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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
第24回名盤シリーズ
今回はポール・マッカートニー&ウイングスの「バンド・オン・ザ・ラン」。
(1973年作品)



ビートルズ解散後のポールは、どちらかというと控えめでポップスよりの音楽をやっていたが、同僚のジョンやジョージに比べ地味な印象は否めない。
もちろんビートルズ解散から年月の経っていない時期だし、出すアルバムは全て大ヒットしてるのだが。

このアルバム製作時、レコーディングの間際になってメンバーの脱退など(一説によるとポールの独裁的な態度が気に入らなかったらしい)でゴタゴタが続き、決して順風満帆なスタートではなかったようだ。
メンバーはポール・マッカートニー(vo、b、g、key)、リンダ・マッカートニー(key、vo)、デニーレイン(g、vo)で、ドラムもポールのようだ。
で、さらにストリングスやブラスをオーバーダブさせてサウンドに豪華な印象を与えている。

私が初めて聴いたビートルズ以降のポールはこのアルバムに収録されている「ジェット」だった。
重圧なブラスサウンドに女性コーラス、ディストーションギターなどビートルズよりもずっと現代的で気に入った。
それから20数年経ったが、今もビートルズ以降のポールでは「ジェット」がフェイバリットソングである。

アルバムは今もライブの重要なレパートリーである表題曲でスタートする。
3部構成になった曲だが、プログレのように長尺曲にはせず、ポールらしく短くまとめている。
後半のカントリー風の部分がとくにいいと思う。
途中でドラムパターンにタムを入れるアレンジもいい。
この曲と前述の「ジェット」がこのアルバムの代表曲ですが、他の曲も地味ながら傑曲揃いだ。

一流メロディーメーカーであるポールが今までになく気合を入れて作ったアルバムだから、捨て曲など存在するわけがない。
大人しい「ブルーバード」や「マムーニア」あたりは、ビートルズ時代の「アイ・ウィル」や「ブラックバード」などの「地味だけど名曲」に匹敵する地味名曲だ。

このアルバムではデニーレインのボーカルも聴くことが出来る。
つまり、ポールのアルバムではなく「ウイングス」というバンドのアルバムだというのを強調しているのかもしれない。
そのせいかそれまでのソロアルバムと比較してロック色が強くなっているような気がする。

このアルバムは発表と同時に英米で1位を記録し、その年のグラミー賞を受賞するという大ヒットアルバムになったのだった


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第23回ロック名盤シリーズ
今回はアメリカ一流スタジオミュージシャン集団トト「TOTO IV 聖なる剣」。
(1982年作品)



1982年度のグラミー賞7部門を独占した大ヒットアルバムだ。
当時のメンバーはジェフ・ポーカロ(ds)、スティーブ・ポーカロ(key、vo)、デヴィッド・ペイチ(key、vo)、デヴィッド・ハンゲイド(b)、スティーブ・ルカサー(g、vo)、ボビー・キンボール(vo)。
アルバム自体が売れたのは勿論ですが、ここからのシングル・ヒットも4曲生まれている。

彼らにとって4枚目となるこのアルバムは、前作のハード・ロック路線、前々作のプログレ路線とは違ったバラエティ豊かな作品に仕上がっている。
ハードでエキサイティングな演奏もあれば、しっとり聴かせるバラード、アフリカン・リズムを取り入れた曲など、さすがは一流スタジオミュージシャンが集まっただけあってどんな曲でもスムーズにこなす。
基本的にはアメリカン・プログレ・ハード的な雰囲気だが、楽曲の良さや多彩なボーカルなどTOTOにしか出来ないアルバムに仕上がっている。

特筆すべきはやはり1曲目「ロザーナ」だ。
ジェフ独特のはねるようなドラミングのあと、透明感のあるルカサーのボーカル、派手なブレイクのあとボビーのソウルフルでパワフルなボーカル。
まるでディズニーランドのパレードのような華やかなキーボードソロ、エンディングはジャズ風なピアノにルカサーのハードなギター…完璧だ。
一般的にはこの曲と最後の「アフリカ」が人気のようで、どちらも名曲だ。

それと、ルカサーが思いいれたっぷりに歌うバラード「アイ・ワント・ホールド・ユー・バック」も素晴らしい。
静かなピアノで始まり、序所に盛り上がる典型的なパワー・バラードだが、ギター・ソロは弾きまくりではなく必要最小限の音数での叙情的なプレイだ。
ルカサーいわく「いかなるバラードよりバラードらしい曲」だそうだ。

