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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第86回名盤シリーズ

今回はロック界の変わり者、ジョー・ウォルシュの大ヒット作品「ロスからの蒼い風」
(1978年)

ジョー・ウォルシュといえば後期イーグルスのギタリストして有名だ。
ライブでも独特の存在感を発揮し、それはドン・ヘンリーやグレン・フライがあくまでもイーグルスの一員としての存在感なのに対して、ジョーは彼個人の存在感で勝負してるのだ。
ロックの、というより音楽史上に残る名曲「ホテル・カリフォルニア」のツインリードの片方を弾いてるってだけで物凄いことなのに、この時期にソロ活動もしてヒットさせたのがこのアルバムである。

少し肩の力を抜いた、サラリとした感触のアルバムだと思う。
ロックなアルバムなのだが、どこかカラッとしたアメリカンな空気が感じられ、とても聴きやすい内容に仕上がっている。
ジョーの決して力まないボーカルスタイルが、この軽いアメリカン・ロックにとてもマッチしていて、オシャレな雰囲気さえ感じとることが出来る。
ギタリストのソロ・アルバムというと、歌よりも演奏主体になる場合が多いのだが、このアルバムは普通に歌物アルバムに仕上がっている。
インストが2曲入ってるのだが、それでも歌物アルバムだと思う。
それはこの2曲がギター弾きまくり曲ではなく、あくまで雰囲気だけのBGMみたいな曲で余計にそう感じるのだろう。
個人的にはこの2曲の存在価値についてはちょっと疑問ですが。

このアルバムからの大ヒット曲はラストを飾る「この人生に賭けて」。
私がこの曲を初めて聴いたのは、イーグルスの2枚組ライブ・アルバムだ。
ヘヴィなイントロから一転しておどけたような雰囲気になる曲、ジョーの人間性を表してるようで面白い。
けっこう長い曲だが、複雑な曲構成ってことはなく、軽いノリで聴かせてしまい長さを感じさせない。
数年前イーグルスの来日コンサートでもこの曲が演奏され、レコード通りのアレンジで感激したのを思い出す。
たしか、このときのライブではジェイムスギャング時代の曲も演奏されたのだが、ジョーのギターの上手さが光っていた。
テクニックを全面に押し出すことはせず、美しい音色、安定したプレイにはベテラン・ミュージシャンらしい味と風格が感じられるのだった。

水の中で食事をしているような風変わりなジャケット、前のイーグルス来日公演では、なぜかヘルメットをかぶって演奏することもあった。
大統領選にも出馬しようとしたことのあるロッカー、やはり一筋縄ではいかないミュージシャンである。




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第85回名盤シリーズ
今回はかつてロッド・スチュワートやロン・ウッドが在籍していたバンド、フェイセズから「馬の耳に念仏」。
(1971年作品)



スモール・フェイセズからスティーブ・マリオットが抜けて、代わりに入ったのがジェフ・ベック・グループの二人。
後にロック界の超大物となるロッド・スチュワートとロン・ウッドなのだが、低身長ばかりだったメンバーから長身が加わったのでバンド名から「スモール」が取れたようだ。
私はスモール・フェイセズの音楽を聴いたことがないので、J.B.Gの2人が入ることでどうサウンドが変わったのかはわからないが、とにかくルーズでかっこいいブリティッシュ・ロックである。
このアルバムの特徴は、ロッドとロニー・レインが1曲づつ交代でボーカルをとってることだ。
ハスキーで力強いロッドと、線が細くやさしいロニーという、まったく異なる声質の2人、それでもどちらを聴いてもブリティッシュな香りがプンプン漂う。

最近はこういうルーズで、薄汚れた雰囲気のロックンロールを演奏するバンドってのは少なくなった。
決してヘタではない、良い意味での荒さがあり、良い意味でのいい加減さがあるのだ。
とくにロン・ウッドのギターがルーズだが勢いのある味わい深いプレイをしている。
後のストーンズに入ってからよりも、若さ溢れるプレイをしているような気がするのだ。

