洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
ノーメイク時代のキッスを支えたミュージシャンたち。
第5回エリック・シンガーと「リヴェンジ」

2代目ドラマー、エリック・カーの死去によりバンドは次なるドラマーを加入させる。
それはポールのソロツアーでも活躍した実力派ドラマー、エリック・シンガーだ。
それまでは、実力ある無名の新人を起用してきたKISSだったが、シンガーは違う。
ブラック・サバス、ゲイリー・ムーア・バンド、バッドランズなどの有名バンドを渡り歩いた彼は、KISSにとっても初めての有名人だった。
彼もカー同様、ツイン・バス・ドラムスを操るヘヴィ・テクニカル・ドラマーで、タイプとしては似ていると言える。
ただ、彼のキャリアを見ると、80年代ドラマーでありながらも70年代的な楽曲を得意とするバンドに多く在籍していることがわかる。
そのためか、シンプルなドラム・スタイルで、決して音数が多いタイプではない。
それでも、ライブで演奏するKISSクラシックスの表現方法は、ピーターと違うことはもちろん、カーとも異なる表現法で、センスよくツーバスなども取り入れるのだった。
私は彼が叩く初期の名曲「ジュース」のドラムが大好きだ。
ちなみに現KISSのドラマーも彼だが、今の彼のドラムに彼らしさは皆無である。
相方のトミー・セイヤー同様、オリジナル・メンバーのコピー・メンバーとしての仕事をこなしているからだ。
これは今のKISSの経営方針のようだが、私としてはシンガーらしいドラムを叩いてもらいたいと思っている。

前作までの明るいイメージはなく、故エリック・カーの死に対するリヴェンジとも取れるこのアルバム。
ダークな色合いが強い作品だ。
1曲目にジーンの曲を持ってくるあたり、それまでのアルバムと意識が違う。
この「アン・ホーリー」がこのアルバムのイメージを決定付けていると思う。
ヘヴィでかっこいい曲だが、これを作ったのは元メンバーのヴィニー・ヴィンセントだ。
性格が合わない彼だったが、実力は認めていて再び協力を依頼したようで、他にも数曲提供しているようだが、この後、再び意見が合わなくなり、ケンカ別れしたようだ。
このアルバムでもう1曲代表的な曲を選ぶと、5曲目の「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」だろう。
これはカバー曲だが、現在のライブでもアンコールの1曲目によく使われている。
どちらかというとジーンの活躍が目立つアルバムだ。
他には「ドミノ」や「パラライズド」など傑曲が目白押しである。
そしてラストを飾るのは、故エリック・カーのドラム・ソロ「カー・ジャム1981」。
1981年に録音されたカーのドラム・ソロに後からギターリフを加えたものだ。
一般的にノーメイク時代のKISSは全然売れてなかったかのようなイメージがあるが、アルバムを出せばどれも全米で20位以内にはいるヒットを飛ばしている。
とくに、このアルバムは全米4位を記録し、大ヒット作といって遜色ない。
これは80年代に人気のあった他のHR/HMバンドと比較しても、充分に立派な数字だ。
それでも70年代が凄すぎたのと、後のリユニオンが大成功したために、今となっては目立たないのだった。
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第5回エリック・シンガーと「リヴェンジ」
2代目ドラマー、エリック・カーの死去によりバンドは次なるドラマーを加入させる。
それはポールのソロツアーでも活躍した実力派ドラマー、エリック・シンガーだ。
それまでは、実力ある無名の新人を起用してきたKISSだったが、シンガーは違う。
