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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第17回名盤シリーズ
今回はクラシック作品のロック化「展覧会の絵」。
(1971年作品)



エマーソン・レイク&パーマー(略してELP)の作品で1stから「恐怖の頭脳改革」までのアルバムはどれも名作で聴き応え満点なのだが、クラシックからの大々的な引用など話題性が高かった本作品を紹介しよう。

知っての通り、この曲の原曲はムゾルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」であり、それのロック・バージョンである。
このELPバージョンは管弦楽用にラヴェルが編曲したバージョンを手本にしている。
ただし、そっくりそのままコピーするのではなく、組曲の中からの抜粋であり、またオリジナル曲を編入したり、新たに歌詞を加えたりしている。

私はまず、この曲を題材に選んだセンスがすごいと思う。
バッハでもモーツァルトでもなく、かと言って誰も知らない曲でもない。
知ってる人は多いが、有名すぎない微妙なところで選んだのだろう。

このアルバムはライブ録音で、当初はライブ専用曲でレコーディングの予定は無かったと言われている。
レコーディングを行って発売されるまでの経緯に、グレッグ・レイクとキース・エマーソンの対立があったと言われているが、レイクは発売を熱望しエマーソンは拒否、しかしこれが大ヒットとなりレイクの思惑通りに事が進んだようだ。

パイプ・オルガンの音色でプロムナード、あの有名なメロディが奏でられる。
この組曲では3回プロムナードが登場するが、2回目はレイクの独唱、3回目はバンド演奏だ。

2回目のプロムナードのあとにはレイクのフォーク・ソング「THE SAGE」。
それほど違和感なく溶け込んでいるが、クラシックの原曲に歌を入れるのはいろいろと困難があるのが想像できる。
次の「THE OLD CASTLE」の前半部分にキースによるムーグシンセサイザーのデモ演奏のようなパートがあるのだが、さすがにこれは時代を感じてしまう部分かもしれない。
しかし当時としてはシンセサイザー自体が珍しい状況だったので、こういうのも「あり」だったのだろう。

中盤のバンド演奏によるプロムナードから先は、どんどんエキサイトした演奏が繰り広げられていく。
「バーバヤーガの小屋」はほぼ原曲のまま、しかし非常ハードに演奏され、次のオリジナル曲「バーバヤーガの呪い」につながっていく。
レイクのワウを使ったベースがクリムゾン出身であることを感じさせるが、この演奏は完全にハード・ロックだ。
中でもパーマーの手数の多いドラムがカッコイイ。
再び「バーバヤーガの小屋」のフレーズが繰り返され、ラストの威風堂々とした「キエフの大門」へ。
原曲にオリジナルの歌詞をつけたこの曲のラストは、キースによるオルガンとの格闘シーンへ。
オルガンを蹴飛ばし、ひっくり返し、ナイフを突き立てる…。
ジミヘンのオルガンバージョンのようなパフォーマンスを繰り広げ、客を沸かせて終了。

私はELPよりも、カラヤン指揮ベルリン・フィル・ハーモニー楽団のラベル編曲「展覧会の絵」を先に聴いた。
このライブ演奏、確かに現代の耳で聴くと、時代を感じさせる部分はなくはないが、70年代初頭としては相当新鮮な音楽だっただろう。

最後にもう1曲「NUTROCKER(くるみ割り人形)」のELPバージョンも入っている。
私の持っているCDだと「展覧会の絵」の93年リメイクバージョンも入っていて、なかなか円熟味のある演奏が聴けてけっこう好きなのだが、全盛期を知る人からすると評判悪いようだ。



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