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洋楽名盤紹介と日々の雑談を書いてます
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第8回名盤シリーズ
若い3人の才能がぶつかる名作「クリームの素晴らしき世界」
(1968年作品)



クリームの3枚目のアルバムとして68年8月にリリースされた本作は、彼らにとって初の2枚組アルバムだった。
ただその内容は少し変わっていて、1枚目がスタジオ作品、2枚目はライブ作品という変則的なものである。
当時2枚組アルバムというのは珍しく、値段も高価だったが、全米チャート1位になる大ヒットを記録した。

エリック・クラプトン(g、vo)、ジャック・ブルース(b、vo)、ジンジャー・ベイカー(ds)というただならぬメンバーで構成されたこのバンドには二面性がある。
多重録音を重ね、実験性を織り込み、練りに練られたスタジオ作品と、3人だけによる演奏で、火花を散らすようなインプロビゼーションを繰り広げるライブパフォーマンス。
この両方の顔を、このアルバムでそれぞれ1枚づつに収めているだ。

1枚目スタジオ作品の冒頭を飾るのは、有名な「White Room」である。
クリームを代表する1曲でもあり、力強いタムを多用したドラムワークとワウを使ったギター、自信に満ちたボーカル、それでいてポップな一面も覗かせる名曲だと思う。
この曲と6曲目「政治家」あたりは、いかにもジャック・ブルース作で、かっこいいブルースロックに仕上がっている。
ベイカー作の7曲目「Those Were The Days」もカッコイイロックナンバーだ。

ここでのクラプトンだが、スタジオ盤では大人しい。
たしかに「Top Of The World」や「荒れ果てた街」でのギターはかっこよく、ソロもかなり気合入れて弾いてるのだが、やはりジャック色が強いと思う。

2枚目のライブアルバム。
1枚目のスタジオ作品が9曲入ってるのに対して、こっちは4曲しか入っていない。
それも、歌のパートが極端に少なく、ほとんどがインストパートだ。
ここでは、1曲目のクロスロードでは3人平等な気がするが、あとの3曲はそれぞれのメンバーの得意技を披露した形態となっている。
まず、「Crossroads」。
いまや、アマチュア・ギタリストにとってのスタンダードとなったプレイを聞くことが出来る。
ロバート・ジョンソンのカバー曲だが、原曲からかけ離れて、こんなにカッコよく演奏するアレンジが素晴らしい。
3人が3人とも全力で演奏しているのが伝わる。
次の「Spoonful」。
クリームのライブでの演奏を最もよく表してる録音だ。
これも、元はブルースのカバー曲だが、完全にハード・ロックに変化している。
ここでのクラプトンは、現在では考えられないくらい弾きまくているのだが、リズム隊も負けじと必死になっている。
この曲で聴ける戦争のような演奏は、後のレッド・ツェッペリンを初めとする多くのロックバンドに影響を与えたことは間違いない。
ジャックのブルースハープを駆使した「列車時刻」、ベイカーのドラムソロを披露した「いやな奴」あたりはちょっと時代を感じさせてしまうのも事実だが。

現在のハードロック、ヘヴィメタルという音楽の基板を作ったのはクリームだと言われている。
ギブソン+マーシャルの過激なギター・サウンド、ライブにおける演奏重視のスタイルなどは、それまでのロックになかったものだ。
ただ、ライブステージにおいて毎晩繰り広げられるインプロ大会に限界を感じたメンバーは、解散という道をたどる。




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