ブラック・サバス、ゲイリー・ムーア・バンド、バッドランズなどの有名バンドを渡り歩いた彼は、KISSにとっても初めての有名人だった。
彼もカー同様、ツイン・バス・ドラムスを操るヘヴィ・テクニカル・ドラマーで、タイプとしては似ていると言える。
ただ、彼のキャリアを見ると、80年代ドラマーでありながらも70年代的な楽曲を得意とするバンドに多く在籍していることがわかる。
そのためか、シンプルなドラム・スタイルで、決して音数が多いタイプではない。
それでも、ライブで演奏するKISSクラシックスの表現方法は、ピーターと違うことはもちろん、カーとも異なる表現法で、センスよくツーバスなども取り入れるのだった。
私は彼が叩く初期の名曲「ジュース」のドラムが大好きだ。
ちなみに現KISSのドラマーも彼だが、今の彼のドラムに彼らしさは皆無である。
相方のトミー・セイヤー同様、オリジナル・メンバーのコピー・メンバーとしての仕事をこなしているからだ。
これは今のKISSの経営方針のようだが、私としてはシンガーらしいドラムを叩いてもらいたいと思っている。
前作までの明るいイメージはなく、故エリック・カーの死に対するリヴェンジとも取れるこのアルバム。
ダークな色合いが強い作品だ。
1曲目にジーンの曲を持ってくるあたり、それまでのアルバムと意識が違う。
この「アン・ホーリー」がこのアルバムのイメージを決定付けていると思う。
ヘヴィでかっこいい曲だが、これを作ったのは元メンバーのヴィニー・ヴィンセントだ。
性格が合わない彼だったが、実力は認めていて再び協力を依頼したようで、他にも数曲提供しているようだが、この後、再び意見が合わなくなり、ケンカ別れしたようだ。
このアルバムでもう1曲代表的な曲を選ぶと、5曲目の「ゴッド・ゲイヴ・ロックンロール・トゥ・ユー」だろう。
これはカバー曲だが、現在のライブでもアンコールの1曲目によく使われている。
どちらかというとジーンの活躍が目立つアルバムだ。
他には「ドミノ」や「パラライズド」など傑曲が目白押しである。
そしてラストを飾るのは、故エリック・カーのドラム・ソロ「カー・ジャム1981」。
1981年に録音されたカーのドラム・ソロに後からギターリフを加えたものだ。
一般的にノーメイク時代のKISSは全然売れてなかったかのようなイメージがあるが、アルバムを出せばどれも全米で20位以内にはいるヒットを飛ばしている。
とくに、このアルバムは全米4位を記録し、大ヒット作といって遜色ない。
これは80年代に人気のあった他のHR/HMバンドと比較しても、充分に立派な数字だ。
それでも70年代が凄すぎたのと、後のリユニオンが大成功したために、今となっては目立たないのだった。
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第39回名盤シリーズ
今回は77年発表の大ヒットアルバム、フリートウッド・マック「噂」。
(1977年作品)

メンバー・チェンジの多いバンドは数多く、時にはリーダー以外の全員が変わってしまう場合もある。
しかし音楽性に関しては、そのリーダーの持つ音楽観から離れず、もちろん時代に応じた変化はあるものの基本的なところは変わらない場合が多い。
ただ、今回取り上げるフリートウッド・マックに関しては、メンバーチェンジとともに音楽性まで変化し、それがプラスに作用して大成功した稀な例だ。
そのポップな面が大成功して、一躍アメリカン・ポップスの代表と言われるまでになったベストセラー・アルバムがこの「噂」だ。
とても完成度が高く、親しみ易い曲ばかりである。
しかしこのアルバムのレコーディングにはあらゆる困難があったようだ。
それは各メンバーのプライベートでの愛の破局だ。
男女混成バンドでありながら、バンド内の二つのカップルが破綻し、ミック・フリートウッドも長年の妻と破綻したのだった。
