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メンバーチェンジの激しいバンドの場合、その元メンバーが集まって違うバンドを作ることがある。
時として、元のバンド名の看板を掲げる本家よりも、本物っぽいバンドも存在して面白い。
今日はそういう、似て非なるバンドを紹介しよう。
「イエスとABWH」
プログレッシブ・ロックの名盤を次々と発表し、巨大なセールスと大規模なツアーを行う大物バンドに成長したイエスだが、70年代後半には大幅にメンバーが入れ替わり、ついには解散する。
しかし、すぐに新たなメンバーで再結成し「ロンリーハート」の大ヒットにより、またもやシーンの第一線に返り咲くことになった。
このときのメンバー
ジョン・アンダーソン(vo)
クリス・スクワイヤ(b)
アラン・ホワイト(ds)
トニー・ケイ(key)
トレバー・ラビン(g)
このメンバーでの作品は、80年代という時代にうまく乗ったサウンドで、若いファンから絶大なる支持を得たが、あまりにポップ化が過ぎてプログレとは言いがたい作品だった。
そこで昔からのファンの要望に応えるようなバンドが登場する。
それがABWHだ。
ABWHとは「アンダーソン、ウェイクマン、ブラッフォード、ハウ」の略で、かつて「こわれもの」や「危機」といった歴史的名盤を作り上げたメンバーが中心である。
ジョン・アンダーソン(vo) 元イエス
リック・ウェイクマン(key) 元イエス
ビル・ブラッフォード(ds) 元イエス
スティーブ・ハウ(g) 元イエス
トニー・レビン(b) 元キングクリムゾン
ベース以外、全員がイエスの全盛期を支えたメンバーで、ライブで演奏する曲もイエスの代表曲が多い。
この、事実上のイエスは、バンド名の使用権をめぐって裁判沙汰になる。
その後、この事実上イエスは、本家イエスと合流し、大所帯バンドになることで収まったようだ。
「キング・クリムゾンと21センチュリー・スキゾイド・バンド」
プログレッシブ・ロックの重鎮キング・クリムゾンは、やはりメンバー・チェンジの激しいバンドで、リーダーのロバート・フリップ以外全員入れ替わるなんてこともある。
そして、常に前のみを見つめるバンド姿勢により、過去の名曲郡がライブで演奏されることはほとんどない。
ここ30年以上、彼らの曲でもっとも有名な「21センチュリー・スキゾイド・マン」や「クリムゾン・キングの宮殿」「エピタフ」などがライブで演奏されることは一部例外を除いて、ない。
そこで、これらを聴きたいファンのため、これら名曲を後世に残すために結成されたのが「21センチュリー・スキゾイド・バンド」だ。
メンバーはイアン・マクドナルド、マイケル・ジャイルズ、メル・コリンズなど、初期クリムゾンを支えた連中で、このメンバーで初期の名曲を生で聴くことが出来ると期待したファンは多かった。
その後、やはり元メンバーであるイアン・ウォレスも加入し、益々本家よりも本家らしい体裁になってきたが、いかにも「集金ツアー」みたいなライブが仇をなしたのと、イアン・ウォレスの死により活動休止中。
「ブラック・サバスとヘヴン・アンド・ヘル」
ヘヴィ・メタル界の重鎮ブラック・サバスは、80年以降ボーカリストの出入りが激しくなり、97年のリユニオンでオジー・オズボーンが復帰するまで不安定だった。
この不安定期、もっとも人気を得たボーカリストは、元エルフ、レインボーのロニー・ジェイムズ・ディオである。
彼の参加した「ヘヴン・アンド・ヘル」「モブ・ルールス」はヘヴィ・メタル史上に残る名盤とされ、今も人気が高い。
2006年、レコード会社の意向により、ロニー期のベスト・アルバムが作られるのだが、ボーナストラックとして新曲が録音されることになる。
このとき集まった元サバスのメンバーは、このままツアーを行うことになるのだが、本家サバスとの混同を避けるため、ヘヴン・アンド・ヘルというバンド名で活動することになる。
ツアー後、このメンバーで新譜も作られるが、ロニーの死により活動は停止した。
「EL&パーマーとEL&パウエル」
