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第87回名盤シリーズ
今回はベテラン・ブリティッシュ・ロック・バンド、ジェスロ・タルのプログレ的名作「ジェラルドの汚れなき世界」。
(1972年作品)
「狂気のフラミンゴ」の異名をもつ奇才イアン・アンダーゾン率いるこのバンドで、長いキャリアを持ち、根強いファンも多いようだ。
私が彼らを知ったのは、ストーンズ主催の映像作品「ロックンロールサーカス」での出演映像で、片足を上げてフルートを吹きまくるアンダーソンの存在感が印象的だった。
時期的に多くのプログレ・バンドがロック・バンドにフルートやサックス、メロトロンを持ち込み個性を競ってた時期だったと思うが、タルも時代を上手く取り入れていたようだ。
しかしロックバンド+フルートという組み合わせに、このあとあまりフォロワーが出なかったのは、あまりにタルのイメージが強すぎたからかもしれない。
彼らの音楽は、一般的にはプログレやハードロックにカテゴライズされるが、その根本にあるのはフォーク/トラッドだと言われる。
その中でも、とくにプログレっぽいと思われるのがこの作品だが、それでも長い弾き語りのようなものと言われる。
このアルバムには表題曲が1曲収められているだけで、その長さはLPレコードを両面使うものだ(CDではさらにボーナストラックがある)。
片面1曲が珍しくないプログレ界でも、これは相当長い部類に入るのだが、それでも難解な部分はほとんどなく、とてもわかりやすく、取っ付きやすい組曲に仕上がってるのはさすがといわざるをえない。
前作「アクアラング」も名盤の誉れ高い傑作アルバムだが、こちらが本人達の意図に関係なくコンセプト・アルバムとして評価されたことに気を悪くしたアンダーソン。
それに対する皮肉で作ったと言われるこのアルバムだが、それを中途半端ではなく、徹底的にやってるのだ。
架空の少年の記事が載った架空の新聞、それを元にした長編組曲、コンセプト・アルバムとして恐るべき完成度を誇るのに、あくまでも「これはジョーク」という異様さ。
1曲の中にフォークあり、ハードロックあり、ドラムソロあり、しかしそれが違和感なく繋がっていて、まるで劇を見ているようである。
とくに7分過ぎてから始まるギターソロにフルートが絡んでいき、序所にスピードアップしていくパートとか凄くカッコイイ。
このアルバムは全米チャートで2週間連続1位を記録したそうだ。
1972年という時代性もあるが、こういう組曲アルバムが全米でこんなに売れるっていうのは現代の目からすると凄く異常な気がする。
まさにブリティッシュ・ロック全盛期を感じさせるアルバムだ。
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息子がフルートを吹くので、こういう演奏もあるんだ!と新鮮に思いました。
>その根本にあるのはフォーク/トラッドだと言われます。
この一文には、目からウロコです。
プログレはあまり知らないのですが、腰をすえて、ジェスロ・タル、聴いてみたくなりました。
イアン・アンダーソンが片足でフルートを吹くのを初めて見たときは衝撃的でした。
何かが取り付いたように目をむいて片足を上げるのですが、けっして美しくないんですね。
フラフラしながら、それでも片足で立つのが、狂人じみていて異様な迫力があると思います。
ジェスロ・タルはキャリア、人気ともに超大御所の部類に入り、とくに欧米での人気は日本とは比較にならないそうです。
私はこのアルバムと前作「アクアラング」、それとベストアルバムを聴いたくらいなのですが、はまると抜け出せなくなりそうです。
このイアン・アンダーソンという人、やはり只者ではありません。
フォーク/トラッドはもちろんですが、根底にあるのはそれだけではありません。
デビューから2作は、ブルース・ロックのカテゴリーに入る作風ですが、
同時代のブルース・ロックのバンドとは、確実に一線を画しているのが分かります。
この『ジェラルド』から『ウォーチャイルド』までは、クラシックの方法論を取り入れたプログレッシブな世界ですし、
トラッド趣味が開花するのは、『神秘の森』『逞しい馬』『北海油田の謎』はトラッド3部作と呼ばれています。
それぞれ、ジェスロ・タルでありながら、全く違うバンドのような印象を与えます。
ブルースとかプログレとか、ひとつのジャンルにくくれるバンドではありませんし、
また、そのようにカイゴライズしてしまうのは危険なバンドでもあります。
おっしゃる通り、『ジェラルドの汚れなき世界』は長尺でありながら、
ちっとも退屈させないのが凄い所です。
次作の『パッション・ブレイ』も似たような構成のアルバムで、やはり全米1位になりましたが、
なんとなく難解な印象があります。
それに比べ、『ジェラルド』はスリリングで息もつかせぬ展開ですが、とても聴きやすい。
70年代ロックが誇るべき名盤と言っていいでしょう。
ジェスロ・タルは、『ジェラルド』の後、新作のレコーディングをするものの、
全てボツにして、『パッション・ブレイ』を新たに仕上げる訳ですが、
この時ボツになった音源が、後に発表されました。
これがまた、何故ボツにしたのかが理解出来ない程、素晴らしい作品なのです。
この頃のイアン・アンダーソンには、神が降りてきていたとか思えません。
ジェスロ・タル、深いです。
ジェスロ・タルといえばやっぱりオーナーさんですよね。
たしかオリジナル・アルバムの大半を持ってらしたと思うのですが、それだけはまるに値するバンドだと思います。
日本では同時期のZEPやイエス、パープルの人気に比べてずいぶん落ちる気がしますが、海外では評価が違うんでしょうね。
日本で人気が今ひとつなのは、一つは彼らのルックスが老人っぽくて今ひとつさえない感じがするからでしょうか?
それと演劇性が強いと言われる彼らのライブは、英語圏以外の国では深くは理解しにくいのかもしれませんね。
このアルバムの次「パッション・プレイ」ですが、私も難解で取っ付きにくいアルバムでした。
それに比べて「ジェラルド」は聴きやすくて長い曲が苦手な人でも大丈夫だと思いますね。
この頃のアンダーソンは、オーナーさんが仰るように、本当に神が降りてきたようですね。
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