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第56回名盤シリーズ
今回は70年代に活躍した女性ロックンローラー、スージー・クアトロだ。
彼女はアルバムよりもシングルよりの活躍をしていたそうなので、シングル・ヒットの詰まったベスト・アルバムを取り上げることにした。
私がスージーの名前を知ったのは、「こち亀」のマンガのシーンから。
たしか中川が派出所の夜勤中、ラジカセでロックをガンガン聴いていて、両津が何を聴いてるんだ?と見てたら…
両津「なに?スージー中トロ?なんだ寿司屋の歌か」
中川「違う!スージー・クアトロ!」
という会話からだった。
当時小学生だった私は、漫画の中で使われている「ガーン」とか「ビビビ~ン」とかいうロックを表現する言葉を見て、過激な音楽を想像したものだった。
さて、それから20数年後、なんとなくスージー・クアトロって聴いたことがないなぁ、一度聴いてみようかな~と思って買ったのが、このCD。
私が本格的にロックを聴くようになった頃は、スージーの名前があがることがほとんどなく、それまで聴いたことがなかったのだった。
リアルタイムで70年代を経験した人と、後追いの人では、印象の差がはっきりしている人だと思う。
当時は日本でもかなり人気があったようで、酒のCMなどにも出演していたらしい。
で、実際に聞いて見ると、初期のAC/DCやKISSの女版って感じだった。
シンプルでノリのいいロックンロール。
男まさりのカッコいいお姉さんが、声を枯らしてロックを歌うっていう、私が聴く前にイメージしていたそのものの音楽だった。
私の持ってるCDでは1曲目が「Can The Can」。
こういう純粋にROCKのカッコ良さが詰まった曲って、最近あまりないような気がする。
英チャートでNo.1ヒットとなったこの曲、スージーを代表するロックンロールだ。
他「The Wild One」なんか、とてもキャッチーな楽しいポップ・ロックで、かなりいいと思う。
ロック・ナンバーばかりでなく、ちょっと違うタイプの曲も見事にこなしている。
例えばファンクな「ママのファンキー・ロックンロール」とか、カントリー風の「涙のヤング・ラブ」とか。
聴いていると、明るい曲でもメロディのあちこちに哀愁が溢れていて、実に感傷深い気持ちになるのだった。
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第55回名盤シリーズ
今回は、スティーリーダン「彩(エイジャ)」だ。
(1977年作品)
ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーによるプロジェクト的なユニットで、初期の頃から知的なサウンドでアメリカのインテリ層を中心にヒット作を連発していた。
中でも今回紹介する「彩(エイジャ)」は200万枚を売り上げ、その年のグラミー賞を受賞するなど、彼らの代表作といえる。
私がスティーリーダンの音楽を聴いたのは、そんなに古い時期ではなく、初めて買ったアルバムは、20年ぶりの新作と言われた2000年発表作「トゥー・アゲインスト・ネイチャー」だ。
ここからのシングル曲がFMでよく流れていて、一発で気に入りCDを買った。
第一印象は「マイケル・マクドナルド時代のドゥービー・ブラザーズみたい」だと思ったこと。
マクドナルド時代のドゥービーは大好きだったので、このアルバムはよく聴いた。
さて本題に戻りるが、この77年のアルバムも基本的には同じ都会的なポップスがギッシリ詰まった傑作だ。
そして、「トゥー・アゲインスト・ネイチャー」よりも親しみやすい曲が多い。
さすが、当時一流のポップ・スターのアルバムってとこだ。
やはり70年代後半っぽく、フュージョンの影響も強い。
表題曲なんてモダンなジャズと言っても差し支えない曲で、そのメロディ・ライン、テンションの効いたコード、そして後半のサックス・パートなど最高にクロスオーバーしている。
このアルバムに参加しているミュージシャンに、ジャズ系の人が多いことも影響しているのだろう。
私はギター趣味人なので、誰のどのアルバムを聴いても、ついギターを中心に聴いてしまう癖があるのだが、そういった視点からもこのアルバムは聴き所満載である。
とくに歌のバックでさりげなく使われるコードカッティングや、単音をミュートしてポコポコさせたりなど、フュージョン的プレイが心地よい。