当然、そのような状況でバンド活動、レコーディングを続けるのは相当困難だったはずで、実際1年もの月日がかかっている。
おそらく顔もみたくないような、極度の緊張感の中でのレコーディングで、愛のトラブルを歌うという、常人だと耐えられない状況だったようだ。
このアルバムからのシングル・ヒット曲は「ドリームス」「オウン・ウェイ」「ドント・ストップ」「ユー・メイク・ラヴィング・ファン」である。
中でも「ドリームス」と「オウン・ウェイ」はスゴク好きな曲。
ちょっと気だるい歌いかたと淡々としたリズムが印象的な「ドリームス」は、全米1位ヒットを放つ。
対して「オウン・ウェイ」はロック的な力強さがあり、力強いドラムとギター・ソロで後半を盛り上げている。
こういったヒット曲だけでなく、その他もいい曲ばかりだ。
とくに私が好きなのは、「ソング・バード」というバラード。
切なく、美しく、その哀愁は胸が閉めつけらるようである。
ピアノとアコギだけをバックに、感情たっぷりに歌うボーカルが素晴らしい。
このアルバムを初めて聴いたとき、この曲ばかり繰り返し聴いてたら涙が溢れそうになった。
名曲揃いの「噂」の中では目立たない曲かもしれないが、これはまさに隠れた名曲だ。
今回は77年発表の大ヒットアルバム、フリートウッド・マック「噂」。
(1977年作品)
メンバー・チェンジの多いバンドは数多く、時にはリーダー以外の全員が変わってしまう場合もある。
しかし音楽性に関しては、そのリーダーの持つ音楽観から離れず、もちろん時代に応じた変化はあるものの基本的なところは変わらない場合が多い。
ただ、今回取り上げるフリートウッド・マックに関しては、メンバーチェンジとともに音楽性まで変化し、それがプラスに作用して大成功した稀な例だ。
そのポップな面が大成功して、一躍アメリカン・ポップスの代表と言われるまでになったベストセラー・アルバムがこの「噂」だ。
とても完成度が高く、親しみ易い曲ばかりである。
しかしこのアルバムのレコーディングにはあらゆる困難があったようだ。
それは各メンバーのプライベートでの愛の破局だ。
男女混成バンドでありながら、バンド内の二つのカップルが破綻し、ミック・フリートウッドも長年の妻と破綻したのだった。
当然、そのような状況でバンド活動、レコーディングを続けるのは相当困難だったはずで、実際1年もの月日がかかっている。
おそらく顔もみたくないような、極度の緊張感の中でのレコーディングで、愛のトラブルを歌うという、常人だと耐えられない状況だったようだ。
このアルバムからのシングル・ヒット曲は「ドリームス」「オウン・ウェイ」「ドント・ストップ」「ユー・メイク・ラヴィング・ファン」である。
中でも「ドリームス」と「オウン・ウェイ」はスゴク好きな曲。
ちょっと気だるい歌いかたと淡々としたリズムが印象的な「ドリームス」は、全米1位ヒットを放つ。
対して「オウン・ウェイ」はロック的な力強さがあり、力強いドラムとギター・ソロで後半を盛り上げている。
こういったヒット曲だけでなく、その他もいい曲ばかりだ。
とくに私が好きなのは、「ソング・バード」というバラード。
切なく、美しく、その哀愁は胸が閉めつけらるようである。
ピアノとアコギだけをバックに、感情たっぷりに歌うボーカルが素晴らしい。
このアルバムを初めて聴いたとき、この曲ばかり繰り返し聴いてたら涙が溢れそうになった。
名曲揃いの「噂」の中では目立たない曲かもしれないが、これはまさに隠れた名曲だ。
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第38回名盤シリーズ
今回は2006年暮れに来日公演を行った、ビリー・ジョエル「ストレンジャー」
(1977年作品)

ビリー・ジョエルの魅力を一言でいうと何だろう?
