これも味の一つだろう。

それらアップテンポの曲も良いのですが、味わい深い演奏、ボーカルが聴けるのはスロー・ブルースのほうだ。
「サマー・タイム」と「ボールとチェーン」の2曲は、このアルバムを代表する名曲、名演、名唱だろう。

ちょっと昔の演歌みたいなギターで始まる叙情的な「サマー・タイム」。
ジャニスの枯れたボーカルが非常に味わい深く、バックのジャズ的なギターと相まって悲痛な心の内面を垣間見るようである。
ここでのギタープレイはとても印象的なフレーズを弾いていて、この曲を魅力的に演出している。

もう1曲、「ボールとチェーン」、こちらはジャニスの熱烈なボーカルが堪能できるヘヴィなブルース。
イントロからカオスのような演奏がスタートし、「サマー・タイム」とは全く違う一面を覗かせる。
ときにやさしく囁くように、ときには壮絶にシャウトするボーカルが痛々しいほどの説得力で表現されるのだ。
バンドも彼女のボーカルを支えるべく、必死な演奏を行っている。

彼らはおそらくドラッグやアルコールに浸りながらツアーを続けていたと思われ、それがジャニスの早死に繋がってるいると思われる。
しかしこの迫力ある演奏は、そういった精神の限界状態でこそありえたのかも知れず、実に皮肉なものだ。



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第45回名盤シリーズ
ホール&オーツ「ロックン・ソウル・パート1」
(1983年作品)



今回取り上げるアルバムは彼らのベストアルバム形式なのだが、当時の新曲も入っている。
「ロックン・ソウル」という洒落たネーミングも面白いが、彼らの作り出すサウンドこそセンスの固まりみたいなものだった。

ダリル・ホールとジョン・オーツのポップ・デュオは、80年代に大変人気があって、テレビでもライブ映像を見たことがある。
とくにダリル・ホールがギターを弾いたり、エレキ・ピアノを弾きながら歌う様はとても印象的だった。
このアルバムを聴いたのは、その映像を見た後だったと思うが、ライブで演奏してた曲など聞き覚えがあって楽しく聴いていた。
このLPを買ったのは私の友人だったが、当時私の周りではとても好評で、普段ハードロックなんかを聴いてる人にもウケが良かった。
それだけ普遍性があり、誰からも好まれる作品だったといえよう。

当時はリズム&ブルースとかソウルなんてまるで知らなくて、「ロックとソウルが合体した音楽なんだな」って勝手に思ってた。
曲自体は普通のポップスのように思うが、ダリル・ホールの歌い方がソウルフルなのだ。
1曲目「セイ・イット・イズント・ソー」なんて、よく出来たエレクトロ・ポップだが、ダリルが歌うと本当にソウルフルに聴こえるから不思議だ。
メロディもどこかモータウン・サウンドの影響が見受けられる。
だから「サラ・スマイル」みたいな、曲自体が黒っぽい曲だと、さらに雰囲気倍増で、たしかにこれは売れるはずだ。

このデュオの話をすると、どうしてもダリルの話題ばかりになるが、もう一人の人、ジョンにもスポットを当てよう。
どちらかというと目立たず、脇役的な存在の相方、ジョン・オーツ。
よく、いてもいなくても同じとか、あまりよい評判ではなかった人だが、彼の弾くギターのカッティングはなかなかカッコよく、影ながらいい仕事をしてると思う。
後のダリルのソロを聴いたところ、そこにはホール&オーツのサウンドはなかった。
やはり二人揃ってのホール&オーツ、ジョンもいなくてはいけない人だったのだ。

この手のポップスは、ロックと違って時代に取り残されていく傾向にあるが、同時代を生きた者の心の中にはいつまでも残っている。
アルバムの最後は「ウェイト・フォー・ミー」のライブ・ヴァージョンで締めくくられる。
感情たっぷりに歌うダリルの歌唱を堪能して、アルバムは終了するのだった。



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第44回名盤シリーズ
今回取り上げるのはザ・バンド「南十字星」だ。
(1975年作品)



このバンドのサウンドを聴いてアメリカ南部かな?と思ったが、カナダだそうだ。
しかし、そう思ってしまうほど土臭いアメリカンなロックである。
ちょっとカントリーの匂いもする。

彼らの前身はボブ・ディランのバック・バンドだ。
当日の思いつきでセットリストを決定するディランのバックを勤めるには、相当の実力がなければ無理。
50年代末頃から活動をしていた「すでにベテラン・バンド」だった彼らは、そんな無理が通用する実力派だったってことである。

このアルバムを聴いて思うのは「聴き易いアメリカン・ロック」って感じだ。
と言ってもオールマンズみたいなブルースをベースにしてるんじゃなく、どちらかというとカントリーとフォークがベースになってるように思う。
私にはけっこう泥臭いサウンドに聴こえるが、彼らの初期のアルバムに比べると「モダンで都会的」だそうだ。

このアルバムで気に入った曲は1曲目「禁断の木の実」、3曲目「オフェリア」、4曲目「アケイディアの流木」、8曲目「おんぼろ人生」です。
心地よいサウンド、ゆったり流れる時間、大人のロックって感じ。
楽しみながら演奏してる情景が浮かんできそうである。
彼らは実力派中の実力派なので、これくらいの演奏はお手の物で、実に余裕たっぷりだ。

中でも「オフェリア」の楽しそうだが哀愁あるメロディがすごく気に入った。
また、ギター・ソロが実に素晴らしい。
リズミカルで、副音を主体にしたカッティングのようなギター・ソロ。
センスがいいし、なんといっても上手い。
他の曲にも言えることだが、所々でセンスの良さを感じさせるサウンドは、やはりベテラン・バンドの風格みたいなのを感じるのだった。



