[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
第51回名盤シリーズ
アメリカン・ポップスの王道、カーペンターズ「ナウ・アンド・ゼン」
(1973年作品)
兄リチャード・カーペンターの巧みな作曲、アレンジ、プロデュースにより、妹カレン・カーペンターの才能を見事に引き出したポップ・デュオだ。
私はこの記事を書くにあたって、びっくりしたことが一つある。
なんとこのアルバムは73年の発売だった。
てっきり、もっと新しい、70年代後半くらいのアルバムかと思ってたのだ。
というのも、非常に洗練されたアレンジと、現代の感覚で聴いても優れた音質が年代を感じさせないからだ。
私がリアルタイムでカーペンターズを知ったのは、カレンの死亡記事からだったと思う。
拒食症でやせ細ったカレンの写真があり、心の病ってこわいものだなって思ったものだ。
音楽の授業で、このアルバムの1曲目「シング」が教科書に載っていたが、カーペンターズとは知らずに歌っていた。
カーペンターズのCDを聴いたのはそれからずいぶん後のことで、「シング」が彼女たちの曲だと知ったのもこの時だった。
「イエスタデイ・ワンス・モア」など、すでに知っている曲もあり、ほとんど洋楽を聴いていなかった時期だったが、カーペンターズはよく聴いた方だと思う。
このアルバムは、実はオリジナル曲が少なく、他のソング・ライターの曲や、カバー曲が中心となっている。
後半はラジオ風になっていて、古いカバー曲がメドレーで次々に流れてくる。
このあたりが、この兄弟のルーツ音楽なのかもしれない。
オリジナルのイメージを崩さず、二人が楽しく歌っている様が想像できる。
よくカバー曲がオリジナルをぶち壊していることがあるが、ここではより魅力的に安心して聴くことが出来る。
この頃はリチャードもボーカルをとっていて、ビーチ・ボーイズの「ファン・ファン・ファン」なんてかなりはまってると思うのだった。
このアルバムの代表曲といえば「イエスタデイ・ワンス・モア」だと思うが、たしかに名曲だ。
友人で、この曲を結婚披露宴で流すカップルもいた。
カレンの豊かで暖かいボーカルがとても心地よく、素晴らしいポップ・ソングである。
私が一番好きなのは、「マスカレード」。
こちらは大人のムードだ。
アダルトな雰囲気で、ムードたっぷりのボーカルにジャズっぽいピアノが最高である。
それにしてもカレンは歌が上手い、ホレボレするくらいだ。
本人はドラマー意識が強く、「歌も歌えるドラマー」だそうですが、これだけ上手いと充分以上にボーカリストだ。
あまりにも売れっ子になりすぎて、プライベートでは苦労が絶えず、幸せにはなれなかったカレン。
しかしその歌声は今も世界中の人々を幸せにしていて、現在もCDが売れ続けているのだった。
名盤100選へ戻る |
ピンク・フロイドの大ベストセラーアルバム「狂気」
(1973年作品)
アルバム1枚を通して狂気という組曲になっていて、全曲メドレーで繋がっている。
その完成度の高さゆえに、後に多くのフォロアーを生み、プログレッシブ・ロックの基本の一つになった。
ピンク・フロイドの音楽は、同時期のキング・クリムゾンやイエスと違い、演奏テクニックを売りにしているわけではない。
もっと全体の雰囲気を大事にし、メロディの良さや幻想的なムードに重点を置いているように思うのだった。
このアルバムがプログレシーンのみならず、ロックを代表する1枚の一つと言われるのは、以外にポップで親しみ易いからだと思う。
とにかく良いメロディが満載で、クリムゾンやELPに有り勝ちな「難解さ」というものが少ない。
それでいて、単純ではなく何度聴いても唸らせるものがあり、その微妙なバランスの上になりたっていると思うのだ。
親しみ易さとヒネリの部分。
この相反する要素が、非常に高いレベルでバランスを保ち、ギリギリの部分で支えているのが魅力となっているのである。
アルバムの前半(旧A面)は、どちらかというとムード重視の、インストなどイメージを膨らませるような曲が多く、後半(旧B面)はメロディアスな歌物中心となっている。
ほぼ中間に収まる「マネー」は、レジのSEを効果的に用いたロック・ナンバーだ。
このあたりのアレンジセンスは、「原子心母」収録の「アランのサイケデリック・ブレックファスト」あたりですでに確立されており、ここではより熟成されたものになっている。
このアルバムでとくに高い人気があるのは「タイム」だろう。