そのセンスの良さは、ディストーション一点張りのヘビメタ・ギターと違い(いや、これはこれで大好きなのだが)、シーンに応じて巧みに音色を変化させ、クリア・トーンの素晴らしさを教えてくれる。
もちろんゾクゾクするようなギター・ソロも聴ける。
中でも「アイ・ガット・ザ・ニュース」におけるクリア・トーンのソロは、まさにジャズなハイ・センス・プレイで、もちろん恐ろしく上手い。
それともう一つ、重要な役割を果たしているのが、随所に登場するピアノの響きだ。
これもやはり、ジャズ的なテンション・コードを多様していて、底の深さを感じさせる。
これだけジャズの要素が多いにも関わらず、とても親しみやすく、非常に聞きやすいアルバムで、普通のポップ/ロックを聴く多くの人に受け入れられたのだった。
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第54回名盤シリーズ
シカゴの大ヒット作「ラブ・ミー・トゥモロウ」
(1982年作品)
私が高校に入学した当時、このアルバム収録の「素直になれなくて」が大ヒットしていて、クラスでもファンが多かったバンドだ。
中でも陸上部のI君(ローカルな話題ですみません)はシカゴが大好きで、彼のウォークマンにはいつも「ラブ・ミー・トゥモロウ」のカセットが入っていた。
普通の人が普通に洋楽を聴いていた時代、シカゴは80年代の日本でも普遍的な人気があったのである。
今このアルバムを聴くと、どこから聴いても80年代の匂いがプンプン漂ってきて、古さを感じさせる。
80年代リアルタイマーの私でさえそう思うのだから、今の若い人にはちょっとキツイアルバムかもしれない。
しかしそれは楽器の録音技術や、当時の流行を取り入れたプロデュースのせいであり、楽曲のレベルの話ではない。
どの曲も親しみやすく、印象に残るメロディが満載で、今録音をしなおせば充分現代に通用するクオリティだと思う。
70年代、ブラス・ロック・バンドとしてBS&Tなどと共に人気を集めたバンドだが、当時は2枚組アルバムを連続して出したり、ライブでは長いインプロヴィゼーションをやったりするジャズっぽい演奏が売りだった。
そんな彼らがポップになってきたのは「シカゴV」からだとされるが、元々メロディラインは親しみやすく、今回紹介する16枚目のアルバムは、産業ロック的アプローチまで試みている。
とくに4曲目「チェインズ」や9曲目「レスキュー・ミー」あたりは、キャッチーなメロディとパワフルなアレンジで、シカゴ流産業ロックの傑作だ。
シンセとディストーション・ギターによる分厚いサウンドにブラスが絡んでくると、TOTOのグラミー賞受賞アルバム「IV」にも似たサウンドが完成する。
それとAORっぽいセンスもあり、8曲目「ホワット・キャン・アイ・セイ」なんかはその代表と言えるだろう。
このあたりは、いかにも80年代っぽいところだ。
このアルバムを代表する曲がシングルヒットを飛ばした「素直になれなくて」だ。
ピアノのメロディが切ない響きを奏で、包み込むようなやさしいボーカルが雰囲気を盛り上げる。
シングル・バージョンはバラードのまま終わるが、こちらはアルバム・ヴァージョン。
途中からブラス・セクションが入ってきて、後半はハードな演奏になる。
やはり、本来のブラス・ロックの味があるアルバム・ヴァージョンのほうがいい。
もうひとつ代表曲「ラブ・ミー・トゥモロウ」
パワーが漲るような堂々としたサビが印象的なこの曲は、このアルバムの表題を繰り返す。
この曲の良さは歌部分だけでなく、たとえば中間部のピアノなどアレンジ・センスも良く出来ていることだろう。
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第53回名盤シリーズ
ジェフ・ベックがヴァニラ・ファッジのリズム隊と作ったハード・ロック・トリオ、ベック・ボガード&アピスの来日ライブだ。(1973年作品)
冒頭からいきなり「キャハ!」という変な声のあと、トーキングモジュレーターを使ったユニークなギターで始まる。
そのあとは全13曲、パワフルなトリオ演奏によるハードなロックが展開されるのだ。
この演奏を聴くと、ヤード・バーズ出身ギタリストって一度はこういう音楽を通るんだなって思ってしまう。
それが、クリーム、ZEP、BBA、どれも個性的で、パワフルなリズム隊をバックにした演奏バトルが売りになっている。
その中でブルース色の濃いクリームやZEPと違うのは、ファンク色、ポップ色がいいスパイスになってるところだろう。