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第43回名盤シリーズ
今回はブルース・スプリングスティーン大ヒット作「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」
(1984年作品)



ブルース・スプリングスティーンの80年代における大ヒットアルバムで、今なおアメリカでは絶大なる人気を誇る人である。
タフで豪快なアメリカン・ロックと繊細でやさしいフォーク・ロックな部分があり、とくにメロディ・ラインは親しみやすく、とっつき易いサウンドと言える。
また歌詞の世界も独特で素晴らしいものがあるそうだが、英語の読解力が未熟な私はそこまで聞き取ることが出来ない。

全曲が良い曲で、どれもストレートなロック・サウンドだ。
いわゆる「ひねった曲」とか「小難しい曲」というのはなく、どれも1回聴いて「いい曲だな」と思えるものばかりである。
同時期のビリー・ジョエルの「イノセント・マン」と並んで、全曲聴きやすく捨て曲のないアルバムだ。

当時私はこのアルバムを聴きながら、リズム・ギターの練習をよくやったのを思い出す。
どの曲もノリ易いリズムで、カッティングの練習に最適だったのだ。

このアルバムの代表曲の一つと言えるのが「ボーン・イン・ザ・USA」。
力強く、単純とも言える明確なメロディ・ライン、アメリカ人であることを強調する歌詞。
この曲がこのアルバムを象徴してるような気がする。
ただ、一説ではこの曲は戦争の帰還兵や、共産主義との対立のむなしさを歌ってるとも言われる。
曲の出来でいえば他の曲のほうが良いと思うのだが。

たとえば「ダンシング・イン・ザ・ダーク」。
明るくポップなロックンロールだが、どこか哀愁漂う傑曲だ。
歯切れの良いリズムで、親しみやすいメロディーラインが特徴である。
たしかこの曲はシングルで、全米で大ヒットしたと思う。
この曲のプロモは、客席のファンの女の子がブルースに手を差し出されてステージに上げられ、一緒に踊るという素敵なものだった。

このアルバムの最後は「マイ・ホーム・タウン」。
ちょっぴり切ない曲だ。
元気な曲の多いアルバムだが、最後はしっとりじっくりと聞かせてくれる。
なんか計算しすぎともとれるアルバム構成だが、よく出来てると思う。

このアルバム発表後、ワールドツアーを行い、来日もしたそうだ。
ブルースのライブは長時間だという定説があり、現在もそれは継続されてるようである。
平気で4時間とかやるらしい。
とくに彼がE・ストリート・バンドをバックに従えたときは、人気、ライブパフォーマンス共にスゴイといわれる。
典型的なアメリカン・タフ・ガイだ。


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第42回名盤シリーズ
今回は再結成、世界ツアーも大成功だったポリスの「シンクロニシティー」。
(1983年作品)



私が初めてポリスを聴いたのは、このアルバムが発表された当事の「シンクロニシティー2」のプロモだった。
なんか「アー!」って叫んでいて「うるさすぎる」と思い、決して良い印象ではなかった。

その後学校でもこの「シンクロニシティー」アルバムが回ってきて「聴くか?」といわれたが「聴かない」と返事。
シンプルな演奏が素晴らしいと言われた「見つめていたい」だって、「3人だけの演奏ならともかく、シンセやピアノが入ってて、これのいったいどこがシンプルなんだ?」と反論したものだ。

そんな私の考えを変えたのが、たまたまFMで流れた「ロクサーヌ」という曲。
1st収録のこの曲は非常にシンプルで、何よりパンキッシュで、スティングのエッジのたったボーカルがとてもカッコよかった。
その後1stアルバムを聴いて「これはいいかも?」と思いはじめ、あとは聴けば聴くほど魅力を発見するにいたったのだ。

この「シンクロニシティー」はポリスの最高傑作と評される。
それまでのサウンドとは少し異なり、実験色が濃いように思う(とくに前半)。
それに対して、後半(LPのB面)はそれまでのポリス・サウンドに近く、聴き易い曲が多い。
このアルバムを代表する1曲は「見つめていたい」だと思うが、この曲だけ浮いてるように感じるのって私だけだろうか?
言うまでもなく誰もが知ってる名曲中の名曲だが、この曲だけが一人歩きしてしまいポリスの音楽を誤解させる結果になってるように思う。

個人的には旧A面に当たる前半の作品がとくに良いと思う。
スピード感溢れる「シンクロニシティー1」と「シンクロニシティー2」も良いのだが(とくに1はいい)、他の怪しい曲こそ素晴らしいと思う。
シルクロードを思わせるような幻想的な2曲目「ウォーキング・ユア~」や、アジア(インド?)っぽくて、スティングの嘆くようなボーカルが印象的な4曲目「マザー」がいい。
そして、もっと好きなのは3曲目「オー・マイ・ゴッド」。
この曲の重要な役割をもつべース・ラインとクリアなギター・カッティングをバックに、甲高いスティングのボーカルが良い。
後半に絡んでくるサックスもアバンギャルドな感じが曲の雰囲気にマッチしている。

後半ではラストの「サハラ砂漠でお茶を」がいい。
幻想的なムードの中切々と歌い上げるボーカルが、まるで砂漠の中でオアシスを捜し求めてるみたいだ。
夕暮れ時にこの曲を聴きながら目を閉じると、遠く彼方に蜃気楼が浮かび上がるような錯覚に陥る。




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