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少し前、司馬遼太郎「坂の上の雲」を読みましたが、なるほどよく出来た歴史小説で、大胆にフィクションを織り交ぜ、あらゆるタイプのリーダー像が描かれた傑作でした。
それをNHKが桁違いの予算を使って製作、3年にわたって年末に放送するという壮大な計画、明日で終了しようとしています。
視聴率がかなり悪いらしい。
もしNHKがこういう莫大な費用、年月を使って何かをドラマ化する場合、坂の上の雲以外に何かいい原作はあったでしょうか?
小説が原作でなく、オリジナル脚本であっても、どういうドラマだったら良かったのか?
私は戦後の復興を扱ったもの、あるいは明治時代しかないかな、と思います。
戦国もの、幕末もの、源平ものは散々通常の大河ドラマでやっているし、それ以外の時代もあまり相応しいものはないような気がします。
そう考えた場合、優れた原作があり、しかもそれは大ベストセラーであることから、やはり坂の上の雲が、この大きなプロジェクトにもっとも相応しい題材だったと言わざるをえません。
では何故、視聴率が悪いのか?
登場人物について。
坂の上の雲に出てくる登場人物は、戦前ならまだしも、現代人からすれば知名度が高いとはいえないでしょう。
東郷平八郎、乃木希典といった人たちも、織田信長や坂本龍馬など老若男女誰でも知ってる有名人と比べれば、知名度は高いとはいえないし、秋山兄弟なんて無名に近いと思います。
この辺りのとっつきにくさ、わかりにくさ、というのは大きな影響があるでしょう。
(個人的には、軍人が英雄扱いされていないのは、良いことだと思います。)
内容について。
内容、とくに戦争シーンのわかりにくさ、これは原作を読んでいないと、何がどうなっているのか難しいと思います。
この辺は、純粋な戦争映画、例えば「二百三高地」などのほうが簡潔でわかりやすかったですね。
今やっている日露戦争だけでなく、第1部で放送された日清戦争もわかりにくかったです。
3年という放送期間について。
仕方が無いという事情があったとはいえ、これはマズイでしょう。
スタート地点では、けっこう期待して見始めたという人もいると思いますが、それが途中で終了、次回は1年後、というのは、一般視聴者が逃げてしまいます。
民法ではCMを挟んだだけで視聴者が逃げる恐れがあるために、期待だけさせといて「続きはCMのあと」という姑息な手段を用いますが、これが年単位となるとさすがに長すぎました。
司馬遼太郎原作について。
世の中にはアンチ司馬という人たちがけっこう存在し、司馬遼太郎なんてのは歴史の間違いが多く読む価値などない、という人たちは、当然「坂の上の雲」なんて見るわけがありません。
とくに普段、「歴史群像」みたいな戦史関連の雑誌を読み漁っている、いわゆる「軍ヲタ」みたいな人は、徹底的に司馬批判を繰りかしています。
(「歴史群像」自体は、決して右派ではなく、なかなか面白い雑誌だとは思いますが)
結局、これを喜んでみているのは、原作のファンだけ。
きちんと見ている人からは、かなり賞賛されています。
実際、かなり凄いです。
安っぽさ皆無、本当の明治の時代を映像化したようなリアル感、本当の戦場のような臨場感、徹底的に作りこまれた本物の歴史ドラマだと思います。
このレベルのドラマは、おそらく二度と作られることはないでしょう。
司馬遼太郎ファンでいて良かった、と思いながら、明日の最終回をワクワクして待っています。
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