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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第35回名盤シリーズ
今回は、ウィッシュボーン・アッシュ「百眼の巨人アーガス」
(1972年作品)



ウィッシュボーン・アッシュは、私より少しだけ上の世代の人にとって、とても重要なバンドで、ツインリードといえばウィッシュボーン・アッシュと真っ先に思い浮かぶバンドらしい。
それまで、一つのバンドにギタリストが2人いるバンドは珍しくはなかったが、その大半はリードギターとリズムギターと役割分担がはっきりしていたのだった。
しかし、このバンドは2人のギタリストが共にリードギタリストであり、曲によってギターソロを引き分けるだけでなく、美しいハーモニーを弾くこともあり、当時としては新しい試みだったようである。
彼らよりも前にヤードバーズなどで、ジェフ・ベックとジミー・ペイジがツインリードとして在籍していた時期もありましたが、時期は短くバンドとしての個性にはなってないように思う。

さて、この「百眼の巨人アーガス」を聴いて最初に感じたのは「以外に大人しい」ということだ。
同じく最初期のツインリード・バンドにオールマン・ブラザーズ・バンドがありますが、彼らはアメリカン・バンドらしい豪快さなブルース・ロックだった。
そんな彼らと比較すると非常に線が細く、フォーク的な印象を持ったのだった。
しかし繊細とも言える彼らのサウンドは実にブリティッシュ・ロックらしく、メロディ・ラインの美しさは彼らの特徴の一つといえる。

アンディ・パウエルとテッド・ターナーの2人のリード・ギタリストは、この時期の他のギタリスト同様、ペンタトニック・スケールを多用したギター・スタイルだ。
速弾きなどのテクニカルな奏法はほとんどやらない。
しかし流れるようなフレーズを、湧き出る泉のごとく弾きだすのは、かなりのセンスの持ち主であることは間違いない。
また美しいアルペジオ・フレーズを多用しているのも特徴の一つかもしれない。
フォーク・トラッドの影響がこういうところにも現れていて、メロディの美しさをより引き立てることに成功している。

このアルバムからのお気に入りですが、2曲目「いつか世界は」、前半は大人のムード溢れる切ないバラードだが、途中からアップテンポになり曲調が替わる。
ここでまず注目すべきは、マーティン・ターナーによるベース・ラインだ。
これはかなりスゴイ。
私はこれを聴くとベースが弾きたくなる。
そして後半の長いギター・ソロも聴き所満載だ。

そして7曲目「剣を捨てろ」。
アルバムのラストを飾るに相応しい、壮大で感動的な曲。
後半のツイン・ギターがハモッてるようで、微妙に違うフレーズを弾いているのだが、異なるメロディを同時に演奏して一つの音楽にするっていのは、構想としては他にもあったと思うが、ここまで完成させている例は珍しいと思う。



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