やはり親しみ易いメロディ、やや無骨だけどよくとおる、ボーカルの魅力だと思う。
よく都会的なポップスと言われるが、この「ストレンジャー」はまさにそんな都会的なイメージをもったアルバムだ。
1977年に発表された本作は、バック・バンドにNY一流のジャズ・ミュージシャンを起用しているところが、特にサウンドを都会的にしているのかもしれない。
前作「ニューヨーク物語」が不振だったせいか、このアルバムの大ヒットぶりは当時衝撃だったかもしれない。
とくに表題曲「ストレンジャー」はディスコブームにもうまく乗って、人気が出たそうだ。
また、1曲目に収められた「ムーヴィン・アウト」も隠れた人気曲。
このアルバムの顔ともいうべき、都会派ポップスだ。
ただ、全体で見るとバラードなどの大人しい曲にこそ魅力があるように思う。
特に素晴らしいのはやはり「素顔のままで」だろう。
イントロのエレキ・ピアノが流れると思わず耳が引き寄せられる。
メロディが良いのは当然として、なんといってもこのアレンジが素晴らしい。
特にドラム、非常にセンスがよろしい。
それに絶妙なタイミングで入ってくるサックス、まさに都会の夜そのもので、雰囲気満点だ。
LPレコードでいうB面には、目立たないが良い曲がたくさん入っている。
とくに好きなのは最後の曲「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」だ。
甘すぎず、ちょっぴりスパイスの効いた大人の味わい。
ビリーのソウルフルなボーカルが魅力的で、サビの盛り上がりのあと、ちょっぴり寂しげになるところなど哀愁たっぷりである。
今回は2006年暮れに来日公演を行った、ビリー・ジョエル「ストレンジャー」
(1977年作品)
ビリー・ジョエルの魅力を一言でいうと何だろう?
やはり親しみ易いメロディ、やや無骨だけどよくとおる、ボーカルの魅力だと思う。
よく都会的なポップスと言われるが、この「ストレンジャー」はまさにそんな都会的なイメージをもったアルバムだ。
1977年に発表された本作は、バック・バンドにNY一流のジャズ・ミュージシャンを起用しているところが、特にサウンドを都会的にしているのかもしれない。
前作「ニューヨーク物語」が不振だったせいか、このアルバムの大ヒットぶりは当時衝撃だったかもしれない。
とくに表題曲「ストレンジャー」はディスコブームにもうまく乗って、人気が出たそうだ。
また、1曲目に収められた「ムーヴィン・アウト」も隠れた人気曲。
このアルバムの顔ともいうべき、都会派ポップスだ。
ただ、全体で見るとバラードなどの大人しい曲にこそ魅力があるように思う。
特に素晴らしいのはやはり「素顔のままで」だろう。
イントロのエレキ・ピアノが流れると思わず耳が引き寄せられる。
メロディが良いのは当然として、なんといってもこのアレンジが素晴らしい。
特にドラム、非常にセンスがよろしい。
それに絶妙なタイミングで入ってくるサックス、まさに都会の夜そのもので、雰囲気満点だ。
LPレコードでいうB面には、目立たないが良い曲がたくさん入っている。
とくに好きなのは最後の曲「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」だ。
甘すぎず、ちょっぴりスパイスの効いた大人の味わい。
ビリーのソウルフルなボーカルが魅力的で、サビの盛り上がりのあと、ちょっぴり寂しげになるところなど哀愁たっぷりである。
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ノーメイク時代のキッスを支えたミュージシャンたち
第4回エリック・カーと「ホット・イン・ザ・シェイド」

この15作目のアルバムは、オリジナル・メンバー、ピーター・クリス脱退後のKISSを支えてきたドラマー、エリック・カーの遺作となった。
ピーターがKISSのドラマーとしての情熱を失った頃、アントン・フィグなどのドラマーが代役を務めたが、正式なドラマーのオーディションは別に進められたようだ。
