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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第36回名盤シリーズ
今回はクイーンの傑作アルバム「オペラ座の夜」。
(1975年作品)



私が初めて聴いたクイーンのアルバムは、「ホット・スペース」というダンス色の濃いレコードだった。
当時の最新アルバムで、けっこう良いアルバムだと思ったが、ファンの間では人気ないようだ。
それから1stアルバム、2ndアルバムと聴いて、とくに1stアルバムは気に入った。
そして、次は名盤の誉れ高い「オペラ座の夜」を買おう!と思い、レコード屋へ行ったのだが、売ってなかったので、仕方なく「ジャズ」というアルバムを購入。
でもこのアルバムは好きになれず、クイーンから遠ざかることになった。

その後、今回話題にする「オペラ座の夜」を聴くことになるのですが、なんと「ジャズ」を買ってから20年近くたってからだ。
もし、あのときレコード屋にこのアルバムがあれば、迷わず買っていたはずだし、クイーンにはまっていた可能性もある。
クイーンっていいバンドなんだなっていう、今更なことを改めて認識したのだった。

やはり、各曲がそれぞれバラエティ豊かで、個性的で、完成度が非常に高い。
よくオペラとロックの融合などと形容されるが、普通に曲の出来、アレンジの出来が素晴らしいんだと思う。

初期のクイーンはハードロック・バンドとして括られることが多いのだが、この4枚目のアルバムにハードロック色は少なく、印象としては通常のブリティッシュ・ロック・バンドだ。
しかし普通じゃないのは、この斬新なアレンジ力だろう。
とくに抜きん出ているのは名曲「ボヘミアン・ラプソディ」。
「20世紀で最も偉大な曲」とも言われる、このオペラ的な曲の完成度はどうだ。
オープニングのコーラスワークにピアノが絡んでくるところから、ゾクゾクと期待感が高まってくる。
メロディの素晴らしさもさることながら、アレンジ力の凄さがこの曲のレベルを飛躍的にあげていることは間違いない。

ただ、「ボヘミアン~」だけがこのアルバムの魅力ではない。
「ボヘミアン~」が偉大すぎるために、他の曲の評価があまりされてないようなので、いくつか個人的に好きな曲を紹介しよう。

1曲目の「 Death on Two Legs 」はハードなロックっぽい曲だ。
私はこの曲は、サビがとくに良いと思う。
サビのコーラスワーク、とくに最高音の声がキャッチーでいい。
ブライアン・メイのギターは、ここでも独特のこもったサウンドを聴かせてくれる。

4曲目の「You're My Best Friend 」はメロディアスでポップな曲。
エレキ・ピアノの音色がなんとも印象的で、フレディの思い入れタップリのボーカルとコーラスワークが乗ると、なんとも素直にいい曲だなって感じることが出来る。
ここでのドラムも、適度なオカズが心地よい。

5曲目の「'39」はカントリーっぽい曲。
アコギのストロークが良いのは当然だが、やはりこのバスドラだけによるノリがホノボノとしていい。
ここでも素晴らしいコーラスワークが楽しめる。
ノスタルジックでちょっぴり哀愁漂う名曲だ。

7曲目の「 Seaside Rendezvous 」は楽しいポップな曲だ。
こういうタイプの曲ってなんていうんだろう?
お洒落で、楽しくって、踊りだしたくなるような曲なのだ。
こんな曲をサラッとやってしまうあたり、やはり只者ではない。



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第35回名盤シリーズ
今回は、ウィッシュボーン・アッシュ「百眼の巨人アーガス」
(1972年作品)



ウィッシュボーン・アッシュは、私より少しだけ上の世代の人にとって、とても重要なバンドで、ツインリードといえばウィッシュボーン・アッシュと真っ先に思い浮かぶバンドらしい。
それまで、一つのバンドにギタリストが2人いるバンドは珍しくはなかったが、その大半はリードギターとリズムギターと役割分担がはっきりしていたのだった。
しかし、このバンドは2人のギタリストが共にリードギタリストであり、曲によってギターソロを引き分けるだけでなく、美しいハーモニーを弾くこともあり、当時としては新しい試みだったようである。
彼らよりも前にヤードバーズなどで、ジェフ・ベックとジミー・ペイジがツインリードとして在籍していた時期もありましたが、時期は短くバンドとしての個性にはなってないように思う。

