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「キッスじゃキッスじゃ、あのカッコにさえついていければ、これほどわかりやすくてカッコいいバンドはないぞ。
ロックの楽しさを教えてくれた彼らが、未だがんばってるんだ、こっちだってまだまだ聞き続けてやるわい」
(影山亜紀子)
というわけでキッスだ。
当然、今週のCDプレイヤーはキッスのニューアルバム「モンスター地獄の獣神」が独占し、スマホの音楽プレイヤーもボタンを押せば常に「モンスター」だった。
現在、この20枚目となるオリジナル・アルバム、各方面で絶賛好評中のようである。
もちろん、本国アメリカでも大好評で、ビルボードのアルバムチャート3位、ロックチャート2位、そしてハードロックチャートは当然1位だ。
この数値は、今なおアメリカンハードロックの王者であることを世に示している。
元々キッスはデビュー直後を除いて、常に人気バンドだった。
日本では、80年代以降失速したイメージだが、アメリカでは落ち着いたものの、常に一定以上の売り上げを保っている。
90年代にオリジナルメンバーでリユニオンしたとき、再びキッス人気は大爆発した。
その売り上げは、70年代全盛期の頃を上回り、何度もワールドツアーを重ねた。
そろそろマンネリか、と思われた矢先、完全新曲のニューアルバム「ソニック・ブーム」発表、アルバムはビルボードチャート最高2位という大ヒットを記録する。
そして3年ぶりの本作、またまた彼らはやってくれたのだ。
なぜ評価されているのか?
良い作品だからだ。
正確にいえば、キッスファンにとって、いい作品なのだ。
キッスクラスになると、ファンの分母が大きいので、ファンの望むものを作れば、それだけでヒットチャートの上位に上がるのである。
今更新規ファンを開拓する必要がないのだ。
「エルダー」や「カーニバル・オブ・ソウル」のような冒険的アルバムじゃなくていいのだった。
しかし、「エルダー」や「カーニバル」があったからこそ、現在のキッスがあるのもまた事実だと思うが。
「モンスター地獄の獣神」は、バラードやポップス、AOR風の曲はなし、全曲キッス流ロックンロールだ。
どの曲も3分から4分くらいで、とくに複雑な曲、凝った曲はない。
演奏よりもボーカル重視、完全に歌物ロックというのもキッスらしい。
詳しい感想はまた明日にします。
(おまけ)キッスの地獄シリーズ一覧
(1974)地獄からの使者
(1974)地獄のさけび
(1975)地獄の接吻
(1975)地獄の狂獣
(1976)地獄の軍団
(1976)地獄のロックファイアー
(1979)地獄からの脱出
(1983)地獄の回想
(1995)地獄の再会
(2001)地獄のギターケース
(2001)地獄のシガーボックス
(2003)地獄の交響曲
(2004)地獄の狂宴
(2008)地獄烈伝
(2012)地獄の獣神
もう新譜の発売は期待していなかったキッスですが、この秋に発売するようです。
タイトルは「ソニック・ブーム」、噂では70年代に彼らが得意としたロックンロールなアルバムになるそうです。
そしてこのニュー・アルバムからの1曲目「Modern Day Delilah」がYoutubeにあがってるので聴いてみました。
普通のハード・ロックにしか聴こえません。
ポール・スタンレーのボーカルと、トミー・セイヤーのエース風ギターソロだけはキッスっぽいかな。
曲自体は悪くないと思いますが。
私としては、もっとロックンロールな曲を期待していました。
例えば、1stアルバムの「ナッシン・トゥ・ルーズ」「レット・ミー・ノウ」、3rdアルバムの「ルーム・サービス」みたいな曲ね。
「アライヴ2」のスタジオ録音以降、彼らはほとんどこういう曲を作っていないのは、時代の流れだったのでしょうか?