名曲中の名曲だ。
誰もがビックリする時計の音で始まり、緊張感と幻想的なムードに支配されるイントロ、ボーカルが入ってからは一転してリズミカル。
そして最小限の音数による情感たっぷりのギターソロ。
シンプルでムダがなく、それでいて音楽を魅力的にする要素を全て備えているのだ。
このアルバムを聴き終えた後の感動は、ラスト2曲の存在感の高さにも起因していると思われる。
ゆったりしたリズムと親しみ易いメロディで、聴くものを心地よく酔わせ、盛り上がる部分は大げさともいえるほど盛り上がる。
このメリハリが、非常に効果的に感動成分を呼び起こすのだった。
このレコードが発売された当時は「音のよいレコード」として認識されており、今もアナログLPで聴くマニアもいるそうだ。
最新のリマスターがされたCDが少し前に発売されているので、こちらのほうで是非この名盤を聴いてみたいものだ。
名盤100選へ戻る |
シンガー・ソングライター、ジャクソン・ブラウンの作品「愛の使者」
(1983年作品)
このアルバムが彼の作品の中でどういう位置づけになるかはわからない。
名盤として取り上げるのに適しているかどうかは不明だが、私はこのアルバムが好きで捨て曲のない良く出来た作品だと思っている。
このアルバムもFMで聴いたのがきっかけで聴くようになった。
発売されたばかりで、プロモーションとして5曲くらいオンエアされたのだが、どの曲も気に入りLPを購入する決意をした。
私のイメージではもっとフォークっぽい音楽をやる人だと思ってたのだが、実際聞いた印象はアメリカンなロックだった。
70年代には、もっと内向的な音楽や、フォーク、カントリーっぽい音楽もやっていたようだが、時代の流れとともにロック色を強めていったようだ。
結局、イーグルスやドゥービー・ブラザーズもそうだが、「アコースティックな音楽は古い」という価値観がミュージックシーンの主流となっていたのかもしれない。
このアルバムで聴ける歌詞世界は、反共産主義や、反社会的な内容を含み、意外にハードな内容だ。
しかし音楽として見た場合、素晴らしいメロディやセンスあるアレンジなど、非常に優れたアメリカン・ロック/ポップスである。
私は彼が作る少し骨っぽく若干カントリー・テイストのある音楽にブルース・スプリングスティーンに通じるものを感じた。
ブルースほどタフなイメージはなく、見た目は繊細な印象だが。
当時、学校でジャクソン・ブラウンを聴いている人は誰もおらず、名前すら知らない人が多かった。
ニュー・ロマンティックやLAメタルが大人気で、ジャクソンはその点渋すぎたのかもしれない。
でも、このレコードを友人に聴かせると、ほとんどの人は好意的な意見だったと思う。
このアルバムの中で最も好きな曲はスローな「セイ・イット・イズント・トゥルー」だ。
後に好きな曲ばかり集めた「オリジナル・ベスト」みたいなカセットを作るときも、この曲は必ず入れた。
バラード風の曲だが、ベタなクサメロではなくドライなメロディで、ジャクソンの暖かみのあるボーカルが冴え渡る曲である。
今聴くと時代を感じさせるゲートエコーの掛かったドラム音だが、これが力強く、哀愁メロディーを引き立てている。
最初にFMでオンエアされたときもこの曲が流れたのだが、この曲の素晴らしさのためにLPを買ったようなものだ。
ある意味、70年代にはリンダ・ロンシュタットやバーズに曲を提供していた名ソングライターのアルバムだから、メロディが良いのは当たり前ともいえる。
プライベートではいろいろあったようだが、80年代らしい意欲ある作品だと思う。
名盤100選へ戻る |
ブライアン・セッツァー率いるロカビリー・トリオ、ストレイ・キャッツ「ビルト・フォー・スピード」
(1982年作品)
彼らはアメリカのバンドですが、先にイギリスでデビューし、このアルバムはアメリカでのデビュー盤になる。
80年代の50’sブームの中、アメリカや日本でも人気があった。
当時は日本でも不良ルックでロックンロールを演奏するスタイルが人気で、ストレイ・キャッツを受け入れる基盤が出来ていたと言える。
彼らのサウンドは、50’sのオールディーズなロックンロールスタイルをベースに、完全に新しいスタイルとしてのロカビリーを演奏している。
例えば、スリム・ジム・ファントムのドラムス。
バスとスネアだけで、あとはシンバルがあるだけの超シンプルなセットで、それを立って叩くという独自のスタイルだ。
それにリー・ロッカーのウッド・ベース。
