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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第50回名盤シリーズ
ピンク・フロイドの大ベストセラーアルバム「狂気」
(1973年作品)



アルバム1枚を通して狂気という組曲になっていて、全曲メドレーで繋がっている。
その完成度の高さゆえに、後に多くのフォロアーを生み、プログレッシブ・ロックの基本の一つになった。
ピンク・フロイドの音楽は、同時期のキング・クリムゾンやイエスと違い、演奏テクニックを売りにしているわけではない。
もっと全体の雰囲気を大事にし、メロディの良さや幻想的なムードに重点を置いているように思うのだった。

このアルバムがプログレシーンのみならず、ロックを代表する1枚の一つと言われるのは、以外にポップで親しみ易いからだと思う。
とにかく良いメロディが満載で、クリムゾンやELPに有り勝ちな「難解さ」というものが少ない。
それでいて、単純ではなく何度聴いても唸らせるものがあり、その微妙なバランスの上になりたっていると思うのだ。
親しみ易さとヒネリの部分。
この相反する要素が、非常に高いレベルでバランスを保ち、ギリギリの部分で支えているのが魅力となっているのである。

アルバムの前半(旧A面)は、どちらかというとムード重視の、インストなどイメージを膨らませるような曲が多く、後半(旧B面)はメロディアスな歌物中心となっている。
ほぼ中間に収まる「マネー」は、レジのSEを効果的に用いたロック・ナンバーだ。
このあたりのアレンジセンスは、「原子心母」収録の「アランのサイケデリック・ブレックファスト」あたりですでに確立されており、ここではより熟成されたものになっている。

このアルバムでとくに高い人気があるのは「タイム」だろう。
名曲中の名曲だ。
誰もがビックリする時計の音で始まり、緊張感と幻想的なムードに支配されるイントロ、ボーカルが入ってからは一転してリズミカル。
そして最小限の音数による情感たっぷりのギターソロ。
シンプルでムダがなく、それでいて音楽を魅力的にする要素を全て備えているのだ。

このアルバムを聴き終えた後の感動は、ラスト2曲の存在感の高さにも起因していると思われる。
ゆったりしたリズムと親しみ易いメロディで、聴くものを心地よく酔わせ、盛り上がる部分は大げさともいえるほど盛り上がる。
このメリハリが、非常に効果的に感動成分を呼び起こすのだった。

このレコードが発売された当時は「音のよいレコード」として認識されており、今もアナログLPで聴くマニアもいるそうだ。
最新のリマスターがされたCDが少し前に発売されているので、こちらのほうで是非この名盤を聴いてみたいものだ。



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