メロディアスなハード・ロックならポールのソロで聴けるから、キッスとして出すなら違うのが聴きたいですね。
キッス「地獄烈伝」とスリップ・ノット「All Hope is Gone」買いました。
そのビジュアルゆえに、聴かず嫌いが多く、正当に評価されにくい新旧2組のバンドによる最新アルバムです。
まずはキッス。
新録音によるニュー・アルバムでありながら、すでに聞き飽きた曲ばかりというセルフ・カバー・アルバム。
選曲も微妙なので、あまり期待はしてなかったものの、それでもキッスだからという期待のもと、買ってすぐカーステレオにぶちこみ、最後の曲が終わるまでウロウロ走りながら、大音量で聴きました。
なかなかいい、これが感想です。
どの曲もオリジナルより格段にヘヴィになってます。
それでも、アレンジは徹底してオリジナルをコピーしてます。
それは、フェイド・アウトのタイミングや、「ブラック・ダイヤモンド」のテープ回転落としまで、オリジナルを意識してます。
しかし、音質の違い、メンバーの違い、数十年の時を経ている、などの要素により、完全コピーなんだけど、「違う何か」が感じられて、面白いです。
曲順はライブを意識したもので、「ジュース」ではじまり「ブラック・ダイヤモンド」で終了し、「ロックンロール・オール・ナイト」で締めくくってます。
ちなみに、初回限定特典としてライブDVDがついてました。
このアルバムを買うようなファンなら、とっくに見飽きた初来日武道館ライブでした。
次はスリップ・ノット。
初期の2枚のアルバムはよく聴きました。
どちらも激しくコアな内容ですが、リフがかっこよく時折哀愁も感じさせる内容でとてもいいアルバムでした。
3枚目のアルバムは、試聴したとき好みじゃなかったので買ってません。
で、このアルバム、これはなかなか、って感じです。
暴力的な激しさ、暗さ、絶望感が弱まり、普通っぽくなったような気がします。
しかし、メロディのアイデア、アレンジ力などは、さらに磨かれてるような気もします。
今まで好きだったスローでドヘヴィな曲がないのは残念。
それでもハードな曲を中心に、キラリと光る部分があるのも事実で、聴きこめば愛聴盤になりそうです。
・ヴィニー・ヴィンセントと「リック・イット・アップ」
・マーク・セント・ジョンと「アニマライズ」
・ブルース・キューリックと「クレイジー・ナイト」
・エリック・カーと「ホット・イン・ザ・シェイド」
・エリック・シンガーと「リヴェンジ」
メイク時代のアルバム
・地獄の使者
・地獄のさけび
・地獄の接吻
・アライヴ!地獄の狂獣
・地獄の軍団
・地獄のロックファイアー
・ラブ・ガン
・アライヴII
・地獄からの脱出
・仮面の正体
・魔界大決戦
・暗黒の神話
第5回エリック・シンガーと「リヴェンジ」
2代目ドラマー、エリック・カーの死去によりバンドは次なるドラマーを加入させる。
それはポールのソロツアーでも活躍した実力派ドラマー、エリック・シンガーだ。
それまでは、実力ある無名の新人を起用してきたKISSだったが、シンガーは違う。
ブラック・サバス、ゲイリー・ムーア・バンド、バッドランズなどの有名バンドを渡り歩いた彼は、KISSにとっても初めての有名人だった。
彼もカー同様、ツイン・バス・ドラムスを操るヘヴィ・テクニカル・ドラマーで、タイプとしては似ていると言える。
ただ、彼のキャリアを見ると、80年代ドラマーでありながらも70年代的な楽曲を得意とするバンドに多く在籍していることがわかる。
そのためか、シンプルなドラム・スタイルで、決して音数が多いタイプではない。
それでも、ライブで演奏するKISSクラシックスの表現方法は、ピーターと違うことはもちろん、カーとも異なる表現法で、センスよくツーバスなども取り入れるのだった。
私は彼が叩く初期の名曲「ジュース」のドラムが大好きだ。
ちなみに現KISSのドラマーも彼だが、今の彼のドラムに彼らしさは皆無である。
相方のトミー・セイヤー同様、オリジナル・メンバーのコピー・メンバーとしての仕事をこなしているからだ。
これは今のKISSの経営方針のようだが、私としてはシンガーらしいドラムを叩いてもらいたいと思っている。
前作までの明るいイメージはなく、故エリック・カーの死に対するリヴェンジとも取れるこのアルバム。
ダークな色合いが強い作品だ。
1曲目にジーンの曲を持ってくるあたり、それまでのアルバムと意識が違う。
この「アン・ホーリー」がこのアルバムのイメージを決定付けていると思う。
ヘヴィでかっこいい曲だが、これを作ったのは元メンバーのヴィニー・ヴィンセントだ。
性格が合わない彼だったが、実力は認めていて再び協力を依頼したようで、他にも数曲提供しているようだが、この後、再び意見が合わなくなり、ケンカ別れしたようだ。
このアルバムでもう1曲代表的な曲を選ぶと、5曲目の「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」だろう。
これはカバー曲だが、現在のライブでもアンコールの1曲目によく使われている。
どちらかというとジーンの活躍が目立つアルバムだ。
他には「ドミノ」や「パラライズド」など傑曲が目白押しである。
そしてラストを飾るのは、故エリック・カーのドラム・ソロ「カー・ジャム1981」。
1981年に録音されたカーのドラム・ソロに後からギターリフを加えたものだ。
一般的にノーメイク時代のKISSは全然売れてなかったかのようなイメージがあるが、アルバムを出せばどれも全米で20位以内にはいるヒットを飛ばしている。
とくに、このアルバムは全米4位を記録し、大ヒット作といって遜色ない。
これは80年代に人気のあった他のHR/HMバンドと比較しても、充分に立派な数字だ。
それでも70年代が凄すぎたのと、後のリユニオンが大成功したために、今となっては目立たないのだった。
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