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スタジオ・アルバム2枚とライブ・アルバム1枚を残してロニーが脱退します。
で、次に加入したのが、またもや大物シンガー、イアン・ギランです。
当時、自身のバンド「ギラン」で活動し、成功を収めていたイアン・ギランですが、ディープ・パープル再結成の話に乗ってあっさりギランを解散させます。
しかし、パープルの方は、他のメンバーの都合がつかずに再結成話が流れてしまいます。
突然ヒマになったギランに声をかけたのが、シンガーを探していたアイオミだったのです。
一般的に失敗作とか、ミスマッチだと言われるギラン・サバス。
前作のロニー・サバスが見事にロニーの持ち味を引き出していたため、次のギラン・サバスにはギランの持ち味を期待します。
ここでいうギランの持ち味とは?
人々が勝手にイメージするギランはディープ・パープルのギランなのでしょう。
しかし、ご存知のようにパープルはリッチー・ブラックモアやジョン・ロードの色が強く、パープルサウンド=ギランではないのでは?
そして出来上がったサウンドは、サバスらしさ満点の、おどろおどろしい、ヘヴィでスローでダークなサウンドだったのです。
全然、パープルっぽくない。
当たり前です、これはサバスのアルバムなんだから。
ギランにパープル色を期待するほうが間違ってるんではないでしょうか?
人々の勝手なイメージが一人歩きしてしまい、まっとうな評価を受けることが出来なかったアルバムといえます。
(因みに、彼のバンド「ギラン」も日本では正当に評価されてるとは言い難いでしょう。最近になりようやくCDが再発されました)
もう一つ、このアルバムの評価が低い理由に「時代に合わなかった」というのがあると思います。
時は80年代、華やかな産業ロックやLAメタル全盛の頃に、このダークでヘヴィなサウンドは完全に異色でした。
これが90年代以降に発表されたら、評価はずいぶん違ったものになったでしょう。
私はこのアルバムは、ギランの魅力が100パーセント発揮されていると思います。
リズム感あるノリのいいボーカルも聴けるし、ハイトーンの絶叫も聴けるし、情感たっぷりのボーカルも聴けます。
80年代以降のアルバムでは、もっともヘヴィな内容で、私はこのアルバムがロニー時代以上に大好きです。
アルバム発表後ツアーに出ます。
このアルバムからの曲はともかく、オジーやロニーの曲は声域が合わないため、苦しいライブ・パフォーマンスになりました。
やむなく、ギランの持ち歌である「スモーク・オン・ザ・ウォーター」まで演奏してごまかし続けましたが、ツアー終了と同時に脱退します。
そして、ディープ・パープル再結成が本格的に始動したのでした。
(つづく)
私はブラック・サバスが大好きです。
サバスがその個性的で魅力溢れるサウンドを構築し、その後のメタル・シーンに多大なる影響を与えたのはオジー・オズボーンらが在籍したオリジナル・メンバーの頃です。
とくに1stアルバムから4枚目くらいまでのアルバムは、どれも名盤と呼ぶに相応しい完成度を誇り、今尚新しい愛聴者を作り出しています。
私個人もオリジナル・メンバー期が一番好きなような気がします。
しかしそんな彼らも80年代~90年代は、度重なるメンバーチェンジに頭を悩ませていました。
サバスの頭脳であり、リーダーであるトニー・アイオミは、この頃にも個性的なボーカリストをバンドに入れて、その力を100パーセント発揮させるアルバムを世に繰り出しています。
今回はそんな80年代以降のサバスと、彼らと関わったボーカリストの特集です。
まず最初はロニー・ジェイムス・ディオ。
言うまでもなく、現在も尚メタル・シーンの第一線で活躍する超大物シンガーです。
私はロニーが参加しているアルバムでは、サバス在籍時の3枚(とライブ)のアルバムが最も好きです。
その3枚というのは、今回紹介する「ヘヴン&ヘル」と次作の「モブ・ルールス」、それと一度脱退して再度加入した「ディヒューマナイザー」です。
それ以前のバンドや、彼自身のバンド「ディオ」もいくつか聴いたことはありますが、曲単位で見ると良い曲もあるものの、アルバム単位では今ひとつでした(あくまでも個人的意見)
さて、サバスのというより、メタルの名盤の一つである本作「ヘヴン&ヘル」。
サバス嫌いの人でもこのアルバムだけは聴くって人もいるようです。
当時はNWOBHMの全盛期という後押しもあり、新生サバスのスタートは好調だったようですね。
このアルバムからの代表曲は「ネオンの騎士」「チルドレン・オブ・ザ・シー」「ヘブン&ヘル」「ダイ・ヤング」でしょう。
その他も良い曲ばかりで、若手に対して貫禄を見せ付けているかのようです。
このアルバムでのアイオミは、あくまでも自分流を貫きながらも、ロニーの魅力を引き出すことに成功しています。
それが最も成功しているのが名曲「ヘヴン&ヘル」じゃないかなって思います。
元々サバスが持っていたヘヴィでダークなサウンドに、ロニーの中世ヨーロッパ的な感覚がとても上手く融合していると思うのです。
この曲は、ロニー脱退後のサバス、あるいはディオのステージでも頻繁に取り上げられており、彼ら自信もお気に入りの曲なんでしょうね。
特に日本では、オリジナル・サバスが来日しなかったことと、レインボー人気などで、ロニー時代のサバスが大変人気があります。
今年は実質ロニー時代のサバスを再現したバンド「ヘヴン&ヘル」の来日があります。
サバス好きの私は、この発表があってからずっと楽しみにしているのでした。
(つづく)
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