最初に2代目KISSのドラマーの地位を手に入れたのは、後にレインボーなどで活躍するボブ・ロンディネリ。
しかし、口の軽い彼はトップ・シークレットであるはずのこの話を周囲に漏らしてしまい、クビになる。
そして、次に選ばれたのが、エリック・カーだ。
彼のドラム・スタイルは、一言で言うと「重くて派手」だ。
と言っても無闇やたらと叩きまくるのではなく、フィルイン時に目立つような叩きかたをしていると思う。
また、最近のメタル系ドラマーのように常にツー・バスを連打するのではなく、曲に応じてここぞという時と、ドラム・ソロの時しか使っていない。
それと、彼のドラム・セットは80年代らしく、最もタムの数が多い部類に入るだろう。
それらは主にドラム・ソロの時に使われるのだが、様々なタムをメロディアスに叩く様は、退屈になりがちなソロ・タイムを華麗に彩るものだ。
また、70年代のKISSクラシックスも彼が叩くと80年代的になり、よりパワフルな楽曲に生まれ変わる。
とくにオリジナルよりもテンポを上げて、ツーバスを効果的に用いて曲を引き立たせるあたりは、流石と思わせるものだ。

さて、このアルバムだが、曲数が多すぎて少し散漫な印象もあるが、全曲クオリティが高い良盤だと思う。
今もライブで取り上げられることもある「フォーエバー」は、このアルバムの代表曲だろう。
また「ハイド・ユア・ハート」のように、ポール節全開のメロディアス・ハードが目立つアルバムだ。
そして、このアルバムに収録されたエリック・カーの作品「リトル・シーザー」。
ライブではすでにお馴染みだったエリックのボーカルだが、スタジオでのオリジナル曲はこれが初めてである(例外として、エリックが歌うピーターの名曲ベスもあるが)。
15曲も入ったアルバムの後半にサラッと入っているので、埋もれてしまっているのは残念だが。
ドラマーとしてのエリックの実力が発揮されてるのが、最後の曲「ブーメラン」だろう。
最後の最後に叩きまくっており、珍しくツーバス連打で迫力あるプレイを聞かせてくれる。
エリックにとっての生涯最後のアルバム、最後にオリジナル・ボーカル曲と、ドラマーとしての意地を見せる曲が存在するのだった。
再びヘヴィなサウンドに戻ったこのアルバムを引っさげて、彼らはツアーに出る。
しかしこの頃すでにエリックの体は病魔に侵されていた。
心臓に悪性腫瘍が発見されたのは1991年の2月。
その後病魔と闘い続けたが、11月24日ついに力尽きて天国へ旅立ったのだった。
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第4回エリック・カーと「ホット・イン・ザ・シェイド」
この15作目のアルバムは、オリジナル・メンバー、ピーター・クリス脱退後のKISSを支えてきたドラマー、エリック・カーの遺作となった。
ピーターがKISSのドラマーとしての情熱を失った頃、アントン・フィグなどのドラマーが代役を務めたが、正式なドラマーのオーディションは別に進められたようだ。
最初に2代目KISSのドラマーの地位を手に入れたのは、後にレインボーなどで活躍するボブ・ロンディネリ。
しかし、口の軽い彼はトップ・シークレットであるはずのこの話を周囲に漏らしてしまい、クビになる。
そして、次に選ばれたのが、エリック・カーだ。
彼のドラム・スタイルは、一言で言うと「重くて派手」だ。
と言っても無闇やたらと叩きまくるのではなく、フィルイン時に目立つような叩きかたをしていると思う。
また、最近のメタル系ドラマーのように常にツー・バスを連打するのではなく、曲に応じてここぞという時と、ドラム・ソロの時しか使っていない。
それと、彼のドラム・セットは80年代らしく、最もタムの数が多い部類に入るだろう。
それらは主にドラム・ソロの時に使われるのだが、様々なタムをメロディアスに叩く様は、退屈になりがちなソロ・タイムを華麗に彩るものだ。
また、70年代のKISSクラシックスも彼が叩くと80年代的になり、よりパワフルな楽曲に生まれ変わる。
とくにオリジナルよりもテンポを上げて、ツーバスを効果的に用いて曲を引き立たせるあたりは、流石と思わせるものだ。