さて、この「百眼の巨人アーガス」を聴いて最初に感じたのは「以外に大人しい」ということだ。
同じく最初期のツインリード・バンドにオールマン・ブラザーズ・バンドがありますが、彼らはアメリカン・バンドらしい豪快さなブルース・ロックだった。
そんな彼らと比較すると非常に線が細く、フォーク的な印象を持ったのだった。
しかし繊細とも言える彼らのサウンドは実にブリティッシュ・ロックらしく、メロディ・ラインの美しさは彼らの特徴の一つといえる。

アンディ・パウエルとテッド・ターナーの2人のリード・ギタリストは、この時期の他のギタリスト同様、ペンタトニック・スケールを多用したギター・スタイルだ。
速弾きなどのテクニカルな奏法はほとんどやらない。
しかし流れるようなフレーズを、湧き出る泉のごとく弾きだすのは、かなりのセンスの持ち主であることは間違いない。
また美しいアルペジオ・フレーズを多用しているのも特徴の一つかもしれない。
フォーク・トラッドの影響がこういうところにも現れていて、メロディの美しさをより引き立てることに成功している。

このアルバムからのお気に入りですが、2曲目「いつか世界は」、前半は大人のムード溢れる切ないバラードだが、途中からアップテンポになり曲調が替わる。
ここでまず注目すべきは、マーティン・ターナーによるベース・ラインだ。
これはかなりスゴイ。
私はこれを聴くとベースが弾きたくなる。
そして後半の長いギター・ソロも聴き所満載だ。

そして7曲目「剣を捨てろ」。
アルバムのラストを飾るに相応しい、壮大で感動的な曲。
後半のツイン・ギターがハモッてるようで、微妙に違うフレーズを弾いているのだが、異なるメロディを同時に演奏して一つの音楽にするっていのは、構想としては他にもあったと思うが、ここまで完成させている例は珍しいと思う。



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第34回名盤シリーズ
今回は70年代初頭のグラムロック、T.レックス「電気の武者」だ。
(1971年作品)



私は長い間グラムロックは苦手だった。
今も得意ではないが、以前よりはかなり理解出来るようになったとは思う。
やはり、年月を経てジックリと聴いてみるとジワジワ良さもわかってくることもあるのだ。

今回この記事を書くにあたり、何度も聴きなおしてみてわかったのは、この気だるい雰囲気に身を任せて聴いてほうがいいってこと。
ゆったりとしたリズム、決して慌てず騒がず。
そうすると、マーク・ボランのボーカルも心地よく聴こえてくるから不思議だ。

そういった特徴がとくに現れているのが、4曲目「Monolith」。
ずっと一定のリズムで緊張感の欠片もない。
しかしメロディがよいのと、ダランとしているけど盛り上がる部分はそれなりに盛り上がり、聞くものを飽きさせない。
合間にはいるワウギターがいい味を出し、ボランの気だるいボーカルも雰囲気がある。

そしてポップな「Bang a Gong(Get It On)」。
80年代にデュラン・デュランのメンバーらが結成したバンド(何という名前か忘れた)がカバーした。
ロックンロール風のギター・リフにカッティングが絡んできて、軽快なリズムで曲は進行する。
サビは覚え易く、1回聴けば皆で口ずさめる。
こういう親しみ易さも、T.レックスの人気の秘訣かもしれない。

ちょっぴりせつないバラード「Girl」。
アコギの弾き語り調の曲で、ホルンみたいな音がホノボノした雰囲気を醸し出している。

「Life's a Gas」は短いけど、味わい深く、つい何度も聴いてしまう曲だ。
ちょっと不思議なメロディ、変な音の短いギターソロ、変わってるけど好きな曲だ。



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第33回名盤シリーズ
今回はヘヴィメタ界のカリスマ・ボーカリスト、オジー・オズボーンのソロ1作目「ブリザード・オブ・オズ」。
(1980年作品)



ブラック・サバス脱退後のオジー・オズボーンのソロ・プロジェクトである。
このアルバムには、サバス時代のオドロオドロしさと80年代的華やかさがうまくミックスされている。

やはり注目すべきはランディ・ローズのギター・ワークだろう。
そのリフ構成は完全に80年代以降の音で、発売当時新しい時代の幕開けを予感させるものだった。
それまでのトニー・アイオミやジミー・ペイジなどの名リフ・メイカーとは全く違う手法で、巧みに16部の低音弦刻みを織り交ぜた当時としては斬新なものだった。
とくにそれは顕著に現れているのが、1曲目「アイ・ドント・ノー」や続く「クレイジー・トレイン」だ。
非常にスピード感があり、重さもあるリフ構成は、今聴いても古さを感じさせない。