古くからのフェイセズのファンの方は、このアルバムの肝はロッドやロンではなく、ロニー(ロから始まる人ばかりでややこしい)だという。
そうなのかもしれないが、私としてはやはりロッドのボーカルのほうが魅力的に聞こえる。
私は3曲目「ラヴ・リヴズ・ヒア」がとくに好きなのだが、ここでのロッドのボーカルはソウルフルでとてもいいと思うのだ。
また、イアン・マクレガンのピアノも素晴らしい。
このアルバムからのヒット曲は「ステイ・ウィズ・ミー」、イントロがかっこいいロックンロールナンバーで、パーティー・バンド的なノリの良さがある。
チャック・ベリーのカバー曲「メンフィス」、やる気ないのか?といいたいほど気だるい演奏だが、これこそが彼らの持ち味とも言えるもので、このノリには中毒性があるように思うのだった。

この後バンドは売れてくると、ロッドのスター性が注目されるようになり、バンド名も「ロッド・スチュアート&フェイセズ」になってしまう。
でもこうやって一人の人間だけクローズ・アップされるようになると、メンバー間がギクシャクしてくるのも当然のこと、70年代半ばには解散してしまうのだった。




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第84回名盤シリーズ
今回は3大ギタリストを生み出した伝説のバンド、ヤードバーズのデビューライブだ。
(1964年作品)



このアルバムを聴くと、1964年3月のロンドン、マーキークラブの熱気が直接肌に感じるような雰囲気に飲み込まれる。
時代を考慮したとしても決して褒められない音質だが、バンドのサウンドが一つの物体のような塊になり、聴く人の心を鷲づかみにして離さないのだ。
これと似たライブ音源にビートルズのハンブルグでのライブがあるが、あちらはオーディエンス録音のためさらに音質がよくない。
この二つに共通しているのは、「熱気」だ。
当時、スタジオ録音ではロックバンドの迫力を吹き込むには限界があり、どうしてもしょぼくなり勝ちだったが、ライブ音源だとより実際の迫力に近いサウンドになる。
このヤードバーズの、デビュー作にしていきなりのライブアルバムは、当時の若きブリティッシュ・ビート・バンドの迫力を現在に上手く伝えてくれる内容だ。

このアルバムを聴いて思うのは、同時代のビートルズやストーンズと違い、すでに歌よりも演奏を重視したライブを行っていることだ。
この、ドライブ感があり、うねるようなリズムで、若さあふれる演奏は、当時の若者の心をしっかりつかみとったことだろう。
その核となっているのは、若き日のエリック・クラプトンと、ボーカル、ブルースハープのキース・レルフだ。
当時すでに「スローハンド」と呼ばれていた彼は、さすがに後のクリームなどのようなプレイではないが、それでも同時代のギタリストの中では個性、テク共に抜きん出た存在だったようだ。

そしてしっかり存在感のあるベース、もうドライブ感が半端じゃない。
これを大音量で満員の会場でやられると、イヤなこととか悩みとか全て吹っ飛んで、ライブ終了のころには何もかもスッキリしていそうだ。
その勢いは後のハードロックやパンクと比較しても決して劣らない。

この後、クラプトンが脱退し、ジェフ・ベックやジミー・ペイジが加入することになる。
世間では「あのクラプトン、ベック、ペイジを生み出した幻のバンド」として噂だけが一人歩きするようになってしまう。
しかし、こうやって聴いてみると、そんな肩書きなど必要のない、若さあふれるブリティッシュ・ロックの魅力が満載されているアルバムだと思うのだった。




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第83回名盤シリーズ
このシリーズとしてはもっとも最近のアルバム、レディオヘッドの問題作「キッドA」
(2000年作品)



21世紀に入って10数年ぶりに洋楽を真剣に聴くようになった頃は、70年代~80年代のハードロックやプログレばかり聴いていた。
当時は「ビートレグ」なるブート雑誌なんかも読んでおり、そこでよく特集されてたのがレディオヘッドだった。
最近のロックも聴いてみようと、話題のレディオヘッドの当時の最新作「キッドA」を聴くことにしたのだが・・・。
はっきりいって衝撃だった。
キング・クリムゾンの「ザ・コンストラクション・オブ・ライト」(2000年発表)の先進的なサウンドに衝撃を受けたあとだったが、クリムゾンとは全く異なるアプローチでの21世紀サウンド。
今のロックというのは、知らない間にこんなに進んでいたのか、と驚いたものだった。
後に、本当に先進的なサウンドを出してるのは一部のアーティストだけだと気づくのだが、10数年のブランクに浦島太郎状態になったのだ。