さて、このアルバムだが、曲数が多すぎて少し散漫な印象もあるが、全曲クオリティが高い良盤だと思う。
今もライブで取り上げられることもある「フォーエバー」は、このアルバムの代表曲だろう。
また「ハイド・ユア・ハート」のように、ポール節全開のメロディアス・ハードが目立つアルバムだ。
そして、このアルバムに収録されたエリック・カーの作品「リトル・シーザー」。
ライブではすでにお馴染みだったエリックのボーカルだが、スタジオでのオリジナル曲はこれが初めてである(例外として、エリックが歌うピーターの名曲ベスもあるが)。
15曲も入ったアルバムの後半にサラッと入っているので、埋もれてしまっているのは残念だが。
ドラマーとしてのエリックの実力が発揮されてるのが、最後の曲「ブーメラン」だろう。
最後の最後に叩きまくっており、珍しくツーバス連打で迫力あるプレイを聞かせてくれる。
エリックにとっての生涯最後のアルバム、最後にオリジナル・ボーカル曲と、ドラマーとしての意地を見せる曲が存在するのだった。
再びヘヴィなサウンドに戻ったこのアルバムを引っさげて、彼らはツアーに出る。
しかしこの頃すでにエリックの体は病魔に侵されていた。
心臓に悪性腫瘍が発見されたのは1991年の2月。
その後病魔と闘い続けたが、11月24日ついに力尽きて天国へ旅立ったのだった。
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第37回名盤シリーズ
今回取り上げるのはマウンテン「ナンタケット・スレイライト」。
(1971年作品)

クリームのプロデューサー、フェリックス・パッパラルディが第2のクリームを作る構想を立てたところ、巨漢のギタリスト、レズリー・ウェストと知り合ったことからマウンテンがスタートした。
1971年に発表された本作は、彼らにとって3枚目のアルバムで、一般的にこの作品にて人気を不動のものにしたと言われる。
メンバーは、レズリー・ウェスト(g、vo)、フェリックス・パッパラルディ(b、vo)、コーキー・レイング(ds)、スティーブ・ナイト(key)。
マウンテンのサウンドはクリームとはかなり違う。
もっと洗練されていて、アメリカにおけるハード・ロックの基板を作ったといえよう。
ときにプログレ的な展開を用いたり、リフ主体の曲を作ったり、バラエティ豊かでもある。
マウンテン・サウンドの要となるのが、レズリー・ウエストのギター・プレイだ。
マイケル・シェンカー、エース・フレイリー、ランディ・ローズなど、私の大好きなギタリストに大きな影響を与えたらしい。
とくにマイケル・シェンカーへの影響は大きく、チョーキング・ビブラートのかけ方や、その音色にも影響を見ることが出来る。
またピッキング・ハーモニクスを大胆に取り入れた最初期の人の1人だろう。
そしてパッパラルディのベースラインも重要なマウンテン・サウンドの一部だ。
メロディアスで、歌うようなベースを弾いている。
このアルバムの1曲目に収められている「Don't Look Around 」。
とにかく熱い演奏で、手数の多いドラムに、迫力あるレスリーのダミ声ボーカルなど、同時期のZEPやサバスとは全然違うタイプのハード・ロックだ。
この頃の演奏を映像で見ると、巨漢のレズリーが小さなレスポールJrを必死に演奏する姿が印象的だった。
このアルバムからのシングル曲「Animal Trainer and the Toad 」はポップな雰囲気で、音楽性の幅広さを感じることが出来る。
また、「Great Train Robbery 」はカントリー風で、レスリーのスライド・ギターを聴くことが出来る。
この辺りは、やはりアメリカのバンドだなって感じるところだ。
ハードなロック風の曲は「You Can't Get Away! 」や「Tired Angels 」、リフを主体とした硬質な曲である。
それでも明るいイメージがあって、ここでもアメリカを感じることが出来る。
そんななか、思いっきりブリティッシュな雰囲気があるのが、表題曲である「Nantucket Sleighride 」だ。
