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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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先週買った奥田英朗著書「家日和」読みました。
「家」をテーマにした6つの短編が収められており、どれも奥田氏特有のユーモアあふれる内容で面白かったす。
このなかで「家においでよ」という、妻が出ていって一人暮らしをスタートさせた男の話を紹介しましょう。

都内のマンションで一人で暮らすことになった正春、家具からカーテンから家財道具のほとんどを妻がもっていってしまったので、一から揃えていかなければなりません。
とくにこだわりはないものの、出来れば気に入ったものを買いたい。
というわけで、週末は家具屋や東急ハンズなどをまわり、少しづつ生活道具を揃えていきます。
やがて実家の物置に300枚のレコードが眠っていることを思い出し、レコードプレイヤーを買うことを思いついたのをきっかけで、段々と趣味の世界にはまっていくのでした。

・どうせ買うならハイグレードのオーディオセット(総額50万円)
・レコードコレクターズのバックナンバー(10年分)とミステリー小説を収める本棚
・ロック少年だった頃に買い集めた300枚のレコード、500枚以上のCDを収めるラック

正春はゴルフも競輪競馬もやらない、酒とマージャンも付き合い程度、それで節約できた金額は100万や200万ではきかないはず、と自分を納得させて、ここぞとばかりに趣味に金をかけます。
そして帰宅すると、ポリス、ジャーニー、トーキングヘッズ、ドナルド・フェイゲン、ラヴァーボーイなどを泣きそうになりながら聴く日々をおくるのです。

やがて、会社の同年代の同僚に噂が広まり、正春のマンションに集まるようになります。
そして少年のように目を輝かせ、夜な夜なスクリッティ・ポリッティとかユーリズミックスとかを聴いて酒をかわすのでした。
「おー、これってこんなにいい音だったのか」
「だろう?おれたちが昔聴いてた装置なんて、家庭用の安いシステムコンポだったじゃないか。つまり、二十数年の時を経て、初めてレコード本来の音を聴いてるわけ。だからここんところ、おれは音楽に夢中なんだよ」

部屋にはジミ・ヘンドリックスやボブ・ディランのポスターが貼られ、ラックには最新リマスターされたロックの名盤が並び、同年代の男たちの溜まり場になるのです。
そしてついにはホームシアターシステムの購入の検討に入るのでした。
「おれはそれで黒澤映画を観直したい、『7人の侍』を心行くまで鑑賞したい」
「おれはレッドツェッペリンのDVDを観たい」
「おれは『ゴッドファーザー』3部作を観たい」

これはおそらくロック好きである奥田氏の願望であり、同年代のロックファンなら誰もが夢見る理想の空間だと思います。
いつまでも少年の心を失わない大人が、学生時代の趣味の世界をグレードアップしたものですね。
限られたこずかいしかなかった少年時代と違い、大人の収入による趣味。

「おれ、思うんだけど、男が自分の部屋を持てる時期って、金のない独身生活時代までじゃないかな。でもな本当に欲しいのは三十を過ぎてからなんだよな。CDやDVDならいくらでも買える。オーディオセットも高いけどなんとかなる。けれどそのときは自分の部屋がない・・・」
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» 無題
面白そうな話ですね。
実際、そういう人が居れば溜まり場になること必至でしょうね。
ちょっと読んでみようと思います。
オチはどうなっているのか楽しみです(笑)
ひらぱ 2011/02/20(Sun)23:27:41 編集
» 男の溜まり場
ひらぱさん、おはようございます!
学生時代なんかに溜まり場になる家ってありましたよね。
通学途中や駅の近くといった立地条件と、気楽に出入りできる家庭環境(一人暮らしだとベスト)。
で、部屋に入るとタバコの臭いが染み付いていて、数々のレコード、雑誌、エロ本が自由に見たり聴いたり出来たりするんですよね。
気取ってなくてくつろげる環境、懐かしいですね。

この「家日和」は他にも、オークションにはまった妻が勝手に夫のギターやオーディオを売ってしまおうとする話や、会社が倒産して専業主夫になる夫の話などがあり、なかなか面白かったです。
どれも気楽に読めるので、ちょっとした暇つぶしにもいいと思います。
ただ、私はamazonで買いましたが、本屋ではあまり見かけない気がします。
にゅーめん 2011/02/21(Mon)06:25:41 編集
» 少年の心を失わない大人
今のロック好きアラフォー世代に通じるような気がします

ラストの3行が身につまされます...
(私は男ではないですが(笑))

自分だけの空間―趣味に彩られた開放的空間は、皆が思い描く夢でしょう

ロックバーやDJ主催のロックサークルに人が集まるのは、見果てぬ夢を叶えてくれるひとときを提供してくれるからでしょうね
micha* 2011/02/22(Tue)14:03:33 編集
» いつまでも少年
micha*さん、こんばんは!
作者の奥田氏はアラフォーよりもう少し上だと思うのですが、この物語の主人公は我々と同世代のようですね。
自分の部屋、書斎、そういうものが持てるのは、それなりの収入とそれに見合った家がある人かもしれません。
それが原因かもしれませんが、大人の男の趣味って、アウトドア系が多い気がします。
ゴルフとか登山とかカメラとか。

結局、男も女もたとえアラフォー、あるいはそれ以上の年齢になっても、少年少女の部分って無くならないんだと思います。
家庭では父だったり夫だったり、会社では主任だったり課長だったりする人でも、ロックコンサートに行ったり、オフ会のときって少年そのものですよね~(笑)
やはりそういう時間って必要だと思います。
にゅーめん 2011/02/22(Tue)22:06:36 編集
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