現在、70年代回帰、80年代回帰なアーティストが多いなか、この9年前に発表されたアルバムは今でも充分新しいと感じる。
このアルバムが出た当時トム・ヨークは言う。
「ロックなんて退屈だ。ゴミ音楽じゃないか!」
私は安易にこういうことを言う人はどうかと思うし、ゴミレベルの音楽なんてないと思う。
しかしこれくらいの意気込みがなければ、こういうアルバムは作れなかったのかもしれない。

私はこのアルバムでは3曲目「ナショナル・アンセム」と4曲目「ハウ・トゥ・ディサピア・コンプリートリー」がとくに良いと感じる。
カオス的ムードと幻想的ムード、しかしその奥には「過去の音楽」によって完成された普遍的な良さが見え隠れする。
そこには、トムヨークは否定するかもしれませんが、ロック的カッコよさ、フォーク的な優しさがあるのだった。

昨年発表された新作「イン・レインボウズ」も良く出来たアルバムだ。
しかし2000年発表の「キッドA」と比較して9年の時を感じなかった。
これは「イン・レインボウズ」が遅れてるのではなく、「キッドA」が進みすぎていたんだろう。

 


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第82回名盤シリーズ
今回は英国が誇る伝説のバンド、キンクスの「サムシング・エルス」。
(1967年作品)



私くらいの年齢の多は、キンクスといえばヴァン・ヘイレンのカヴァーで知ったという人が多いような気がする。
私もそんな一人だったのだが、個人的にヴァン・ヘイレンの「ユー・リアリー・ガット・ミー」は好みではなかった。
だから原曲を演奏していたキンクスにも最初は興味を持てなかった。
しかし、FM小僧だった私が初めてFMでキンクスの曲を聴いたとき、印象は変わった。
初期のストーンズやヤード・バーズにも通じる、親しみ易いブリテシッシュ・ビートなサウンドは、素直にカッコいいと思ったのだった。
ただ、悲しいかな私の住む片田舎にはキンクスのレコードなんて売っていなかったのだ。

私がキンクスのCDを買ったのは最近のことだ。
それまで頭の片隅にキンクスの名前はあったものの、他の聴きたいCDが優先され、常に後回しになっていたのだ。
レンタルで初期のアルバムを2枚(1stアルバムと「ザ・ヴィレッジ・グリーン~」)を借りて聴いたときは、何も感じることなく印象にも残らず。
ああ、ビートルズやストーンズに夢中だった10代の頃に聴いてたら、もっといろいろ感じ取ることが出来たかもしれない、などと思ったものだ。
それで、今回タワレコのポイントが溜まっていたので買ったのが、ファンの間で非常に評価の高いこのアルバムである。
こいつは気に入った。
昨年はヘビメタやプログレをあまり聴かなかったのが良かったのかもしれない。
もう一度15歳の少年の心で聴くことが出来たように思うのだった。

アルバム全体を通じてメロディの良さが際立っていて、演奏やアレンジとかはどうでもよくなるほどだ。
1967年という時期からいくと、ビートルズはもっと先を行っている。
しかし美しいメロディという点から見れば、決してヒケをとらない出来である。
3曲目「ツー・シスターズ」、10曲目の「アフタヌーン・ティー」なんて哀愁の固まりみたいな傑作だ。
他には4曲目「ノー・リターン」とかボッサのような雰囲気だが、しっかり英国風味があっていい。
名曲と言われる最後の「ウォータールー・サンセット」、美しいメロディ、美しいコーラス、聴いてると自分の心まで浄化されそうな気がする。
このアルバムを聴くと、再び60年代~70年代初頭のロックを聴こうかと思うのだった。




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