前曲「Taunta」がイントロ的な役割を持ち、途切れなくつながってくる。
静かにスタートし、ここでのベースラインはパッパラルディらしいメロディアスな歌うベースで、ここでのギターの絡み合いが素晴らしい。
プログレ的な展開をもつ、やや複雑な曲だが、聴き易さをも併せ持った名曲だ。
アメリカン・ハード・ロックの新星として活躍したマウンテンだったが、1972年には早くも解散してしまう。
その後、何度か解散と再結成を繰り返し、最近までマウンテンとして活動していたようだ。
なお、1983年にパッパラルディは妻に射殺されるという痛ましい事件で、他界してしまった。
今回取り上げるのはマウンテン「ナンタケット・スレイライト」。
(1971年作品)
クリームのプロデューサー、フェリックス・パッパラルディが第2のクリームを作る構想を立てたところ、巨漢のギタリスト、レズリー・ウェストと知り合ったことからマウンテンがスタートした。
1971年に発表された本作は、彼らにとって3枚目のアルバムで、一般的にこの作品にて人気を不動のものにしたと言われる。
メンバーは、レズリー・ウェスト(g、vo)、フェリックス・パッパラルディ(b、vo)、コーキー・レイング(ds)、スティーブ・ナイト(key)。
マウンテンのサウンドはクリームとはかなり違う。
もっと洗練されていて、アメリカにおけるハード・ロックの基板を作ったといえよう。
ときにプログレ的な展開を用いたり、リフ主体の曲を作ったり、バラエティ豊かでもある。
マウンテン・サウンドの要となるのが、レズリー・ウエストのギター・プレイだ。
マイケル・シェンカー、エース・フレイリー、ランディ・ローズなど、私の大好きなギタリストに大きな影響を与えたらしい。
とくにマイケル・シェンカーへの影響は大きく、チョーキング・ビブラートのかけ方や、その音色にも影響を見ることが出来る。
またピッキング・ハーモニクスを大胆に取り入れた最初期の人の1人だろう。
そしてパッパラルディのベースラインも重要なマウンテン・サウンドの一部だ。
メロディアスで、歌うようなベースを弾いている。
このアルバムの1曲目に収められている「Don't Look Around 」。
とにかく熱い演奏で、手数の多いドラムに、迫力あるレスリーのダミ声ボーカルなど、同時期のZEPやサバスとは全然違うタイプのハード・ロックだ。
この頃の演奏を映像で見ると、巨漢のレズリーが小さなレスポールJrを必死に演奏する姿が印象的だった。
このアルバムからのシングル曲「Animal Trainer and the Toad 」はポップな雰囲気で、音楽性の幅広さを感じることが出来る。
また、「Great Train Robbery 」はカントリー風で、レスリーのスライド・ギターを聴くことが出来る。
この辺りは、やはりアメリカのバンドだなって感じるところだ。
ハードなロック風の曲は「You Can't Get Away! 」や「Tired Angels 」、リフを主体とした硬質な曲である。
それでも明るいイメージがあって、ここでもアメリカを感じることが出来る。
そんななか、思いっきりブリティッシュな雰囲気があるのが、表題曲である「Nantucket Sleighride 」だ。
前曲「Taunta」がイントロ的な役割を持ち、途切れなくつながってくる。
静かにスタートし、ここでのベースラインはパッパラルディらしいメロディアスな歌うベースで、ここでのギターの絡み合いが素晴らしい。
プログレ的な展開をもつ、やや複雑な曲だが、聴き易さをも併せ持った名曲だ。
アメリカン・ハード・ロックの新星として活躍したマウンテンだったが、1972年には早くも解散してしまう。
その後、何度か解散と再結成を繰り返し、最近までマウンテンとして活動していたようだ。
なお、1983年にパッパラルディは妻に射殺されるという痛ましい事件で、他界してしまった。
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