このアルバムの聴き所はいくつもあって紹介しきれないのだが、やはりトリオ演奏による肉体と肉体のぶつかり合いが産む緊張感と爆発力だ。
高度なテクニックと高度なセンスを持ったミュージシャンなら、3人集まれば充分刺激的な音楽を創造出来る。
この必要最小限なロック・ユニットが生み出す破壊力は、70年代初頭の実力派バンドの象徴みたいなものだ。
よくこのアルバムは「音質が悪い」とまことしやかにささやかれているがが、私はそのように感じたことがない。
充分に迫力があり、バランス、音の分離など文句ないと思う。
もしかして、実際にライブ会場に訪れた人にとっては、これでも物足りないくらい凄まじいライブだったのかもしれないが。
「ジェフズ・ブギー」、おそらくこのアルバムで最も人気の高い曲かもしれない。
シャッフルのリズムに乗せて、実に楽しく演奏する様が眼に浮かぶようだ。
このときのライブでは、ベックはレスポールを弾いているようだが、音色がとても艶っぽくていい。
個人的にはこの2枚組アルバムの2枚目のほうが好きだ。
中でも「スウィート・スウィート・サレンダー」が大好きで、このCDを聴くとき必ず2~3回は繰り返して聴く。
はっきり言って演奏は荒い。
隙間だらけ…というより、「紙を張っていない障子」のようなスカスカなサウンドだが、これが実に味わい深く「ロック」を感じさせる。
ポップなバラードだが、たまらなくロックなのだ。
最近のデジタル化した音楽では絶対に表現出来ない、これこそ生身の人間による音楽なのだ。
残念ながら短命に終わったバンドで、スタジオ作1枚と、このライブ・アルバムだけが残された。
大阪厚生年金会館でのステージを録音した本作品は、日本だけの発売だったらしい。
この荒い演奏がベックは気に入らなかったそうだが、私はこの荒さにこそ「ロック魂」を感じるのだった。
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第52回名盤シリーズ
英国の元祖ビジュアル系ともいえるジャパン「ブリキの太鼓」
(1983年作品)
不思議なバンドによる、不思議な曲がたくさん入った不思議なアルバム。
この印象は、初めて聴いた83年頃から今も変わっていない。
アイドル的な化粧をしたルックスや「ジャパン」という奇妙なバンド名も不思議度は高いが、やはりこのサウンドだ。
ポップとも言えないアレンジ、中国風のメロディ、デヴィッド・シルヴィアンの癖の強いボーカル…
しかし不思議と癖になるようなひきつけるものがあり、なぜか繰り返し聴いてしまうのだった。
この不思議音楽のキモはベースとドラムによるリズム隊かもしれない。
非常によく動くベースで、一瞬たりとも一つのフレットにいることがなく、しかも一定のフレーズを繰り返しているわけでもないのだ。
それとドラム。
定型リズムを叩かず、常にあちこちのタイコをタイミングよく鳴らしていて、しかもベースとリンクしているわけでもないのである。
いわゆるポピュラー・ミュージックの常識というものが通じないリズムを刻んでいるといえよう。
この風変わりなリズム隊の上に、個性的すぎるデヴィッドのボーカルと、不協和音入りまくりのキーボードがのっかってサウンドを形成しているのだった。
「ゴウスツ」という曲がシングル・カットされ、イギリスで大ヒットしたようだ。
このとても一般受けするとは思えない曲がヒットした80年代初頭って、今考えるとこれも不思議だ。
私はこの曲を聴くと、江戸川乱歩の「大正変態ロマン」みたいな退廃的で恥美的な世界をイメージしてしまう。
なんとなく、青白い顔をした美形の男性が、古い洋館の中でこっちを見てニヤっとするような不気味な感じだ。
しかし、実は私、この曲がすごく好きだったりするのだ。
「スティル・ライフ・イン・モービル・ホームズ」では、奇妙なアジア風コーラスが入っているが、イギリス人のイメージするアジアってこんな感じなのか?
そういえば、このアルバムのジャケ、毛沢東の写真の下で中華料理を食べているのだが、まさかこれが日本のつもりなのか?
「カントン」(広東?)とか「ヴィジョンズ・オブ・チャイナ」とかがあるので、中国で間違いないようだが。
このあたりのセンスは、明らかに日本のYMOの影響を受けているのだろう。
デヴィッド・シルヴィアンはジャパン解散後、キング・クリムゾンのロバート・フリップとコラボとやっている。
なんとなく、似たもの同士のような気がするのは私だけだろうか?
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