実は50’sのロカビリー、ロックンロールシーンではエレキ・ベースが主流だったのだが、彼らはジャズ的なウッドベースを取り入れ、独特のスイング感をだし、後にこの手のスタンダードとなる。
そしてなんといってもブライアンのギタースタイルだ。
クラシカルなセミアコ・ギターをクリア・トーンで弾くのは、50’sスタイルだが、さらにテクニカルに完璧に演奏するのである。
かなり上手い。
その上手さというのは、ヘビメタ・ギタリストのそれではなく、完全にブライアン流のスタイルで、彼にしか弾けない個性に溢れている。
ブライアンのボーカル・スタイルは、エルヴィス・プレスリーの影響が強いように感じる。
いわゆる「低音の魅力」みたいな声で歌うときもあれば、高い声でシャウトをするときもある。
で、ちょっと青臭さの残った部分にヤンチャ坊主的な雰囲気を醸し出し、彼独特のスタイルを作っている。
ネオ・ロカビリーと言われるサウンドを確立した彼らは各国で人気を得るのだが、日本ではちょっとおかしな売られ方がされた。
ターゲット層をヤンキー少年少女(たとえば「横浜銀蝿」あたりのファン)に特定したようで、ダサすぎる邦題がついたりしていた(「ごーいんDOWNTOWN」とか)。
しかし、実際にストレイ・キャッツを聴いていたのは普通の洋楽ファンが中心だったと思う。
曲の大半は元気のいいロカビリー/ロックンロールだが、素敵なバラードもある。
サックスの響きが哀愁を誘う「おもいでサマーナイト」なんかはかなりの名曲だ。
その後彼らの影響を受けたネオロカビリーバンドがいくつかデビューしましたが、今は全く見かけなくなった。
本家本元の彼らは、たまに再結成ライブなども行ってるようだ。
もちろんブライアン・セッツァー・オーケストラは今も現役である。
名盤100選へ戻る |
今回ドイツのハード・ロック・バンド、スコーピオンズ「ヴァージン・キラー」
(1976年作品)
この過激なアルバム・ジャケットはある意味スコーピオンズらしいともいえるもので、国によっては違うジャケになっている。
当時のリード・ギタリストはウリ・ジョン・ロート。
彼のギターのファンは非常に多く、現ギタリストのマティアス・ヤプスよりも人気が高いのではないだろうか?
いわゆるカリスマ・ギタリストで、同じく元スコーピオンズのマイケル・シェンカーと人気を二分する。
彼のギタープレイの特徴は、トリルの多用と情熱的とも言えるチョーキング・ビブラートだ。
このアルバムで聴ける楽曲の数々は、良い意味で暗いサウンドで、音質も湿ったような暗さを伴っている。
1曲目から、派手だがマイナーな曲調によるハード・ロックだ。
この曲では名リフ・メイカー、ルドルフ・シェンカーのギターが光る。
このアルバムを代表する名曲で、私が初めて聴いたスコーピオンズの曲だった。
このアルバムにはバラードが3曲、ハード・ロック・バンドのアルバムとしては異例といえる。
彼らのアルバムには必ずこういった情熱的なバラードが収録されており、暗く悲しいメロディ・ラインは日本人の心に響く類のものだ。
私はこの中でも「In Your Park」と「Crying Days」がとくに素晴らしいと思う。
どちらもウリの泣きのギターが素晴らしく、そのフレーズに「心」を感じさせる。
これについて、なぜそのように感じるのかをずっと考えていたのだが、とりあえず要素が2つ。
1つはフレーズを構成するスケール。
メロディ・ラインがよくあるペンタトニック・スケールばかりではなく、メジャー・スケールも使用している。
これはランディ・ローズなどもそうで、ロック的なカッコよさが少なくなるかわりに、メロディアスなフレーズを作るのに適しているのだろう。
マイケルやマティアスがペンタトニック中心なのに対して、ウリの個性と言える。
もう1つが、チョーキングとビブラートの入れるタイミングだ。
チョーク・アップをした直後からビブラートを始めることもあれば、チョーク・アップしたままタメてからゆったりと震わせたりなど、自在にこれを操っているのである。
それとこの枯れた音色だ。
実に味わい深く、どうやったらこんな音が出るのか不思議である。
ウリのことばかり書いてしまったが、クラウスの艶のある力強いハイトーンボイスの魅力も重要だ。
彼のメロディセンスは日本人の美意識と通じる部分があるようで、「演歌的」な部分があると思う。
名盤100選へ戻る |
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |