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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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「坂の上の雲」は昨年の夏に読み始めたのですが、ギターの練習に専念するため4巻で中断。
先月からもう一度1巻から読み直しました。



やはり司馬遼太郎作品、読みやすく、わかりやすい一級の歴史エンターテイメント作品です。
司馬氏の長編小説の中でも1,2を争う人気作品で、私自身も「竜馬がゆく」「翔ぶが如く」と並んで面白かったと思います。
司馬氏が描く明治期の日本ですが、さまざまな困難を乗り越えて不可能を可能にしていく様が、秋山兄弟と正岡子規を中心に生き生きと描かれており、まるで壮大な映画を見るようです。
また文章の所々に司馬氏一流のユーモアがあり、一見固いテーマでありながらも、ちょっとニンマリする場面が多々あります。
基本的に「偉大な明治、愚劣な昭和」なスタンスの司馬氏ですが、ここでも明治期と昭和初期の政治体制を比較し、痛烈に後者を批判しています。
憲法第一の立憲国家であり、昭和初期のような軍の暴走がなかった明治政府に対し、絶対君主制だった当時のロシアについては、日露戦争の敗戦とロシア革命をもってして「崩れるべくして崩れた体制」としています。

70年代から80年代あたりだと、多くの若者が読むべき本の上位にランクされる作品だった「坂の上の雲」ですが、私はこれを読み終わった今、あまりそのようには感じません。
私は司馬氏の作品は、主な代表作は読んでますし、好きな作家の一人なのですが、今の時代にそぐわない部分も多々あると思うのでした。
たしかに古い体制、硬い頭、精神力に頼り具体的な改善をしない、という体質が下落を招き、ときには国をも滅ぼさせるというのは説得力はありますが、今更な感じは否めません。
今この作品を読む意味は、単に歴史スペクタクルな小説が読みたい、明治期を舞台にした小説が読みたい、という人向けだと思います。
そして、それらの人の望みを高いレベルで満足させることが出来ると思います。
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