しかし私の一押しはLPではB面の1曲目だった「アフレイド・オブ・ラブ」からのメドレーだ。
とにかくイントロのギターリフがカッコイイ。
3曲連続のハード・ナンバー。
ライブを意識して作られたであろうこれらの曲は、当時の来日公演でもこの曲順で演奏されたそうだ。
私はこのときのライブをテレビで見、その後FMでもオンエアされたのを聴いたが、ライブならではの荒っぽさが逆にプラス要素として迫力あるハードロックナンバーになっていた。

この後、大規模な世界ツアーを行うTOTOだが、メンバーが一人抜け、また2人抜け、、、この黄金メンバーでのアルバムはこれが最後になってしまう。
古くからのファンの間ではこの作品でTOTOは終わったというが、当時のこの勢いは凄かったと記憶している。




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第22回ロック名盤シリーズ
今回はジョージ・ハリスンの実質的な1stアルバム「オール・シングス・マストパス」
(1970年作品)



ビートルズ解散後の1970年11月、実質的な第一弾ソロアルバムとして発表されたこのアルバムは、気合入りまくりの3枚組LPだった。
もちろん値段も高く、当時の物価と比べて相対的に高価な3枚組LPがアメリカでもイギリスでもチャートのトップに君臨し、それは7週間も続いたのだった。
現在でも3枚組レコードとしての記録は破られていないらしい。

プロデューサーはビートルズの「レット・イット・ビー」と同じフィル・スペクター。
個人的にフィル・スペクターのプロデュースはなんでもオーバー気味で好みではないのだが、このアルバムではうまく作用している気がする。

圧倒的なボリュームのアルバムだが、中身は穏やかなジョージ・サウンドで占められており、とてもやさしい曲ばかりだ。
ジョージはこのアルバムの前にシンセサイザーを使った実験音楽のアルバムを発表しているが、ここにはそういう実験的な曲はなく、ちょっと寂しげなボーカルで美しいメロディーを歌う作品に仕上がっている。
全19曲の大半はジョージの単独作品であり、外部ライターは2曲でボブ・ディランが参加してるだけだ。
ここまでの才能があるとは!
当時誰もがそう思ったそうだ。
よく言われるのは、ビートルズ時代はジョンとポールの影に隠れて才能を発揮できなかったと。
たしかにそうかも知れない。
でも、このアルバムには「見返してやる!」みたいな気迫はなく、「いいレコードを作ろう」とした結果、これだけの作品が出来てしまって、どれも削れないから全部発表してしまおう、という感じだと思う。

このアルバムの中でとくに素晴らしい名曲が「ISN'T IT A PITY」だ。
私はこの曲はジョン・レノンの「イマジン」と並ぶ名曲だと思う。
ジョージ自信も気に入ってるのか、2バージョン納めれていますが、どちらも素晴らしくどっちか一つには絞れなかったのがよくわかる。
この曲を聴くととてもやさしい気持ちになれるような気がするのだった。

最後に3枚目にはジャムセッションが納められていて、クラプトンやデレク&ドミノスのメンバーとの熱い演奏が繰り広げられている。
ここではギタリストとしてのジョージが生き生きと楽しそうに弾いてるのが感じられ、けっこうハードな演奏だが、殺気だった感じではなく楽しそうなのがいい。



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第21回名盤シリーズ
今回はパンク・ムーブメントの立役者セックス・ピストルズ「勝手にしやがれ」
(1977年作品)



76年にロンドンで、反社会的なバンドということで結成されたピストルズ。
当時のメンバーはジョン・ライドン(vo)、スティーブ・ジョーンズ(g)、ポール・クック(ds)、グレン・マトロック(b)。
アルバム発表後にベースが「伝説の男」シド・ビシャスに交代する。
シド・ビシャスについては、ミュージシャンというよりパンクな生き方が一部の若者に人気を呼び、暴力、ドラッグ、反社会的行動を繰り返したあげく、恋人を殺害して自分自身21歳の若さで亡くなった。

発売当時は相当な衝撃があったとされるこのアルバムだが、現在の耳でこのアルバムに接すると普通のロック・アルバムに聴こえる。
当時はハード・ロックやプログレが高度な音楽理論やテクニックを要する音楽になっていまい、若者がとっつきにくくなっていた。
そんな中、「俺達でもやれるロック」ということで注目を集めたのがパンク・ロックだ。