そしてなんと言っても華麗なギター・ソロだ。
よく練られた美しいコード進行をベースに、クラシカルで美しく、しかもスリリングで緊張感あふれるギター・ソロを展開するのだ。
とくに名曲の誉れ高い「ミスター・クロウリー」と「レヴェレーション」。
このコード進行にはこのメロディしかありえないのでは?と思うほど完成されたギター・ソロである。
「ミスター・クロウリー」の後半のギター・ソロなんて完璧なソロの一つだろう。
高速アルペジオでスタート→トリルを効果的に用いたメロディアス・パート→ハンマリングで下から駆け上がり→トリルでさらに上昇→フルピッキングで一気に駆け下りる→フェイドアウト、と全く非の打ち所のないものだ。

また適度なポップ感もこのアルバムの特徴である。
すでに70年代後半のサバスのアルバムには、ポップテイストの曲があったのはあったが、ここまで華やかなムードはなかった。
前述の「クレイジー・トレイン」は今もライブでの重要なレパートリーとなっているが、このポップ性が今も人気の秘訣だろう。

ランディが残した音源はあまりにも少なく、スタジオ・アルバムはこれと次の「ダイアリー・オブ・ア・マッドマン」だけである。
あまりにも早すぎる死ゆえに、すでに伝説となっているが、彼が生きていたら相当なギタリストに成長していたことだろう。
なぜなら、生前残したアルバムでのギター・ワークはこれほどの完成度を持ちながらも、まだ「未完成感」があるからだ。




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第32回名盤シリーズ
今回取り上げるのはクラッシュ「パールハーバー79」
(1979年作品)



普通、クラッシュといえば「白い暴動」や「ロンドン・コーリング」だと思うが、あえてこの日本企画盤を選んだ。
「ロンドン・コーリング」は人気のアルバムだが、パンク色は薄れ「アメリカ人でも聴くパンク」などと呼ばれるロックンロール色の濃いアルバムだった。
で、よりクラッシュらしい、よりパンクらしいのは「白い暴動」のほう。
しかし私はどうしても「クラッシュ・シティ・ロッカーズ」や「アイ・フォート・ザ・ロウ」の入ってるアルバムにしたかったので、このアルバムを選んだのだった。
この日本限定企画盤はアルバム「白い暴動」US盤全曲にシングル曲の「クラッシュ・シティ・ロッカーズ」「アイ・フォート・ザ・ロウ」など数曲を加えたものだ。
今の感覚でいえば、ボーナストラックが入ってるような感じだろう。

メンバーは、ジョー・ストラマー(vo、g)、ミック・ジョーンズ(vo、g)、ポール・シムノン(b)、テリー・チャイムス(ds)
サウンドは荒々しいロックンロール。
歌詞は反米を主体としていて、2曲目に「反米愛国」という曲が入っている。
当時のツアー名が、このアルバムタイトルになった「パール・ハーバー79」という反米感情むき出しで、アルバムジャケットはゼロ戦が爆弾を落としてるもの。
ここまでやるか?と思ってしまうほどだ。

アルバムは当時のライブのオープニングである「クラッシュ・シティ・ロッカーズ」から。
かっこいいロックンロールだ。
特にサビになって定型リズムになり、コーラスが入る部分のノリがよくっていい。
このアルバムはメンバー自信が選曲しているのだが、ライブの構成と同じになっているのが、他のアルバムと違うところだ。
当時来日のなかったクラッシュだが、日本のファンはこれを聴いてライブを想像したことだろう。

続く「反米愛国」はセックス・ピストルズっぽい曲。
この曲の出だしで「ヤンキー、ソールジャー~」と歌うところが微笑ましい。
またピストルズと違って親しみやすくメロディアスなところがいい。
そのメロディアスな面がよく表れているのが「コンプリート・コントロール」や「出世のチャンス」、「ポリスとコソ泥」あたり。
非常にポップでもある。

また積極的にレゲエのリズムなども取り入れる柔軟なところもクラッシュらしいところだ。
「ハマー・スミスの宮殿」でそれを聴くことが出来る。

このアルバムで最も有名なのはやはり「アイ・フォート・ザ・ロウ」だ。
少し前にもテレビCMでも使われていたので知ってる人も多いと思うが(クラッシュ・バージョンじゃなかったが)
メロディアスでポップでわかりやすいメロディ、クラッシュらしい曲である。

日本のモッズなどは思いっきり影響を受けているようだ。
この親しみ易さが多くの支持を受ける最大の理由であることは間違いない。



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