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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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有川浩「レインツリーの国」を読みました。

内容はインターネットで知り合った男女の恋の話です。
それだけだと、よくあるような恋愛ものになってしまうのですが、この物語が一味違うのは、ヒロインがいわゆる障害者であることです。
健常者となんらかの障害がある人との付き合いは、一般モラルとして差別なく助け合いながら接するべき、みたいなものがあると思います。
ただ、それが障害者にとって本当にいいことなのか?一般人と同じように見られたい、特別扱いしないで欲しい、というのもあるのです。

現実と向き合うこと。
現実を受け入れること。
それが普通に出来る人は滅多にいません。
人は自分の生き方に理想を求め、その理想から外れることについては、見て見ぬふりをする、誤魔化そうとする、などして受け入れることが出来なかったりするのです。
「レインツリーの国」のヒロインは、事故によって聴覚が不自由になり、しかしそれを受け入れることが出来ず、人からは普通の女の子として見てもらいたい。
二人が知り合うきっかけとなったライトノベルで、「愛さえあれば何もいらない、というのはウソ」という結論に達した彼女は、現実を受け入れたら、恋も終わってしまうのです。

やや気が短く、ぶつかり合ってこそお互いが分かり合える、という考えの主人公は、悩み苦しみながら彼女を受け入れて困難を乗り越えていこうと努力します。
すれ違いながら、お互い気を使いながら、現実を受け入れながら。

ただ、少し偽善っぽい、というか、綺麗事を言ってるようなにおいを感じてしまうのは残念。
それはもしかすると、関西弁のせいかもしれません。
私にはなんとなくデリカシーに欠けるように感じてしまうのです。
私の住む地方は、関西弁に近い方言なので、言ってることはわかるのですが、それでももう少し言葉の使い方があるように思いました。

最後に、この小説の解説を作家の山本浩氏が書いております。
ある原作を映画化やドラマ化する場合、その登場人物に障害者がいるとNGになることが多いらしい。
設定変更されたり、そのエピソードがまるまるスルーされたり…。
理由は差別につながるから、らしいのですが、このことがすでに差別になってることに気がつかないのでしょうか?
それに対して、真正面から障害をもった女性の恋愛を描いたこの作品は、読む人に理解を深め、社会的な役割を果たしているのかもしれません。
 

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» 無題
ヒロインがリアル世界で会うことをためらう理由が分かった時、
インターネットやメールというツールでは、聴覚障害は、意識されないといことに気がつかされました。
視覚障害の人も、読み上げツールなどでインターネットを利用されていますし、ある意味、バリアフリーの世界を作ってくれているのかもしれません。

インターネットを通じて知り合った男女の恋愛小説で、「REVERSE リバース」( 石田 衣良)
http://www.amazon.co.jp/REVERSE-%E3%83%AA%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9-%E7%9F%B3%E7%94%B0-%E8%A1%A3%E8%89%AF/dp/4120038602
と言う小説も読んだことがあります。こちらは、現代版「とりかえばや物語」というか、悪気はなかったのですが、性別を偽った男女が、お互いに引かれていき、その恋愛の顛末が描かれています。お互いに相手が同性だと思っているところからくる、思い違いや戸惑いなど、ユーモラスなところもあるお話でした。

インターネットを介する出会いは、小説の設定にも新しい試みを生んでいますね。
那由他 2011/03/21(Mon)16:43:31 編集
» 顔の見えない付き合い
那由他さん、こんばんは!
このたび那由他さんのお勧めということで「レインツリーの国」楽しく読ませていただきました。
今はインターネット、昔は文通などで顔のわからない相手とやり取りをする人が多かったのですが、それが男女の場合、やはり相手はどんな人なのか気になりますよね。
もし自分が何らかの障害がある場合、あるいは外見に強いコンプレックスがある場合など、会いたいけれど会いたくない、そんな気持ちになるのかもしれません。

私がブログを書き始めた頃、会ったことのない人からは、よく女性だと勘違いされました。
なんとなくそれって面白いなって思ったものです。
逆に私が女性の方をずっと男性だと思っていたこともありました。
顔の見えない人との付き合いって面白いですよね。
にゅーめん 2011/03/21(Mon)21:28:26 編集
» 海の底
昨日、帰りの飛行機の中で有川浩さんの「海の底」を読み終えましたよ。最初は架空の設定に乗る気はしなかったけど、段々面白くなっていって、最後は気持ちよく終わりを迎えました!珍しく昨日は窓側の席に座って、大阪の夜景が清々しさを倍増させてくれました♪ 
shin URL 2011/03/23(Wed)12:21:43 編集
» 時間と読書
shinさん、こんばんは!
相変わらず忙しそうですね。
移動の時間に読書、いい時間の使い方だと思います。
私も電車に乗ったり、ちょっとした待ち時間には、いつでも読めるように文庫本を持ち歩くことが多いのですが、周囲を見渡すと携帯をいじってる人が多いですね。
もちろん携帯でネットにつなぐといろいろな情報があって、それはそれで意義のあることだとは思いますが、皆が皆、携帯をいじってる光景はちょっと異様な気がします。

今読んでいるのは、shinさんも読まれた「あの日にドライブ」です。
タクシー運転手の苦悩、元銀行員の思い出など、地味ながらも引き込まれる内容ですね。
「海の底」ですか、チェックしときます。

大阪の夜景綺麗ですよね。
私は生駒山から見る夜景が好きでした。
関東では地震の影響で、ライトアップも自粛しているようですが、早く元気な日本が蘇って欲しいものですね。
にゅーめん 2011/03/23(Wed)22:40:49 編集
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