元々、反社会的なものだったロックシーンが高度に成長しすぎた反動というのは確かにあっただろう。
またビジネスとして大きくなりすぎていたのも原因だと思われる。
あと、当時のイギリスの社会的な情勢、このあたりは私は詳しくないのだが、それも関係しているのだろう。

軍隊の行進のようなSEのあと「ジャガジャーーン!!!」とディストーションギター鳴り響く。
これはなかなかカッコイイ。
ジョン・ライドンの吐き捨てるような語尾を強調したような歌い方、おそらくイギリスでは下品な歌い方なのだろう。
人を喰ったバカにしたような歌い方。
で、バックのサウンドはディストーン・ションギターを中心としたシンプルなロックンロール。
当初、パンクと普通のロックとハード・ロックの違いがイマイチ解り難かったが、歌詞やファッション、行動も含めてのパンクなのだ。。

だからパンクだとかロックだとか関係なく聴くと、なかなか楽しいロック・アルバムだというのがわかる。
このアルバムの代表曲は「アナーキー・イン・ザ・UK」と「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」だと思うが、個人的にはふざけた歌い方がかっこいい「セブンティーン」、ノリのいい「わかってたまるか」とか好きだ。
あとイントロが印象的な「プリティ・ヴェイカント」、契約破棄をされたEMIを皮肉った「EMI」もいい。

ピストルズのこのアルバムに関しては、実は演奏はスタジオミュージシャンだとか、数々の伝説はヤラセだとか言われてますが、そういうことは気にせず、またパンクがどうとかは考えずに聴いたほうがいいだろう。



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第20回名盤シリーズ
今回取り上げるのはヴァンヘイレンのデビュー作「炎の導火線」。
(1978年作品)



ジーン・シモンズによって発掘されたこのバンドは、エディ・ヴァン・ヘイレン(g)、アレックス・ヴァン・ヘイレン(ds)のヴァン・ヘイレン兄弟を中心としたアメリカを代表するハード・ロック・バンドの一つだ。
他のメンバーはデイヴ・リー・ロス(vo)、マイケル・アンソニー(b)。

このアルバムは、たしかな演奏力によるバラエティ豊かな楽曲群が11曲収められ、78年当時すでに80年代を予感させる内容だった。
トリオ演奏バンドに拘らず、ほとんど一発録音のような、シンプルな楽器アレンジ。
ギター・ソロのバックにギターはなっておらず、そのままライヴで再現できるような録音だ。
デビュー前に充分なライブ経験が積み重ねられ、LAではすでに有名バンドでだったそうだ。

2曲目に収められている衝撃のギター・インスト曲「暗闇の爆撃」。
今でこそ珍しくもなんでもないタッピングだが、当時初めてこれを聴いたギタリストはスゴイ衝撃だったそうだ。
ヴァン・ヘイレン以前にも右手でフレットをタッピングするギタリストは存在するのだが、これほどタッピングを全面に押し出したプレイは音楽史上初めてのことである。
その後、ネコも杓子もタッピングをするようになり、私くらいの年齢の人は「ライトハンド奏法」といったものだ。
ほとんどギター単独でのカデンツァ的な曲だが、とてもよく構成されていて、とくにタッピング部分はクラシカルですらある。

3曲目の「ユー・リアリー・ガット・ミー」、言わずと知れたキンクスの曲だが、見事なハードロックとして甦っている。
後に「プリティ・ウーマン」などもカバーする彼らですが、この当たりのセンスはスゴイと思う。
誰がメロウなオールディーズの「プリティ・ウーマン」をハード・ロック・バンドがカバーすると考えるだろうか?

どうしてもギターに耳が行き勝ちですが、もう一人この頃のヴァン・ヘイレンの重要な人物がボーカルのデイヴ・リー・ロスだ。
とくに4曲目「叶わぬ賭け」には彼のボーカルの魅力が詰まっている。
半ば以降の曲が大人しくなる部分のボーカルは本当にかっこいい。
聴けば聴くほど味わい深い名曲だと思います。

そんなボーカルとギターの魅力がもっとも発揮されてるのが、当アルバム中最もハードな「アトミック・パンク」じゃないだろうか?
他、5曲目「アイム・ザ・ワン」10曲目「アイスクリーム・マン」あたりを聴くと、このバンドのルーツが見える気がして懐の広さが感じられる。

全体的に非常に硬質で重量感もあるのですが、ブリティッシュロックと違ってウェットな感じがない。
ハードだけどカラッとアメリカン。
このアルバムの出現によってアメリカンハードロックの歴史は大きく変わっただけでなく、ロックギターの常識をも打ち破った作品と言える。



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