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第100回名盤シリーズ
ビーチ・ボーイズの異例の傑作「ペット・サウンズ」
(1966年作品)
私にとってのビーチ・ボーイズは「サーフィン・USA」のような海、夏というイメージだ。
初期のベスト・アルバムは私のお気に入りで、とくに真夏のドライブ時に聴くのは気分が爽快になる。
とくに「ファン・ファン・ファン」や「ドント・ウォリー・ベイビー」といったこの頃を代表するナンバーは大好物なのだった。
さて「世紀の名盤」と称されるこの「ペット・サウンズ」、しかし誰もが絶賛するアルバムではないようだ。
初期の雰囲気が好きだった私は、なかなか実際に聴くには至らなかったのだが、最近になってようやく聴くことが出来た。
そしてそれが、この名盤シリーズを締めくくるに相応しいアルバムだと確信することになったのだった。
思ったよりビーチ・ボーイズらしい作品で、とくにコーラス・ワークは彼ら特有の個性があり、ここだけ聴いてもビーチ・ボーイズだとわかる。
とくに1曲目とか普通にビーチ・ボーイズらしいメロディに思えて、全然問題作ではないように思った。
しかし、それまでの曲と異なるのは、複雑で計算されたメロディラインやアレンジだろう。
もっとシンプルに、もっとわかりやすく、といったものを求めるファンからすれば違和感があったのかもしれない。
ビーチボーイズの曲はノー天気なようで、何かちょっぴり哀愁のようなものが感じられるのだが、その度合いがこのアルバムはとくに強いように思う。
どの曲も明るくポップだが、楽しいだけではない、青春の甘酸っぱさというか、夏の終わりの寂しさみたいなのを感じることが出来る。
そこには、もう若くはないんだ、とか、もう海は卒業だ、みたいな先行き感も感じるような気がするのだった。
ブライアン・ウィルソンにとって、命をかけたといっても過言ではないほど力を入れたアルバムだったようだが、周りの反応は冷たいものだった。
「誰がこんなアルバム聴くんだ?犬か?」という批判からついた「ペット・サウンズ」という題名がそれを物語っている。
アルバム・セールスの方も当初は「らしくない」とのことからパッとしなかったようで、それが原因でブライアンは重度の精神の病にかかり長年社会復帰出来なくなってしまうのだった。
現在このアルバムは「かつて作られた最良のポップ・アルバム」といわれるほど評価されており、ブライアンは間違っていなかったことが証明されている。
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