80年代、イエスやエイジア、ジェネシスなどプログレ畑のバンドが大成功しているのを横目に、キース・エマーソンとグレッグ・レイクはEL&Pの再結成をもくろむ。
「E」と「L」が揃えば、次は「P」ということで、カール・パーマーに声をかけるが、エイジアで世界的なヒットを飛ばしている真っ最中であることから加入を断られる。
そこで代わりに加入したのが、イニシャルが同じ「P」のコージー・パウエルだ。
では、このバンドはEL&Pなのか?というと、そうではない。
カール・パーマーが(自分の勝手で参加しなかったのに)、それを認めなかったからである。
ライブで演奏されるのは、彼らの新曲と、70年代のEL&Pの曲で、地に足のついたヘヴィなリズムは聞いていて心地よく、やはり事実上これはEL&Pだった。
だが、常に一つのバンドに定着しないコージーは、このあと再びヘビメタの正解に戻り、解散となる。
「UFOとモグ/ウェイ」
ブリティッシュ・ハード・ロックを代表するバンドの一つ、UFO。
彼らもまたメンバー・シェンジの激しいバンドだ。
もっとも勢いがあり、大成功を収めていたのは、70年代のマイケル・シェンカー在籍時である。
脱退後、アルバムの質は高いもののそれがセールスに結びつかず、低空飛行を続けるのだが、起死回生を願って70年代のメンバーでリユニオンされるに至る。
フィル・モグとマイケルは音楽的相性は抜群なのに、人間的相性が最悪のため、やはりうまくはいかなかったようだ。
結局、マイケル抜きで活動を続けることを決めたフィルだが、このときUFOのバンド名はマイケルなしでは使えないとされてしまう。
苦肉の策で、デビュー時からの中心メンバーであるフィルとピート・ウェイの名前を並べた「モグ/ウェイ」という、なんとも味のないバンド名になってしまったのだった。
その後バンド名の使用権を勝ち取り、この歴史ある名前を使えるようになったようだ。
モグ/ウェイによるUFOの名曲「マザー・メアリー」。
メンバーはモグ、ウェイの他、エインズレイ・ダンバー(ds)、ジョージ・ベラス(g)
おそらくMSGが演奏しないUFOの曲ということで、これなのだろう。
モグ/ウェイの名が示す如く、ふたりがいればUFOとして成り立つことを再認識しました☆
でも、ちょっと気になるのは―
モグ/ウェイ作の名曲も多いのに、何故わざわざマイケル作の曲を選んだのでしょう??
ジョージ・ベラスのことは今回初めて知りました
ソロはあえて自分らしさを出していて、これはこれで悪くないと思います......が、
やっぱり私はマイケルver.が好きです♪
モグ/ウェイというバンドの存在は前から知っていたのですが、この記事を書くにあたって初めて聞きました。
それでいろいろyoutubeを漁っていたら、UFOのセルフカバー曲を発見したのです。
あえてUFO曲をやることにより、「モグ/ウェイを名のっているけど、俺たちはUFOなんだ」ということを示しているのでしょうね。
それで、出来れば、このハイテクギタリストの力を発揮させる曲、でもロックボトムやライツアウトだと、あまりにマイケルのイメージが強いので、マザーメアリーなのかな、て気がしました。
あと、、、あえてマイケル曲を選ぶことにより、モグ/ウェイの売り上げの何パーセントかは、マイケルにもいく、そのことによりUFO名の権利問題をスムーズに進める、とかいろいろ考えてしまいます。
ジョージ・ベラス、私も初めて知りました。
インギー以降のギタリストって感じで、テクは凄いですよね。
それとドラムがエインズレイ・ダンバーだということで、非常にヘヴィに仕上がっていて、古さを感じさせない(当時としては)のはさすがだと思いました。
そういえば、ウェイステッドというUFOっぽいバンドもありました。
一時期、ピートウェイがUFOを抜けていたときに、自分が中心になってやっていたバンドで、メンバーはポール・チャップマンやポール・レイモンドがいたそうです。
裏UFOっぽいバンドで、おそらくライブではUFOナンバーもやっていたことでしょう。
youtubeでスタジオ作はいくつか聞いてみましたが、あまり私の趣味じゃなかったのです。
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